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カテゴリー「劇場公開」の記事

2017年12月10日 (日)

希望のかなた

Toivon_tuolla_puolen
 フィンランド
 コメディ&ドラマ
 監督:アキ・カウリスマキ
 出演:シェルワン・ハジ
     サカリ・クオスマネン
     イルッカ・コイヴラ
     ヤンネ・フーティアイネン


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 カーリドは石炭を積んだ貨物船に隠れ、内戦が激化するシリアのアレッポから遠く離れたフィンランドの首都ヘルシンキにたどり着く。差別と暴力にさらされながら数々の国境を越え、偶然この地に降り立った彼は難民申請をする。彼の望みは、ハンガリー国境で生き別れた妹ミリアムを呼び寄せることだけだった。

 間に何人かの監督さんとのオムニバス作品があるけど、自身の作品となると「ル・アーヴルの靴みがき」以来5年ぶりとなる敬愛する映画監督さんのひとりであるアキ・カウリスマキ監督の新作。しかも17年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したとあればファンとしてはということで張り切って観に行ってきた。

 前述の「ル・アーヴルの靴みがき」同様に難民を扱った作品ではあるものの決してシリアスなものではなく、同監督のレストランを舞台にした奮闘劇の「浮き雲」の趣に乗せて、いつもの独特の【間】のチョコっとした笑いで難しい問題とその解決に何が必要かを問いかけ(個の気持ちで行動したいけど、その前に国という感情が先にくるだけに難しい問題だ…。)、限りなくフラットな流れ、車のフロントガラス越しのカット、簡素すぎる部屋、光と影のコントラスト、デジタル社会に逆行したタイプライター等のアナログ&レトロなアイテム、そしてワンコとカウリスマキ監督らしさ全開のファンとしては見応えのある作品だった。
 カーリドが街中でネオナチのメンバーに襲われた際にその中のひとりの「ユダヤ人!」のセリフにアラブ人かユダヤ人かの区別もつかず、クソほどの脳ミソも詰まってないバカがネオナチを騙ってるのネオナチとそのかぶれた連中に対しての強烈なディスりはパンチが利いてて思わず爆笑。また、間違った日本文化ネタも数いる海外の映画監督の中でもおそらくいちばん日本文化に通じているアキ・カウリスマキ監督だけにその確信犯的手口が最高にオモシロく感じられる。

 レストランオーナー役のサカリ・クオスマネンをはじめカティ・オウティネン、マリア・ヤンヴェンヘルミとアキ・カウリスマキ監督作品の常連さんたちが今回も顔を揃える。
カティ・オウティネンなんかここんところほんのチョイ役ばっかだからたまには露出の多い役どころでみたいところ。
そして今回も登場する監督の愛犬のジャック・ラッセル・テリアの姿に今年の8月に15歳で死んでしまった同種の愛犬を思い出してしまいつい目頭がジワっと…。

2017年12月 9日 (土)

オリエント急行殺人事件

Murder_on_the_orient_express
 アメリカ
 ミステリー
 監督:ケネス・ブラナー
 出演:ケネス・ブラナー
     ペネロペ・クルス
     ウィレム・デフォー
     ジュディ・デンチ


                                                                                      【物語】     (シネマトゥデイ)
 トルコ発フランス行きの豪華寝台列車オリエント急行で、アメリカ人富豪のエドワード・ラチェットが刺殺体で発見される。
偶然列車に乗り合わせていた探偵のエルキュール・ポアロが、鉄道会社に頼まれ密室殺人事件の解明に挑む。
乗客のゲアハルト・ハードマン教授やドラゴミロフ公爵夫人、宣教師のピラール・エストラバドス、キャロライン・ハバードらに聞き取りを行うポアロだったが…。

 幾度となく読み、観ているだけに物語はもちろんとして犯人も既に知っているだけにミステリー映画として今さら金を払ってまで観に行く必要があるのか?と思いが無きにしも非ずもそこは「犬神家の一族」同様に優れたミステリーはトリックも犯人を知っていても何度観てもオモシロいことに間違いないところだし、監督主演もご贔屓のケネス・ブラナーのうえに旧作同様にキャストも豪華となればで張り切って観に行ってきた。

 嘆きの壁から始まりはあまりにもタイムリーなだけになにか予言じみていて何かスゲェ怖ぇ…ここのエピを観るとパレスチナ問題の責任は少なからずイギリスをはじめとするユダヤ優遇による利権が絡んだ故の責任の皮肉めいたものを感じなくも…。
 ベースを忠実に守りながら天才的な推理が目立ち超然としがちな今までの探偵ポアロだけではなく焦燥や事件の背景にあるそれぞれの感情に苦悩する人間ポアロを描いているあたりや、ラストのトンネル内での演出はダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の構図で、責任は手前ぇにありとすべてを背負い込もうとする主犯格のミシェル・ファイファーはまさにキリストで、そう考えると冒頭の嘆きの壁にもつながり「なるほど!」で、この辺は長年シェイクスピア劇に携わってきたケネス・ブラナーらしい古典作品に対するアレンジとアプローチだなぁと思わなくもで贔屓目もあってさすがだし、古典名作を蘇らせてくれたことに感謝。
 いくら歴史ある中東とはいえ1900年代初頭の姿を今の世にそのまま残しているワケもなく、そのほとんどがCGで再現されていてパノラマ感はあるも雰囲気は半減といったところで仕方のないこととはいえ残念かなぁと。
残念といえばラストのトンネル内のシーンで白い息がでていなかったことで、ここは突き刺すような寒さ感があれば事件の背景にある痛みがさらに倍加されたんじゃねぇかなぁと思えなくも。そんなワケで「ナイル殺人事件」に期待!

 ポアロというとTV版のデヴィッド・スーシェと、前述の「ナイル殺人事件」「死海殺人事件」のピーター・ユスティノフのイメージがかなり強いだけにケネス・ブラナーがどれだけ印象を残せるか?と観ていたんだけど、終始フランス訛の英語でしゃべり上記のふたりに劣らずヨカッタ。まぁ旧作でもそうだったけど、本作でのジュディ・デンチ、ウィレム・デフォーの名優たちの存在はウレシイもののやや印象に薄いというのがもったいない気がしないでも。

2017年12月 3日 (日)

星空

Hoshi_2
 台湾&中国
 ドラマ&青春&ロマンス
 監督:トム・リン
 出演:シュー・チャオ
     リン・フイミン
     レネ・リウ
     ハーレム・ユー


                                                                                      【物語】     (シネマトゥデイ)
 美術商の両親は離婚寸前、優しかった彫刻家の祖父も他界し、少女には居場所がなかった。
ある日、彼女はスケッチブックを抱えて街をさまよう転校生と出会い、互いに事情を抱える二人は美しい星空を見るために旅に出る。

 先日、足を運んだ劇場で本作が公開されているのを目にし、以前いつも仲良くしてくれている中国語圏の映画に詳しい「龍眼日記 Longan Diary」のsabunoriさんがお薦めと紹介してくれていたのを思い出し、ロードショー終了も迫っていることもあって予定していたホラー作品を蹴って本作を張り切って観に行ってきた。

 思い返してみると今年は大好物の台湾産の青春群像劇を1本も観てないことに気づく。
それはそれとして初恋と崩れ行く家族と13歳という多感の時期な感情の陰(現実)と陽(ファンタジー)は悪くはないけれども、好みからすると幼過ぎて微妙にノリきれずといったところ。どちらかと言えばラストでチョイとだけ出演したグイ・ルンメイの主演作で台湾産青春映画の代名詞の「藍色夏恋」をはじめ「私の少女時代」や「若葉のころ」のような高校生くらいの追って追われてのはじける様な青春恋愛譚と同監督の「九月に降る風」の少年たちのやるせなく痛い青春群像譚のほうが好みかなぁと。
 折り紙の動物たちの大行進、ゴッホの「星月夜」のなかに入り込んだりと想いを寄せる男の子との距離が縮まった欣美の浮かれた心情の描写が少女らしい無垢さやかわいらしさが出てて魅せられる。
これはかなり個人的なものになるけど、欣美同様にオレも名画のジグソーパズルを作るのが好きなもんだから多くのこれらのアイテムひとつひとつ観ていて楽しく、日本では本作で登場したほどに名画シリーズが出ていないこともあって羨ましくて仕方がなく、そして【mono消しゴム】の良さは台湾でも認知されているのなぁと。
クレジットで流れる原作画がとてもよく、本編を観るより心掴まれた感じがする。

 欣美役のシュー・チャオはチャウ・シンチーの作品に出演してたみたいなんだけど残念ながら未見で初めてお目にかかる女優さん。てかどっかで目にしたことのある薄い顔立ちの美人さんなんだよねぇ…全然思い出せねぇ…。
終盤に大人になった欣美役でチョイとだけ出演したグイ・ルンメイももう三十路超えなのかぁ。彼女のデビュー作の「藍色夏恋」をリアタイで観てるだけになんかすっげぇ感慨深い。

2017年11月26日 (日)

ジャスティス・リーグ

Justice_league
 アメリカ
 アクション&アドベンチャー&ヒーロー
 監督:ザック・スナイダー
 出演:ベン・アフレック
     ガル・ガドット
     ジェイソン・モモア
     エズラ・ミラー


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 ブルース・ウェインは、スーパーマンの捨て身の行動に影響を受け、再び人類を信じるようになる。
彼は新たな相棒ダイアナ・プリンスの手を借り、強敵との戦いに備えて準備を進める。
バットマンとワンダーウーマンとしてお互い協力を約束した彼らは、共に戦ってくれるヒーローたちを集めるが…。

 前作の「バットマンvsスーパーマン」があまりにもだったし、今夏公開された「ワンダーウーマン」もスルーしたこともあって、マーベルの「アベンジャーズ」の向こう張った本作に対して期待させるものは全くの皆無….。
とは言うものの「もしかしたら!」一縷の望みが無きにしも非ずだし、話題作でもあるしなんでとりあえず観に行ってきた。

 悪かぁねぇけど、内容と作り(オマケ映像やら次回作への前振り)はどこかマーベルシリーズで観たような感じが半端ねぇし、ヒーローが死んだかと思いきや生き返りに思わず「ドラ〇ンボール」「キ〇肉マン」かよッ!とツッコミを入れてしまった…。
DCにしろマーベルにしろここまでヒーローの飽和化が進むと、シリーズ途中までは中核をなすもキャラ飽和でいつの間にか淘汰されてしまった天〇飯のようなキャラも出てくるだろうし、収拾もつかなくなるわ、止めるに止められなくなったりとまさに晩年の「ドラゴン〇ール」化しそうな感じがしてくる…「アベンジャーズ」とはちがったダークなテイストは好みだけれども結局のところ主役クラス全員集合より単体作のほうが好きということ。
 スーパーマン&ワンダーウーマンとチーム内に無双キャラが2人というのも前述の「ドラゴン〇ール」がそうだから解らなくはないけど同系ふたりもいらねぇ気がしなくもだし、あまりにもスーパーマンの超人ばなれした強さばかりが際立ち過ぎるのもね。
初めてその名を知るところとなったアクアマンも思った以上に水を使っておらずで、この辺は「サイボーグ009」の008のピュンマ同様にバトルフィールドが水場でないとその特性を活かせず影薄しで終わってしまうあたりは水系キャラの不利なところで、水系キャラにウェイトを置いているオレとしては物足りなさを覚える。
内にこもりがちなキャラが多い中にあってポジティティブなフラッシュの存在はその名が示す通り光っていてヨカッタ。

 J・K・シモンズってゴードン警部役だったのか…最初ダレの役なのか全然解らんかったぜ…なんにせよチームの周りを固めるキャストの顔ぶれが思いのほか豪華。
スーパーマンの実家のトウモロコシ畑を観てたら「それを造れば、彼がやって来る」ってぇ声が聞こえてきただけにケビン・コスナーが写真だけの登場ってぇのがホントに残念でならねぇ。

2017年11月19日 (日)

まともな男

Nichts_passiert
 スイス
 コメディ&ドラマ
 監督:ミヒャ・レヴィンスキー
 出演:デーヴィト・シュトリーゾフ
     マレン・エッゲルト
     アニーナ・ヴァルト
     ロッテ・ベッカー


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 会社員のトーマスは休暇を使って、倦怠期の妻や思春期の娘と一緒にスキー旅行に行く。
家族団らんの旅の予定がなぜか上司の娘ザラまでついてくることになり、1日目の夜に彼女の所在がつかめなくなってしまう。
トーマスが街でザラを発見するものの彼女はレイプされたと衝撃の告白をし、トーマスは警察に行こうと彼女に言うが…。

 20年ほど前に観た「最後通告」という作品は終始ワケが解らず見事に玉砕…と、あまりイイ印象のないスイス映画だけれども、なんでも本国で大ヒットしたうえに同国の映画賞でも受賞とノミネート多数に興味を惹かれ、ちょうどイイ具合にコレといって観たい作品が見当たらねぇし、個人的に欧州の小ぶりなサスペンス作品は掘り出しものに巡り合うことが多々あるしってぇことで張り切って観に行ってきた。

 マジメで不器用で優しいだけが取り柄のトーマスが家族旅行に同行させた上司の娘の身に旅先でおきたトラブルをすべて丸く収まるように東奔西走、孤軍奮闘するも被害者、加害者、家族、そして手前ぇの保身とそれぞれの感情に翻弄され事は思うようにはならず、状況は逆に追い打ちをかけるようにさらに悪化…終盤ではついにトーマスの優しさリミッター(悪くいえば事なかれ主義)が外れて、それまでの比較的ユルりとしたテンポから畳みかけながらも静かに暴走する姿は切羽詰まった感がよく出ていたし、伏線回収も見事で派手さはないものの期待した以上に見応えのある作品だった。
 本作はサスペンスではなくコメディなのね…トーマスがみんなを思ってウソを重ねるもあちらを立てればコチラが立たずになりみんなから非難の目で見られ、何も悪くないはずなのに【事なかれ】や【その場しのぎ】のために手前ぇ自身がドツボにはまりもがく様なんか皮肉でダークで教訓めいていて…そう思い返してみればやっぱコメディ要素の方が強いか。
まぁなんにせよトーマスが思い描いた着地地点ではなかったけど、人柄はもちろんとして多少ズレてはいるものの思考面は大いに共感できる好人物だっただけにとにかくすべてが丸く収まってヨカッタヨカッタといったところ。

 トーマス役のデーヴィト・シュトリーゾフなる俳優さんは「ヒトラーの贋札」に出演してたらしいんだけど、全然記憶にねぇや。
原題の「NICHTS PASSIERT」をサイトで翻訳してみたら「何も起こらなかった」とのこと、なるほどまさにその通りの内容で納得も、片や邦題の「まともな男」って… まぁ確かに登場した人物たちのなかじゃかなりまともだったけれどもなんでこういう次第になったのだろうか?

2017年11月18日 (土)

悪魔祓い、聖なる儀式

Liberami
 イタリア&フランス
 ドキュメンタリー&ホラー
 監督:フェデリカ・ディ・ジャコモ&フランチェスコ・ヴィルガ
 出演:
     
     
     


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 シチリア島の有名なエクソシスト、カタルド神父のもとには悪魔につかれたと主張する人々が、教区だけでなく遠方からも大勢やってくる。これまで公開されることのなかった「悪魔祓い」の儀式の様子と共に、さまざまな悩みを抱え行き場を失って教会に殺到する人々の日常を、カメラが映し出す。

  シチリア島の教会にいるエクソシストたちと悪魔に憑かれた人たちの姿と戦いの実情を追った本作。
となれば以前から悪魔憑きにしろキツネ憑きにしろ真偽のほどは定かじゃねぇけどこの手のものにスゲェ興味があるところだし、ヴェネチア国際映画祭でも「オリゾンティ部門」なるよく解らない部門で最優秀賞受賞となれば信用度も高いとくれば、これは是が非でも観なくてはってぇことで張り切って観に行ってきた。

 悪魔祓いのミサに参加し神父の下に集まる人たちは家族との間に問題を抱えていたり、止めたい気持ちはあれど止めることが出来ないが故にその罪悪感に苛まれる薬物依存者と、首が180度回転したり、口からスライムを吐き出したり、ブリッジで階段を降りたりするようなものではなく、どうみても精神的に問題を抱えた人たちで、心療内科やセラピーでは解決できないところを先日観た「我は神なり」では神の名を騙っていたけれどもここでは祭服を着たカウンセラー=神父が悪魔の名を使いその責任すべてを悪魔になすりつけ治療=ミサと秘儀を施す様は当事者たちにとっては悪魔祓いなのだろくれど、傍から見る者にとっては一歩間違えれば「我は神なり」同様に詐欺の類に見えなくもの印象を受ける。
 その反面、医学のように責任の根源をビシっと突き詰めるのではなくアナタは悪くないと悪魔の責任にして逃げ道をつくるあたりは宗教の受容性や寛容さの高さを見る感じで、現代の細分化されるメンタル面の病から救済されるための昔から続く治療法&システムのひとつなんだなぁと。

 カタルド神父は救済を求める人に対して思いのほか突き放した物言いだし、電話越しで悪魔と対峙したり、儀式につかう聖水は水道水だし、塩はスーパーで売ってる食塩だったことを見ると到底【秘儀】には見えず。
ただ給料の未払いの相談は神父さんではなく弁護士さんなり仁鶴相談室長したほうがイイと思うわ。

2017年11月12日 (日)

IT / イット “それ”が見えたら、終わり。

It
 アメリカ
 ホラー
 監督:アンディ・ムスキエティ
 出演:ジェイデン・リーバハー
     ビル・スカルスガルド
     フィン・ウォルフハード
     ソフィア・リリス


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み“それ”に立ち向かうが…。

 モダンホラーの帝王スティーヴン・キングの代表作の「スタンド・バイ・ミー」のジュブナイル的要素と氏の真骨頂であるホラーが組み合わさった「IT」が90年のTV版以来となる再度の映像化にいちキングファンとしては実によろこばしい。
ただそのTV版を観てからも原作を読んでからもだいぶ時間が経ってしまっていることもあって記憶がかなりヤバいという不安要素はあるものの今シーズン終盤のなかでもいちばん楽しみにしていた作品なんで張り切って観に行ってきた。

 TV版ではそれほど感じられなかった子供時代のトラウマや友達とのイイ思い出の追体験感はとても心地がヨカッタし、それと同時に子供たち個々の恐怖対象と歪んだ描写の親や大人に抱く恐怖心やコンプレックスのエピは思った以上に重くジメっとしたイヤ~な心持ちになりと、子供時代の理由なき恐怖、得体のしれないものへの恐怖一辺倒ではないつくりに「さすがはモダンホラーの帝王!」と今さらながらに感心。
 ここでオチは言えねぇところだけど、上梓した同時代の作品で「ミザリー」は別として本作のオチは「トミー・ノッカーズ」同様に何となく迷走していた感のある時期の作品で、お世辞にも納得いくオチではないだけに「大人時代のエピを省いて子供時代のエピのみにしたのね」と妙に納得するも最後に【第一章】の文字が…そうよね、本作はペニーワイズとの対決よりも負け犬軍団たちのいじめっ子&親との対決の方がはるかにオモシロイところではあるけど、普通に考えてこのままで終わるワケだわな。
 原作にあったかは忘れてしまったけれど、ベバリーが血まみれになるエピは「キャリー」を、エディのTシャツにあった牙向く車のイラストは「クリスティーン」、黄色いレインコートもキング作品(「アトランティスのこころ」)ではなじみ深くてとキングへのリスペクトと遊び心がオモシロイ。
そんなこんなで大枠とオチ程度しか覚えていないことが逆に吉と出たといったところだし、出来不出来の差が激しくあるキング原作映画のなかにあってかなり出来のイイ部類に入るのではなかろうかと。

ペニーワイズはTV版で演じたティム・カリーの方が見た目的にも遥かに怖いものがあったなぁ。
個人的な意見としてはこういう得体のしれないピエロとか怪人ってきっちり作り込んむより、メイクがハゲてるとか中途半端感というかチープ感があった方が逆に怖く感じられるように思えるんだけどなぁ。 大人版のキャスティングに期待。

2017年11月 4日 (土)

氷菓

Hyoka
 日本
 ミステリー&学園&青春
 監督:安里麻里
 出演:山崎賢人
     広瀬アリス
     小島藤子
     岡山天音


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 神山高校に入学した折木奉太郎は、姉の指示で渋々廃部の危機にある古典部に入部する。
もともと必要最低限のことしかやらない“省エネ主義”の彼は、ここで誰よりも好奇心旺盛な千反田えると知り合う。
さらに折木と中学校時代から付き合いがある福部里志と伊原摩耶花も入部してきて…。

 原作は未読どころか原作があることすら知らず、だもんでTV放映時も別に期待をして観始めたワケでもなく、ただ何となく1話2話と観ているうちに徐々にそのゆるりとした空気のなか繰り広げられるたわいもない学園ミステリーの展開に惹かれ気づけば第2クールの最終話まで観てしまった経緯もあるし、今年は「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」「あさひなぐ」と普段なら観ないアニメ&コミックスの実写化ものに足しげく通ってもいるんで、それならば観ておけってぇことで張り切って観に行ってきた。

 謎解きといっても大仰なものではなく、学園生活で転がっているチョイと不思議な些細な出来事や過去にあった出来事や思い出をほじくり返しては仲間内でやいのやいのやってるだけ程度のものだから、本格的な謎解きを期待する人や原作&アニメ版を飛び越えていきなり本作に手を出しちゃった人にしてみれば、あまりにもダイジェスト的だった冒頭の2つほどの謎解きのエピのせいもあって全体的に「オイオイ…。」となってしまうのは否めねぇなぁと。
 比較的あたたかい目線で観ているオレですらそう思えたのも確かなところだし、 ましてや千反田える役の広瀬アリスは「いや彼女じゃないでしょ…。と言わざるを得いところではあったものの、余計な足し算引き算もしておらずの忠実な作りは好印象だし、強烈な印象を残す感じの作品ではないこともあり虫食い的に忘れているところがあったことも手伝って可もなく不可もなく楽しめたし、アニメ版ほど個々のキャラにイラっと来ることもななくで思った以上の出来栄えだったのではなかろうかと。

 やっぱどう考えても千反田える役の広瀬アリスは違うよなぁ…何かもっとこうほわわんとしたイメージなんだなよね。
う~ん…そうだなぁ…ちょっと違うかも知れねぇところだけど乃木坂46の佐々木琴子みたいな気がしないでも。
ここのところアニメ&コミックスものばかりが続く絶好調山崎賢人は雰囲気は合っていなくもだけど演技の方がチョットな…。

2017年10月29日 (日)

ゲット・アウト

Get_out
 アメリカ
 ホラー&サスペンス&ミステリー
 監督:ジョーダン・ピール
 出演:ダニエル・カルーヤ
     アリソン・ウィリアムズ
     ブラッドリー・ウィットフォード
     ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリスは、週末に恋人の白人女性ローズの実家に招かれる。
歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。
古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながらすさまじい勢いでクリスに詰め寄り…。

 不作なのか? それとも単に惹かれる作品に行きあたらないのか? 今シーズンはここまでホラーらしいホラー作品は「ウィッチ」程度しか観ていない。そんな中にあって低予算で大ヒットのホラー作品となれば観ないワケにはいかないし、何より【99%大絶賛】の解るような解らない謳い文句に惹かれ張り切って観に行ってきた。

【ネタバレ注意】
 白人コミュニティの中の黒人と差別・偏見ネタのうえからさらに紹介される恋人の実家と家族ネタが加わり、その違和感や不穏感たるやで冒頭から漂う空気の心地悪さといったらで上々の出だし。おそらくこういうオチなんじゃね?とつけた予想は裏切らることはなかったものの伏線の回収と畳みかけが見事で、不気味で怖いのにもしかしてコメディ?と思いたくなる趣とブラックさがなくもないオモシロ怖い作品だった。
 冒頭の車と鹿との衝突事件が主人公クリスに及ぼす心理効果からの催眠術の演出はマジでエグく、催眠術への対抗策と解術の攻防も一風変わったテイストでオモシロい。またローズの姓がアーミテージというのもたしか「隠れ家」の意味合いがあると聞いたことがある気がすることから考えると施術効果に巧くつながっていていなくてもで、よく考えたものだと感心させられる。

 メイドのジョージィナも怖かったけど、なにより夜の庭をこっちに向かって全力疾走してくる使用人の黒人男性の怖さと言ったら半端なくガチでブルっちゃうこと請け合い。
早いウチから事の真相に行き当たったクリスの親友のロッドが本作でいっちゃんおいしい役どころ。

2017年10月28日 (土)

ブレードランナー 2049

Br_2049
 アメリカ
 SF
 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
 出演:ライアン・ゴズリング
     ハリソン・フォード
     ロビン・ライト
     ジャレッド・レトー


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。
2025年、科学者ウォレスが遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカードが突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカントの寿命に制限がなくなっていた。

 前作の公開から30年以上の時が経ち、いまだ絶大な人気を誇る「ブレードランナー」の続編となる本作。
正直なところSFはあまり得意ではないけれども、深いテーマ性と何より巨匠リドリー・スコット監督の静謐で重厚な作風から「エイリアン」同様に数少ないお気に入りのSF作品でもあるし、デッカードとレイチェルのその後を知りたくもありだったんで、やっぱりダメだったの返り討ち覚悟で観に行ってきた。

 レプリカントの意思云々だけでもついて行くのがやっとなのに生殖(人間とレプリカントの間にできた子供?)だの、同様に意思を持つホログラムの女性と生命を持つ人間と持たないけれども人間の姿をした面々との間にある境界が解らず、なにがなにやらのチンプンカンプン無双に…正しいかどうかは「?」だけれども前作同様に「命」とか「意思決定」であったのかなぁと。
正直なところいまいちストーリーが掴みきれてねぇってぇのが実のところであり、同じSF作品なら「インディペンデンスデイ」程度に軽~く観られるものがオレには向いているようで、そんなワケで見事に返り討ちに。
 うどん屋の屋台とか漢字があふれた日本テイストの雑踏の踏襲(前作、やはりリドリー・スコット監督の「ブラックレイン」ほどの湿気感は感じられず)と前作でデッカードの相棒だったガフ(「バトルスター・ギャラクティカ」のアマダ艦長役のE・J・オルモスだったとは知らんかった)の登場としかも折り紙を折っているエピはウレシかった。それも折ったのが羊ってぇのも心憎い。
終盤での巨大な倒壊した裸婦像の数々に江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」「影男」「大暗室」あたりを想起させられたくらいが感じ入ったところかな。

 ライアン・ゴズリングの愁いを帯びながらも無表情な感じがとても印象的。前作のショーン・ヤングに変わってのヒロイン、ジョイ役のアナ・デ・アルマスもカワイかったし、あと役名ど忘れしたけどダリル・ハンナばりに強かったKを追う女性シルヴィア・フークスのふたりの女性の存在に目が行った。