劇場公開

2023年5月28日 (日)

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

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 日本
 ミステリー & サスペンス
 監督 : 渡辺一貴
 出演 : 高橋一生
      飯豊まりえ
      長尾謙杜
      安藤政信
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 相手のことを本にする特殊能力 ヘブンズ・ドアー を持つ漫画家・ 岸辺露伴 は、かつてある女性から聞いた 「 この世で最も黒く、邪悪な絵 」 の存在を思い出す。 新作に取り組む中でその絵がルーヴル美術館にあることを知った彼は、絵を見るためフランスを訪れる。
ところが美術館職員ですら絵の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、すでに使用されていない地下倉庫を示していた。
そこで露伴は絵が引き起こす不可解な出来事に遭遇する。
 
 「 ジョジョの奇妙な冒険 」 ファンを名乗りながらも本作、「 動かない 」 の 岸部露伴 シリーズは未読。
未読ながらも 4 部のエピを織り交ぜながらの NHK のTVドラマシリーズは独特のテンポと 岸部露伴 役の 高橋一生 の妙なハマり具合はことのほかオモシロくあったんで、劇場版もオモシロいであろうの期待もあって張り切って観に行ってきた。
 
 「 この世で最も黒く、邪悪な絵 」 の設定はやや難しくあったけれども、今まで通り日常に潜む奇妙な出来事、そこにルーブル美術館が持つ妖しさが加わり、異様な雰囲気のなか謎を追うは間違いなくオモシロくあった。 なれどそのワリにはオチがありきたりもありきたりの過去の因縁話なうえに冗長さもあっていまいち感が拭えず… 原作未読なんで比べようもないんでアレなんだけれども、なんかこうもっと 露伴先生 がギリギリまで窮地に追い込まれる展開が観たったかなぁと。 正直なところ 1 時間前後のテレビ枠で十分といった感じがしなくもで、まぁ及第点と合格点の間といったところ。
 バックヤードには約 15 kmにおよぶ地下通路や屋根裏通路が存在し、美術品の他に芸術家たちの魂や歴史を内包している ルーヴル美術館 に対し露伴先生の 「 人の手に負える美術館じゃあない 」 のセリフに思い違いとしても ルーヴル美術館 を一体の 幽波紋使い と例え」ていると感じとれたりもして個人的にはグっと来るものが。
 
 もう原作を読んでも 露伴先生 = 高橋一生 にしか見えなくなりそうだ。 実際に見ると違和感が半端ねぇだろうと思っていたあのバンダナが、それほど違和感なく観れてしまうのがスゴい。 人を振り回すのが得意の 露伴先生 が天衣無縫の 泉京香 に振り回されているのがオモシロいし、何より無自覚の最強というのが最高。いいコンビだ。

2023年5月21日 (日)

ソフト / クワイエット

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 アメリカ
 サスペンス & ホラー & ドラマ
 監督 : ベス・デ・アラウージョ
 出演 : ステファニー・エステス
      オリヴィア・ルッカルディ
      エレノア・ピエンタ
      メリッサ・パウロ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 幼稚園に勤務する エミリー は 「 アーリア人団結をめざす娘たち 」 という白人至上主義グループを立ち上げ、教会で会合を開く。
参加した 6 人の女性たちは有色人種や移民への不満などを語り合い、エミリーの家で 2 次会を行う。
しかし、立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹と口論となり、怒りが収まらない エミリー たちは姉妹の家を荒らすことにする。
 
 オレ的にも世間的にも 「 A24 」 とならんで評価の高い 「 ブラムハウス 」 制作による ジョーダン・ピール 監督ばりの人種差別サスペンス & ホラー に大きく期待ということで、張り切って観に行ってきた。
 
 清掃員の配慮の足らない仕事の仕方に注意を促すのは一般な感覚として解るけれども、その理由が有色人種であるから、そしてそれを手前ぇではなく偏った思想を理由に子供に注意させるという主人公 エミリー の人間性の針は冒頭から振り切っていてかなりヤバい。 その エミリー を筆頭に白人至上主義をお題目とするグループに集まった面々もみな手前ぇの不遇を有色人種に責任転嫁する手前ぇ勝手な負け犬たちばかり。 挙句、熱に浮かされてバカ騒ぎしてドツボにはまるはホント胸クソ悪く不快のひとこと。
 なれどこの連中は初対面にもかかわらず、承認欲求が強いとか互いの性格を瞬時に見抜いて互いにチクリチクリ攻撃してくる様をはじめ、享楽から悪夢に転じる瞬間、失うものがなにも無い奴は無敵、そこからの指揮権の移動と、石ころが坂道を転がるがごとく凄まじい勢いで展開していき、ワンショット映像だからこその臨場感も相まって中盤以降はその勢いとストレスに圧倒されてしまった。
 
そんなこんなで、一筋縄じゃあいかねぇあたりは、さすがは 「 ブラムハウス 」 といったところで、調子に乗って二次会でハメを外すのには気を付けよう、そしてさらに地獄の三次会が始まるぜってぇことで、思った以上にオモシロかった。

2023年5月20日 (土)

縁路はるばる

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 香港
 ロマンス & コメディ
 監督 : アモス・ウィー
 出演 : サム・カーキ
      セシリア・ソー
      クリスタル・チョン
      レイチュル・リョン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 20 代後半の IT オタクの ハウ は、内向的で温厚な性格だった。 ある日、それぞれ個性的でチャーミングな 5 人の女性たちと知り合うチャンスがめぐってくる。 全員が都会から遠く離れた田舎に住んでいるという点を除けば、彼女たちにはほとんど共通点がなかった。
ハウ はへき地で暮らす5人の女性と会うために、各地をめぐる。
 
 中国語圏のアクションやホラー作品は定期的に観てはいるのだけれども、ほっこり系ラブコメ となるとちょいとご無沙汰となってしまい、その辺の要素が欠乏気味となっていまい些か心がカサついていなくもなんで、本作の公開にこれ幸いと心の栄養素を摂取すべく張り切って観に行ってきた。
 
 香港のというと旺角 尖沙咀 に 銅鑼湾 と賑やかな街しか思い浮かばないけれども、もちろん香港にも田舎、それもとてつもなく辺鄙なところもあることを再認識させられたうえに、繁華街とは違った魅力に時間をかけて香港を周りたいなぁと強く思わされた。 それに 香港と中国の境界領域に設けられた住民以外の立ち入りが制限されている区域 「 辺境禁区 」 というものが存在することを初めて知った。 それなりに香港映画を観てきているつもりではいるけれども、まだまだ知り得ぬことが多々あり手前ぇの勉強 認識不足を軽く反省。
 ストーリーもオチも 「 大きな魚は遠くではなく足下にいる 」 のベタな感がなきにしもなのと、ひとクセふたクセある個性豊かな彼女たちに会うために何時間もかけて移動の行の苦労さや事件経過の描写があっさりしていることで、距離 ( 遠路 ) 感はいまいち伝わって来ないのが気になるところだけれども、彼女たちとの微妙な心の距離 ( 縁路 ) 感の描写、ポップな展開ながらも要所要所でビターの演出も良く概ね好印象といったところ。
 
 朴訥としてイイ感じにヲタ感のあるルックスの ハウ 役の サム・カーキ がイイ味をだしていた。 日本であれば 仲野太賀 あたりが演ったら似合いそうな気がする。 登場した女性たちもみなカワイかったし、役柄と実年齢が近いというのも等身大感があってヨカッタ。
久々にゆっくり聴く C-POP も耳に心地がイイ。 「 東方的威風 」 でも聴いてテンションあげるかな。

2023年5月14日 (日)

フリークスアウト

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 イタリア & ベルギー
 アクション & ドラマ & ファンタジー
 監督 : ガブリエーレ・マイネッティ
 出演 : クラウディオ・サンタマリア
      アウロラ・ジョヴィナッツォ
      ピエトロ・カステリット
      ジャンカルロ・マルティーニ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 第2次世界大戦下のイタリア。 サーカス団 「 メッツァ・ピオッタ 」 には、光と電気を操る少女 マティルデ など特殊な能力を持つ団員たちが属し、5 人の団員が寄り添って暮らしていた。
ある日、ユダヤ人の団長イスラエルが突然いなくなる。 団員たちは仕事を求めてナチス・ドイツの広告塔でもあるベルリン・サーカス団に入るが、団長の フランツ はナチス・ドイツの戦略に利用できる異能力者を探していた。
 
 15 年公開でその年のオレ的ベスト 10 内にランクインした 「 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ 」 の ガブリエーレ・マイネッティ の最新作。
異能力 サーカス団 ナチス この魅力しかあねぇワードの数々は何よ? もはや期待しかねぇってことで張り切って観に行ってきた。
 
 単純に異能力集団 VS ナチスの痛快アクションかと思いきや、その異能ゆえに社会に受け入れられない マティルデ の存在はナチスによるユダヤ人 障碍者 を迫害した事例に準えてあり、醸し出される雰囲気や設定とは裏腹に社会性が強く、また 「 炎の少女チャーリー 」 や 「 スターウォーズ 」 のオマージュといった遊び心など見応えのある作品だった。
その反面、2 時間半という長尺ゆえのダレ感をはじめ、あまり必要性を感じない性的描写に興を削がれる感がなくもで、確かにオモシロくはあるけれども先の 「 鋼鉄ジーグ 」 と比べるとが本音かも知れねぇ。
 「 能力をうまく使え 」 と言ってたワリには異能力設定の詰めの甘さが目立つんだよなぁ… みんな覚醒前と考えれば仕方のねぇところとしても、虫使いなんて間断なく蝗やハエ 蚊の大群を送り込めば大国の 1~2 カ国なんて簡単に亡ぼせる能力なのに使いきれてねぇからなぁ。 逆に敵の フランツ は予知能力ゆえにドイツの行く末を知りながらもコンプレックスのせいで道を見誤ってしまう悲哀溢れる人間描写はすげぇヨカッタ。
 
 フランツ は予見したんだろうねぇ レディオヘッド の 「 Creep 」 をピアノ演奏したときはマジでシビれたよ。
もう一曲のほうは聞き逃しちゃったんで何の曲かは判らなくあるのが残念ではあるものの、この曲を持ってアメリカに逃げてショービジネスの世界に逃げ込めば成功しこと間違いねぇんじゃね?と思ってしまう手前ぇの下世話さよ…。

2023年5月13日 (土)

劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ

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 日本
 ドラマ & コメディ
 監督 : 大谷健太郎
 出演 : 松村沙友理
      中村里帆
      MOMO
      KANO
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 えりぴよ は 3 年前の七夕まつりで岡山県の地下アイドル 「 ChamJam 」 の 舞菜 に出会って以来、アルバイトの収入のほとんどを推しである 舞菜 のために使い、ファン仲間の間で伝説になっていた。 東京進出のうわさもある ChamJam の応援にますますのめり込むえりぴよだったが、 舞菜 は人気が伸び悩んでいることを気にしていた。
 
 正直なところ興味もなし… じゃあ何して観る? と問われれば、乃木坂ちゃん OG の まっちゅん ( 松村沙友理 ) を観たいからの毎度おなじみの理由。 まぁそんなワケで、まっちゅん を楽しめればで張り切って観に行ってきた。
 
 原作もドラマシリーズも未読未見なんで楽しめるか? の不安が少なからずあったのだけれども、アイドルを問わず 【 推し活 】 をしている人たちや えりぴよさん の姿や感情は、進行形で 乃木坂ちゃん の推し活をしている手前ぇとリンクする ( 消極的、塩対応の 舞菜 のキャラが推しだった ことこ ( 佐々木琴子 ) とまる被りだから余計 ) ことでいちいち共感し、最後は危うく涙を流しそうに。
正直なところこれがアイドルに全く興味のなかった 10 年以上前だったらここまで心に刺さりもしなかったことだろう。 乃木坂ちゃん を知りえたことで得られた感情かもしれん。
 「 それぞれの形の推し活があってもいい。 ただしルールとマナーをきちんと守ること 」 のセリフはオレも夢中にはなるけれども、どこか距離をおいて俯瞰で見ることにしてるからものスゲェ共感できる。 これをきちんと言えるヲタ仲間の くまささん はヲタの鏡だと思う。
そんなこんなで想定外も想定外の良作といったところで、 まっちゅん 目当ての下心まる出しで劇場に足を運んだことを軽く反省。
 
 ChamJam のメンバー全員カワイイけれども、まっちゅん の方が遥かにカワイイという事実… だからこそ 乃木坂ちゃん なんだけどね。
正気なところ演技は世辞にも巧いとはだけれども、乃木坂在籍中でもちょいちょい見せていたイイ感じに エキセントリック、サイコパスなところはさすがといった感じ。

2023年5月 7日 (日)

EO イーオー

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 ポーランド & イタリア
 ドラマ
 監督 : イエジー・スコリモフスキ
 出演 : サンドラ・ドルジマルスカ
      ロレンツォ・ズルゾロ
      マテウシュ・コシチュキェヴィチ
      イザベル・ユペール
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 好奇心あふれる灰色のロバの EO は、サーカス団で暮らしていたが、ある日そこから連れ出される。
以来放浪の旅を続ける中で、善良な人間だけでなく、悪意を持った人間とも出会うが、何があろうとも EO が持ち前の無邪気さを失うことはなかった。
 
 ロバが主役。
劇場に足を運ぶ理由としてはそのひとつだけで十分っしょってぇことで張り切って観に行ってきた。
 
 正直なところ 「 僕のワンダフル・ライフ 」 や往年の名作 「 三匹荒野を行く 」 のような動物たちが織りなす健気な物語を期待していたのだけれども… 確かに健気っちゃあ健気だし愛らしくもある主役のロバの EO の目線から見た人間の愚かさを描くと同時に、狩猟 虐待 殺処分 事故 屠殺と人間の手によって動物たちにもたらされる時に不条理な死云々の動物愛護の観点は思いのほか重く深いテーマで、限りなく言葉少なであるがゆえの雄弁といった感じで素晴らしく、イイ意味で期待を大きく裏切られた作品。
 
 正直なところ狩猟 殺処分 屠殺で動物の命が奪われるシーンがホントに苦手も苦手でいく度となく目と耳を塞がなきゃならねぇのがホントに辛かった。 取り分けてラストで暗転してからの… はあまりにも無常過ぎて、今もって心が追いつかず…。
ロバの EO がホントに愛くるしい。 ロバの魅力再発見。

2023年4月29日 (土)

聖闘士星矢 The Beginning

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 アメリカ
 アクション
 監督 : トメック・バギンスキー
 出演 : 新田真剣佑
      ショーン・ビーン
      ファムケ・ヤンセン
      マディソン・アイズマン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 幼少期に姉と生き別れた青年 星矢 は、スラム街にある地下格闘場で戦っていた。
ある日、不思議なパワーを出現させたことで謎の集団に狙われるようになる。 そして、 城戸アルマン という人物から、 星矢 の内に秘められた力 小宇宙 ( コスモ ) を鍛えて、女神アテナの生まれ変わりである シエナ を守ることが星矢の運命だと告げられる。
 
  「 星矢 」 はど真ん中世代だけに 【 小宇宙を燃やすぜッ! 】 で、もはや期待しかぁないッ!
んなぁワケは毛の先ほどにもあろうはずもなく要は、かつて作者 鳥山明氏 が公開前から責任放棄した 「 ドラゴンボール 」 同様に 【 酔狂 】 だよ 【 酔狂 】 ってぇやつで、少なからず 「 もしかしたらッ!? 」 の期待を抱きながら観に行ってきた。
 
 いろいろと原作にはないアレンジが施されていて、しっくり来ないところがあったけれども、軸はしっかりと 「 聖闘士星矢 」 してたし、何より冒頭でのアテナを救い出した 射手座のアイオロス と、それを追討する 山羊座のシュラ の行をしっかり描いているあたりや、鷲座の魔鈴さん の再現度の高さ、アニメ版に倣って アテナ の髪の毛が紫色、とりわけて キド = 城戸光政 の側近の 辰巳 ( かなりカッコよく描かれてた ) と、それなりに 星矢 に思い入れがある人が作った感が伝わってきた。
 功夫チックなバトルは違う。 流星拳が何かショボい、「ペガサス流星拳 」 「 鳳翼天翔 」 の必殺技名の掛け声がないのはもっての外の難はあれど 「 北斗の拳 」 「 デビルマン 」 「 ドラゴンボール 」 「 進撃の巨人 」 と国内外で実写化され、どれも散々な出来栄えの作品群の中では比較的上出来の類で、いち 星矢 ファンとしてはホントに 【 酔狂 】 で終わらなくてホッと一安心といったところ。
そんなこんなで、他の 青銅聖闘士 の合流、 「 メデゥーサの盾 」 があったことから ペルセウス星座の アルゴル が登場するのか? が気になるし、何より 黄金聖闘士 との死闘が観たくあるんで 続編 に期待。 ムズかしいかな…。
 
 真剣佑 の身体の作り込みに感服。 最初に纏った聖衣が初期モデル、一輝 = ネロ の鳳凰座の聖衣 ( しれっと 幻魔拳 使ってるのもイイ ) と原作通りのデザインは最高で高評価。 だけに終盤での強化された 星矢 のデザインがなぁ… 残念。
母ちゃんは 普通に 蛇遣い座の シャイナさん でヨカッタんじゃね? というより シャイナさん が観たかったし、曲は 「 ペガサス幻想 」 を使って欲しかった。

2023年4月23日 (日)

ベネシアフレニア

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 スペイン
 ホラー
 監督 : アレックス・デ・ラ・イグレシア
 出演 : カテリーナ・ムリーノ
      コジモ・ファスコ
      イングリッド・ガルシア・ヨンソン
      ニコラス・イヨロ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 結婚間近のスペイン人 イサ と友人たちは独身最後の記念に、カーニバルでにぎわうイタリアのベネチアを訪れる。
しかし、近年同地では観光客の増加による環境悪化が社会問題となっており、彼らは 「 観光客は帰れ 」 というプラカードを掲げた人々に迎えられる。 イサ たちは気を取り直して観光を楽しもうとボートに乗ると、突然カーニバルの衣装を着た道化師が乗り込んでくる。
その正体は、観光客を手にかける狂気の殺人鬼だった。やがて若者たちは、一人また一人と殺人鬼の餌食となっていく。
 
 一時、漁るように観ていたスペイン産のホラー、サスペンス作品だけれども、ここ数年は惹かれる作品が見当たらず、疎遠になっていただけになんかスゲェ久々な気がする。 雰囲気も良さげだし社会性もありそうだしで期待大ってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
【 ネタバレ要注意 】
 ペストマスクや道化師の仮装や舞台となるヴェネチアのエキゾチックな風景をはじめ、70年代あたりのヨーロッパ、イタリアのホラー映画のグラフィックアートを意識したオープニング、絵に描いたような浮かれた主人公たちと意味ありげな人物たちの演出は雰囲気があって一気に惹きつけられる。 また、観光立国における観光客飽和がもたらす利益と弊害云々のテーマも意外性があって興味深い。
 その反面、社会的大義は名目でしかなく私怨でしかない主犯の夫婦の計画の行や、双子の確執と大事な部分の描写の詰めの甘さが目立ち、何よりふわっとし過ぎて締まらないオチが残念というか… まぁその辺と多少のダレを愛嬌とすれば、血飛沫も多めで普通にオモシロくはあったといったところ。 あとはこれといって語るところはなし。
 
 ホラー作品に限らず以前のように 【 中規模 】 もしくは、 銀座シネパトス や シアターN渋谷 ( ともに閉館 ) あたりでよく観た 「 ゾンビ VS ストリッパーズ 」 や 「 プレスリー VS ミイラ男 」 のような 【 おバカ 】 作品を劇場で観る機会がめっきり減ってしまい寂しさ強く覚える今日この頃。 だけにシネコンあたりでこの規模、この手の作品を観られるだけで妙にうれしくなってしまう。

2023年4月22日 (土)

聖地には蜘蛛が巣を張る

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 デンマーク & ドイツ & スウェーデン & フランス
 サスペンス & ドラマ & 犯罪
 監督 : アリ・アッバシ
 出演 : メフディ・バジェスタニ
      ザール・アミール=エブラヒミ
      アラシュ・アシュティアニ
      フォルザン・ジャムシドネジャド
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 イランの聖地 マシュハド で売春婦連続殺人事件が発生する。 「 街を浄化する 」 という信念のもと、犯行を重ねる殺人鬼 スパイダー・キラー に人々は恐怖を抱く一方で、犯人を英雄視する市民も少なからずいた。
そんな中、事件を覆い隠そうとする圧力を受けながらも、女性ジャーナリストの ラヒミ は臆することなく事件を追い始める。
ある夜、彼女は家族と暮らす平凡な男の狂気を目の当たりにする。
 
 イランで実際に起きた娼婦連続殺人事件から着想を得たらしく、この手の事件ものが大好物なのと、そこに宗教や社会的弱者の女性の人権とイランが抱える諸問題の背景にも惹かれるところが大きく、その辺を楽しめればと思い張り切って観に行ってきた。
 
 ミソジニストによる街娼連続殺人事件を女性記者が追う云々に単純にサスペンス劇と思い込むも、フタを開けてみりゃあ女性が何ゆえに夜の街に立たなければならないのか?に目を向けることもなく、経典やイスラム法といった教義の名のもとに街の浄化と称して行われる殺人を英雄行為として受け入れる盲信的倫理観や、警察や聖職者たちの権力、すべてはホントに神のためなのか? といったイラン が抱える闇や歪みを色濃く描いていて、社会性の強いパンチの効いた見応えのある作品だった。
最後にキライじゃあねぇけれどもどういう経緯、齟齬があってああなったのだけが解らずモヤっとさせられる。
また、昨今の何かにつけ多様性を謳う風潮にイラつかされるけれども、その多様性を許さない本作のような一元化された世界を見ると、多様性の意味合いをあらためて思い直すイイ機会にもなった気がしなくも。
 
 それまで常に挙動不審でオドオドとしていたサイードが逮捕後に多くの支援者を得て、英雄視されていくうちに無罪を確信し、自信を漲らせていく姿と、その遺伝子というか狂気が周りに受け継がれている描写や道徳警察なる存在がスゲェ怖い…。
女性記者 ラヒミ の孤軍奮闘ぶりもヨカッタけれども、同僚の男性の別れ際のそれとない告白が一服の清涼剤となっていて好印象。

2023年4月15日 (土)

パリタクシー

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 フランス
 ドラマ
 監督 : クリスチャン・カリオン
 出演 : リーヌ・ルノー
      ダニー・ブーン
      アリス・イザーズ
      ジェレミー・ラウールト
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 パリでタクシー運転手をしている シャルル は、金もなければ休暇もなく、免許停止寸前という人生がけっぷちの状態にあった。
ある日彼に、 92 歳の マドレーヌ をパリの反対側まで送り届けるという仕事が舞い込んでくる。
彼女の頼みでパリの街のあちこちに立ち寄るうちに、 マドレーヌ の知られざる過去が明らかになっていく。
 
 コミカルでほのぼのタッチで綴られる人生再出発劇が大好物だから期するところが大きく、そしてパリの街中をあちこち巡るに
ちょっとした旅行気分も味わえそうってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 ヒロインの老女 マドレーヌ の話好きで矍鑠とした姿と車内のほのぼのとした雰囲気に反して、それまで マドレーヌ が歩んできた人生が思いのほか壮絶であったのに驚かされる。 それでも品格や強さを失わず、時に茶目っ気や皮肉を披露しつつ、残り少ない時間を快活に生きる マドレーヌ の姿をはじめ、結婚観や女性の社会的地位に関して寛容というかリベラル思想かと思っていたフランスも 50 年代はやはり封建的であったようで、この辺の背景やストーリー展開は 「 フライド・グリーン・トマト 」 を彷彿とさせ、思いほのか フェミニズム な作品だったなぁと。
 一日かけてタクシーでパリの街を巡るツアーのほとんどが、タクシー車内でのことだったけれども、車窓から見える街並みや名所に同じ街でも東京やニューヨークじゃあこう画にはならず映えずでさすがは パリ 別格。
そんなこんなで、好きな作風だし元気ももらえたんで高評価といったところ。
 
 ジャン=ピエール・ジュネ監督の 「 ミックマック 」 以来となる ダニー・ブーン 。 出演作を観ているつもりだったけれども、
思いのほか観ていなかった… 本数のワリにはかなり印象が強く残ってんだよなぁ。
マドレーヌ 役の リーヌ・ルノー は御年 95 歳とのこと。 年齢も然ることながら女性活動家としても有名らしく、まさに マドレーヌ を地で行っていて、スゴイのひと言。

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