カテゴリー「劇場公開」の記事

2020年3月28日 (土)

恐竜が教えてくれたこと

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 オランダ
 ドラマ & コメディ
 監督 : シュテーフェン・ヴァウターロート
 出演 : ソニー・コープス・ファン・ウッテレン
      ヨゼフィン・アーレントセン
      ジェニファー・ホフマン
      ユリアン・ラス
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 11歳の少年サムは、1週間の夏の休暇を過ごすために家族と共にオランダ北部の島を訪れる。 生き物には寿命があると気づいた彼は、最後の日を迎えた恐竜たちがそのことを知っていたのかと考える。 ある日サムの前に、母親と二人で島に暮らす元気な少女テスが現れる。 奔放な言動でサムを振り回すテスには、父親に関するある秘密があった。
 
 取り立てて期待させられるってぇワケではないのだけれども、物語も児童文学だし、欧州の仄々系の作品も、まぁ間違いなく安牌でよほどのことがない限り、大きくハズれることもなかろうってぇことで、取り合えず観に行ってきた。
 
 主人公サムの 「 最後の恐竜は自分が最後の一頭だって、分かってたのか? 」 と、死や孤独について考えるその内容は思いのほか哲学的で、 たくさんの経験や思い出が人を大きくし、豊かにするといった教訓的なことも語られていて、原作が児童文学とはいえ大人も確りと観られる作り。 良かれと思ってやったことが、人を傷つけることもあれば、時としてそのお節介が人と人を繋ぐこともあるから、とかくこの世は複雑だ…傷つけ傷つけられ、癒し癒されを繰り返して人は大人になっていくのだなぁを大人のオレが 11 歳のサムの姿を通して、あらためて教わった感じがする。
 オランダの世界自然遺産であるテルスヘリング島と干潟の美しい景色、和かい夏の日差しに気持ちのイイ夏休みを過ごしている気にさせてくれると同時に、少年少女の成長譚とロマンス譚、そして多くのやさしい大人たちと悪人が一切登場しない辺りも観ていてホントに心地がイイ。
 
 それはそれとして、 最後の恐竜は決して不幸ではないの答えを導き出したことを思えば、タイトルが 「 恐竜が教えてくれたこと 」 であることに、あながち間違いではないのだけれども、何かこういう書き方されると恐竜や化石が絡んでくる物語と勘違いをしなくもなし … だもんで、原題通り 「 ぼくとテスとの秘密の七日間 」 でもヨカッタのでは? と、思えなくも。

 

2020年3月21日 (土)

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

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 アメリカ
 アクション & アドベンチャー & ヒーロー
 監督 : キャシー・ヤン
 出演 : マーゴット・ロビー
      メアリー・エリザベス・ウィンステッド
      ロージー・ペレス
      ユアン・マクレガー
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 ジョーカーと別れたハーレイ・クインは束縛から解放され、街にはびこる悪党が敵意を持つほど暴れまくっていた。
謎のダイヤを盗んだ少女をめぐって、裏世界を支配するサイコパス、ブラックマスクと対決することになった彼女は、クセ者ば
かりを集めてチームを作り上げる。
 
 あくまで個人的見解として 「 バットマン 」 シリーズのスピンオフ作品は、 「 キャットウーマン 」 にしろ 「 スーサイド・スクワド 」 にしろ、大してオモシロくねぇ確率が割かし高いと思われる。 だもんで本作もきっとそんな感じだろうから、スルーする予定だったのだけれども、連日のコロナウィルス感染拡大問題の煽りで、公開を楽しみにていた話題作の公開が延期されてしまったことで、観る作品がなくなってしまい、まぁそういうことならばってぇことで、取り合えず観に行ってきた。
 
 職場で手柄を奪われたとか、暴力の世界に身を置かねばならぬ身と、男性上位の世界で生きねばならぬ女性たちの自立や威信といったものを謳っていたようにも見受けられ、それなりにメッセージ性やテーマ性が描かれいるのは認めるも、徹頭徹尾ポップでパンクのハイテンションなノリと勢いで、ゴールまで突っ切るだけでは観る側の心をつなぎ留めておくことは到底ムリな話。
てか、中盤からなんか急にテンポが悪くなった気がしなくもで正直飽きを覚え、当初の予想通り、その程度の作品だった…。
 まぁ、好みの問題ってぇところなんだけど、DCコミックス作品は先日の 「 ジョーカー 」 や 「 ダークナイト 」 のようにシリアス路線とマーベル作品と一線を画したつくりの方が向いてるような気がする。
ヨカッタところと言えば、バットを使っての立ち回りくれぇで、 「 鮫肌男と桃尻女 」 での仕込みバットと 「 ザ・レイド GOKUDO 」 以来のバットを武器として魅せた辺りだけは高評価。 あとは 「 パーレイ 」 くれぇかな。
 
 ハーレイ・クインのキャラもなぁ…初登場の時はスゲェ魅力的だったけど、本作は主役ってぇことでキャラのアピールしたんだろうけど、普通にウザいだけ、仮にもジョーカーの相棒をつとめたんだから悪としての 【 凄味 】 の片鱗のひとつでも魅せて欲しい。
一貫してポップでカワイイだけじゃ正直キビしい…。

2020年3月14日 (土)

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

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 アメリカ
 ドキュメンタリー
 監督 : ジョン・チェスター
 出演 : ジョン・チェスター
      モリー・チェスター
      
      
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 映画制作者のジョンと料理家のモリー夫妻は、殺処分寸前だった犬のトッドとロサンゼルスのアパートで暮らしていたが、トッドの鳴き声が原因で追い出されてしまう。
そこで彼らは、本当に体にいい食べ物を育てるために農場を立ち上げることに決め、愛犬と共に郊外に移住する。
 
 面倒くさがりで、都心暮らしから離れられないオレでも多分に漏れず、大自然の中でカワイイ動物たちに囲まれて作物を育て、物を作りの 「 どうぶつの森 」 的生活に、少なからず憧れるところがあることもあって、リアル 「 どうぶつの森 」 または 「 DASH村 」の本作に大きく惹かれ期待させられるということで、張り切って観に行ってきた。
 
 実際のところ、チェスター夫妻のような生活をしてみてぇと思い、試しに休暇で 2~3 日の農業体験したとしてもオレを含めた大半の人が、 「 思った以上にツラい 」 とか 「 早く東京に帰りてぇ 」 と、早々に音を上げるのが関の山じゃあなかろうか…。
都市部での生活を捨て、田舎で日々自然と命を相手にするこのようなライフスタイルは憧れや、興味本位の生半可な気持ちで飛びつくと、どエライ目に合うこと必至で、余程の覚悟を持っていなきゃ到底できることではなしをあらためて思い知らされる。
 チェスター夫妻と仲間たちが、基本と観察するを旨としてエコシステムを構築し、後に 「 息をのむほどに美しい農場 」 と称される究極のオーガニック農場を作り上げていく8年間の苦労譚は、映像から伝わってくる以上の苦労を重ねたことに違いない。
その歳月の中で描かれる人間と動植物の多様性と共生、自然がもたらす厳しさと恩恵、そして命のサイクルは美しくあると同時に時に残酷。 これらすべてが、共生する理想郷 … 本来あるべき姿を目指した壮大なプロジェクトと紡がれる物語にただただ感動。
「 心地良い不調和が調和を生み出した 」 のフレーズが心地よく響く。
 
 監督で農場主のジョン・チェスター氏は元は動物ドキュメンタリーのカメラマンさんとのこのことだけあって、農場に住まう動物の撮りかたが実に巧く、観ていて心が躍る。 本作のアイドル的存在だったブタのエマの可愛さは抜群。
時として、命を奪わなくてはならいな時、最後まで見せない配慮がなされていて、この辺が苦手なオレにとっては大いに助かる…。

2020年3月 8日 (日)

酔うと化け物になる父がつらい

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 日本
 ドラマ
 監督 : 片桐健滋
 出演 : 松本穂香
       渋川清彦
       今泉佑唯
       ともさかりえ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 田所サキの父親トシフミは無口で小心者だが酒に酔うと化け物のように変わり、母親は新興宗教にはまっていた。
そんな家庭で育ったサキは心を閉ざすようになるが、明るい妹や親友に支えられながら、家庭の崩壊を漫画に描くことで笑い話にしていた。 ある日、父に病気が見つかる。
 
 最近、お気に入りの名バイプレイヤー渋川清彦が主演はもちろんとして、18年の個人的ベストムービーのトップ10 にランクインさせた 「 ルームロンダリング 」 以来2作目となる片桐健滋監督とのコンビ作に期待させるものが大きくあったんで、公開を楽しみにして作品ということで、張り切って観に行ってきた。
 
 飲んだくれの親父さんの醜態と日常をオモシロ可笑しく描いているも、その実タイトルにある通り酒をやめられずアル中の気があり、そんな父に愛想をつかし新興宗教にハマり、挙句はの母と、語られているひつひとつのエピはどれもヘビーな内容。
そんな年がら年中酔っている親父さんを疎ましく、憎く思っている娘が最後に親父さんなりの愛の形を知るを観ると、普通の家庭のあり方からすると、この家族は歪なんだろうけれど、歪で壊れかけなりに家族、愛の形を成しているってぇことなのだろう。
 この辺はよくその辺に転がってる話として解らんでもないけれども、親父さんの友人3人組の無節操をはじめ、暴力を振るう彼氏と先日の 「 屋根裏の殺人鬼 フリッツ ・ ホンカ 」 同様に酒を 【 呑む 】 ではなく 【 呑まれてる 】 連中の実態や 「 呑まなきゃヤってられねぇ 」 の屁理屈というか弁解を観させられてるいるという感覚で、ストーリー自体は悪くはないのにこれらのせいで、不快さが先行しハマり切れず…まぁ、そう思ってしまうのも手前ぇが、下戸ゆえに酒飲みの心情というのが解らんせいもあるかも知れん…。
何にせよ、 【 酒 】 と 【 宗教 】 は嗜む程度で、深くハマったらダメよってぇところだわな。
 
 親父さん役の渋川清彦は、劇中ほとんど酔いつぶれているんだけれども、会社で素面時に見せるマジメな姿と、飲んだくれる手前ぇを情けなく思っているショボくれ感と裏と表の表情の演技がホントに巧いと思わされた。
冒頭での日本ハムファイターズがオレンジ色のユニフォームになる前の時代の日本ハムの野球帽のセンスがマジ渋い!
娘のサキ役の松本穂香もヨカッタけど、妹の今泉佑唯がカワイくて気になったんで調べてみらたら、乃木坂ちゃんと同じ坂道シリーズの元欅坂の子とのこと。 インプットしておこう。

2020年3月 1日 (日)

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

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 フィンランド
 ドラマ & ミステリー
 監督 : クラウス・ハロ
 出演 : ヘイッキ・ノウシアイネン
       ピルヨ・ロンカ
       アモス・ブロテルス
       ステファン・サウク
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 生涯を美術品にささげ、家族は二の次だった美術商のオラヴィに、全く連絡を取っていなかった娘から連絡があり、問題児だという孫息子のオットーを数日間だけ預かって職業体験をさせてほしいと頼まれる。 引き受けてすぐ、彼はオークションハウスで作者不明の肖像画に一目ぼれする。 肖像画がロシアを代表する画家イリヤ・レーピンの作品だと知ったオラヴィは、落札するための資金集めに奔走する過程で、娘とオットーの思わぬ過去を知る。
 
 正直なところ予告トレーラーやチラシからは、人間ドラマなのか? それとも美術系のミステリーなのか? どちらなのか判断がつかないのだけれども、まぁどちらにせよ好物なジャンルの組み合わせだから、どちらにウェイトが寄っていてもそれはそれでなんら問題はないし、登場するロシアを代表する画家 イリヤ・レーピン をよく知らないから勉強にもなるしで、それならば取り合えず観ておけってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 手前ぇの眼力を信じ、矜持に賭けて最後に一発ドカンと死に花を咲かせようとする老美術商が、それを機に疎遠だった娘と孫と関係を築いての家族の話 ( 気持ち、金策 > 家族 の話になっちゃってたような気がしなくも… ) をベースに、イリヤ・レーピンの作品と思われる無署名の画の謎を追うの美術ミステリーの妙味も描かれていて、まぁ派手さはないもののどちらのエピもどちらかに偏り過ぎることなく程よいバランスで、余韻の残るオモシロい…良作といったところ。
 憎まれ役にクソな若い美術商が登場し、都合上誇張して設定しているのだろうけれども、本作を観ていると美術商でありながら美術品に対しての愛情とか矜持といったものを持ち合わせていねぇ輩が客ともども今の世は多くあるのかなぁと。
その辺の事情はまったくもって疎くはあるけど、昨今の現代アートの高騰ぶりなんかを目にすると、純粋な気持ちとかではなく、 【 美術品 = 投機 】 でしかないのかと思えてくる…。
 
 先述したように本作で初めてイリヤ・レーピンなる名前を知った。 だもんで取り合えずは氏がどんな作品を描いたのか画像検索し、その経歴をウィキペディアでお勉強。 肖像画が多いこともあって、ものスゴく写実的な画を描く人のようだ。
好きか? 嫌いか? と問われれば、基本的に印象派が好きなんで、写実過ぎるのはどうも…何にせよ、勉強にはなった。
こうなると、好きな画家の一人である同じロシアのワシリー・カンデスキーの作品なり人となりの作品が観たくなってくる。

2020年2月29日 (土)

スケアリーストーリーズ 怖い本

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 アメリカ
 ホラー
 監督 : アンドレ・ウーヴレダル
 出演 : ゾーイ・マーガレット・コレッティ
      マイケル・ガーザ
      ゲイブリエル・ラッシュ
      オースティン・エイブラムズ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 ハロウィンの夜。 町外れの幽霊屋敷に入った高校生たちが見つけた本には、数々の怖い話がつづられていた。
翌日から本を見つけた仲間が一人ずつ姿を消し、さらに本には毎夜新たな物語が書き加えられていった。
主人公は消息不明の高校生たちで、そこには彼らが最も怖いものに襲われる物語が書かれていた。
 
 今月だけで 4 本目となるホラー作品。 今シーズンは早くもホラー作品が豊作のようだ。
物語解説を読む限りじゃ 「 IT 」 の変化球版といった感じが無きにしもだけれども、どんなジャンルであれ 【 本 】 が、関わる物語が好物なもんだから、期するところが大きいってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 何でも児童向けの怪奇短編小説 ( 本国アメリカでは有害図書扱いを受けているらしい ) をひとつにまとめたとのことで、 「 IT 」 + 「 サマー・オブ・84 」 ÷ 2 = 本作の趣なんで、ゆえにジュブナイル要素強めではあるものの、お子様向けではなく、ちゃんと大人が楽しめる謎解き系王道ホラーといったところ。
事の真相自体はごくごく普通も、真実は時として力を持つ者によって歪曲させられて世に伝えられると同時に 「 物語は語り続けるうちに真実になってしまう 」 の、その描き方はかなり巧くあったように思えた。 また、人種差別の風潮がまだ色濃かった60年代を舞台にしたことで、昨今のアメリカにおけるラテン系への差別やらなんかも語られていたのかなぁと思えなくも…。
 ギレルモ・デル・トロ監督が関わっているだけあって登場したクリーチャーの造形がどれも素晴らしい。 取り分けてチャックが病院内で襲われるクリーチャーの造形の出来栄えと言ったら最高のひと言に尽きる。 そのクリーチャーが、ダルマさんが転んだ的に四方からただゆっくりと迫ってくる様はマジで不気味で怖く、そして微笑ましく、その襲われ方、魅せ方は天才的!
ギレルモ監督は、H・P・ラブクラフトの 「 狂気の山脈にて 」 を撮りたかっただけに、ホントは人皮装丁された禁書 【 ネクロノミコン 】 が絡んだ作品をやりたかったんじゃ? と思えてならない。
 
 アンドレ・ウーヴレダル監督って 10年ほど前に公開された 「 トロール・ハンター 」 の監督さんだったのか。
それはそれとして、俳優さんたちはまだ無名にちかい若手を起用したようで、残念ながらどの俳優さんたちも他の作品でも観た記憶は無し…まぁなんか続編がありそうな気がしないでもないんで、取り合えずインプットしておこう。

2020年2月22日 (土)

ミッドサマー

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 アメリカ
 サスペンス & ホラー
 監督 : アリ・アスター
 出演 : フローレンス・ピュー
      ジャック・レイナー
      ウィル・ポールター
      ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 思いがけない事故で家族を亡くした大学生のダニーは、人里離れた土地で90年に1度行われる祝祭に参加するため、恋人や友人ら5人でスウェーデンに行く。
太陽が沈まない村では色とりどりの花が咲き誇り、明るく歌い踊る村人たちはとても親切でまるで楽園のように見えた。
 
 世間的にはそこそこ高評価だったようだけれども、個人的はまったくダメだった 「 へレディタリー / 継承 」 で監督をつとめ、新進気鋭と称されるアリ・アスター監督の最新作。 上映時間も前回同様に2時間超え … にやや不安を感じるも、予告トレーラーを観ると北欧、白夜、祝祭とかなり魅力的な食材が揃っているうえに、これまた前回同様に前評判も高いとあって、なんだかんだと言いながらも期待させるところが大きくあるんで、張り切って観に行ってきた。
 
 何と言えばイイのだろうか … 簡単に言えば北欧の封建的な田舎の村に根付いた土着信仰の風習、祝祭の様を観させられたと言うか、追体験している感覚に陥る。 北欧の牧歌的な風景、穏やかな日差しの昼日中、そして白を基調とした服飾に儀式の禍々しさが当然のごとく中和していると同時に、その 【 陽 】 のすべてが逆に不気味さと不安を煽っていて、取り立ててオモシロくはないのに気づけば、物語にグイグイと惹き込まれていて、ちょっと違うかも知れないけれど、何となく 「 死霊の盆踊り 」 を観ている感じがしなくもの、ゾワゾワとした不思議な魅力を持ったスゴい作品。
 最初の方で、「 始祖ユミル 」 どうこう言うもんだから、「 進撃の巨〇 」 がモチーフになってんの? と期待してしまった…。
それはそれとして、始祖ユミルは実際に北欧神話に登場する巨人、土着信仰 = ケルト における生死観 ( 輪廻転生 ) や呪詛といった類は少なからず文化人類学や民俗学的要素、またラストのエピに漠然とだけどガイアナの人民寺院の出来事を思い起こさせられ、その反面のカルト集団的要素の描き方はかなり興味深くあった。
 
 主人公ダニー役のフローレンス・ピューを筆頭に、大学生あたりの若者にありがちな身勝手、不遜なキャラで溢れかえっていたことで、終始イラつかされたこともあって、誰一人としてイイ印象が残らず…。

2020年2月15日 (土)

屋根裏の殺人鬼 フリッツ ・ ホンカ

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 ドイツ
 サスペンス & 犯罪
 監督 : ファティ・アキン
 出演 : ヨナス・ダスラー
      マルガレーテ・ティーゼル
      ハーク・ボーム
      マルク・ホーゼマン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1970年代のドイツ、ハンブルク。 さびしさを紛らわせようとする男女が集うバー 「 ゴールデン・グローブ 」 に通って女性に声を掛けるが、ボロボロで曲がった歯に斜視という外見で見向きもされないフリッツ・ホンカ。 心を開いてくれた女性が現れても、空回りした言動をとってしまう。 やがて暮らしている安アパートの屋根裏部屋に年増の娼婦を招いては、ある行為をするようになる。
 
 去年の年末にアメリカの連続殺人鬼、テッド・バンディを扱った作品が公開され、少なからず実在する連続殺人鬼に興味があるから、リストアップしていたのだけれども、これといった決め手がないことからスルー。 そんな経緯のなか、今度はドイツに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカを描いた本作が公開。 その存在と名前をはじめて耳目にしたこともあって興味が沸いてきたことと、作りがオモシロそうが決め手となり、張り切って観に行ってきた。
 
 汚れ切った下着を身に着けている貧しい老齢の売春婦を連れ込み、酔ってキレて暴力をふるい、挙句は殺してと、弱者がさらに弱者を痛めつけることで、上位性や優越感を得るアル中野郎の本作の主人公フリッツ・ホンカの捻じれ切った人間性に同情はおろか共感する余地なし。 70年代ドイツ当時の社会背景もあるのだろうけれど、登場するほとんどの人が酒に飲まれてる連中ばかりで、その見てくれからから部屋、人間性とすべてにおいて臭い立つような不潔感が半端なく、不快の言葉しか出てこない…。
 本作は実在した殺人鬼をリアルに描いただけのこと、美化する必要性もないと解ってはいても、こうも不潔感が強烈だと正直なところかなりキツい…個人的には先のテッド・バンディのようにスマートで清潔感もあればカリスマ性もある魅せる殺人鬼みたなのが好みである。 とは言え、フリッツ・ホンカやアンドレイ・チカチーロのように世の中の大概の殺人鬼ってぇもんはこんな感じなんだろうし、テッド・バンディのほうが逆に稀なケースなのかも知れんね。
クレジット時に実際のホンカとその被害者や遺留品の映像が流れたことで、あらためて本作が実話であったことを知る。
って言うか、ホントに鶯谷のホテル街に立ってるばぁさんクラスしか狙ってない…熟女好きにもほどがあろうってぇもんだよ。
 
 フリッツ・ホンカ役を怪演したヨナス・ダスラーは 「 僕たちは希望という名の列車に乗った 」 に出演していた若手の俳優さん。
若くしてこういう強烈な役を演じて、かつ評価されると自信がついてもう怖いものなしってぇ感じだろうな。
冒頭の方で登場した老売春婦ゲルダ役のマルガレーテ・ティーゼルなる女優さんは 「 アンデッド / ブラインド 不死身の少女と盲目の少年 」 にも出演してらしいんだけど、全然覚えてない…経歴を見るとドイツでは有名な女優さんらしいんで覚えておかなくては。

2020年2月 9日 (日)

アントラム 史上最も呪われた映画

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 カナダ
 ホラー
 監督 : マイケル・ライシーニ & デヴィッド・アミト
 出演 : ニコール・トンプキンス
       ローワン・スミス
       サーカス=サレフスキ
       ダン・イストラーテ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1970年代のアメリカ・カリフォルニア州で映画 『 アントラム 』 が撮影されたが、ずっとお蔵入りになっていた。
この作品を観た者は不幸に見舞われるというジンクスのためだが、1988年にハンガリーのブダペストで初上映される。
すると映画の上映中に火災が起きて映画館は焼失し、56人もの犠牲者を出す大惨事となる。
 
 キャッチコピーの 「 観たら死ぬ 」 と、厄災を招く呪われた映画はまるで 「 貞子ちゃん 」 、観る前から恐怖心を煽るような作りこまれた設定は 「 ブレア・ウィッチ~ 」 と、この組み合わせと趣は正直なところかなり際どくあるけれど、オモシロそうなこと極まりねぇし、目立たないけれどもカナダ映画は意外にも良作ホラーが多いこともあって、食指が伸びないワケがなし! ってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 騙されたとでも言ったものか…ハードルの設定値を見誤ったとでも言ったらイイのか?
不気味な設定と意図的な不協な音のズレや歪みの効果も手伝って、確かに終始かなり強烈で不快な不安に駆られはしたのだけれども、期待した諸設定もフタを開けてみれば、それほど作りこまれてはいなかったうえに、今の時代にサブリミナル効果云々と言われても。 それに、いかにもなトンチキ二人組 ( 「 ファラリスの雄牛 」 とか魅力的だけど唐突過ぎ ) や、まったくもって意味不明な腹切り日本人と随所で見受けられるあざとさに、全力で肩透かしを食らった感じ…。
 悪魔やその他の不気味な存在の画が、ちょいちょい挟み込まれてくるんだけれども、実際のところそういった存在は自分の心の弱さや隙間が生み出したもの…つまるところ、そう思ってしまったらそれが真実ってぇやつで、それに囚われすぎてみてぇな感じがしなくもで、ホラーのワリには至って普通のサイコロジー的な作品だったのかなぁと。
 
 発見された本編を上映するのではなく、 「 アントラム 」 がナゼ呪われているのか? 招いた厄災、関係者への取材インタビューのモキュメンリー映像を徹頭徹尾上映してくれた方が遥かに興味深くてオモシロかったかも知れない。
そんなこんなで、ワケが解らんし、何を書いたらイイのかも解らん…が、正直なところ。

2020年2月 8日 (土)

プロジェクト ・ グーテンベルク 贋札王

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 香港 & 中国
 アクション & サスペンス
 監督 : フェリックス・チョン
 出演 : チョウ・ユンファ
       アーロン・クォック
       チャン・ジンチュー
       リウ・カイチー
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1990年代のカナダ。 画家のレイは大成して恋人との安定した生活を送ることを夢見るが、なかなか才能を認めてもらえなかった。
生活が苦しくなる中、レイは食べるために絵画の偽造に手を出す。 やがて画家と名乗る人物に評価され、彼が率いる偽札組織のメンバーとしてスカウトされる。最新の偽札発見テクノロジーでも見破られないレイの偽札は徐々に市場に広がっていく。
 
 毎年コンスタントに中国語圏の作品は観てもいるし、公開される本数が減って来ているワケでもなそうな気はするけれども、ここ2~3年は以前ほどに魅力的に思える作品に巡り合えず、観る本数が目に見えて減ってきている…。
そんなこともあって、チョウ・ユンファ、アーロン・クォックと大物香港スター共演の激熱と思わせる本作に期するところが大きくあるんで、張り切って観に行ってきた。
 
 冒頭は別に似てもいないければ、既視感があったワケでも決してないのだけれども、10 ~ 15 分が経ち取り調べ室での供述のシーンになると 「 もしかして誰それはかませ犬であって、オチは某作品と同じなんじゃね? 」 と、予想がついてしまう…。
見事なまでにその予想を裏切らない某作品をまんまなぞった作りなんで、既視感は半端なくあるけれども、さらにいくつもの伏線を張り巡らしとアレンジを加えてあり、最近久しくなっていた香港ノワールの趣を堪能できて、十分以上にオモシロかった。
 紙の材質、特殊インクと贋金つくりの工程やノウハウも確りと語られていてとても興味深くあったことに間違いはないところなんだけれども、少数精鋭ゆえにひとりであれもこれもとなってるのが残念というか…紙なら紙、インクならインクだけに特化した専門職の職人チームだったら特殊犯罪映画としてのオモシロ味が加わったのでは? と思えなくも。
あと、ジャングルでのド派手な銃撃戦は必要だったのか? まぁチョウ・ユンファの必殺技 【 二丁拳銃 】 を魅せたいってぇ演出なんだろうし、拝めたときの高揚感たるやだったけれども、取ってつけた感が強かったからねぇ…。
 
 チョウ・ユンファは絶対的に悪くはないのだけれども、最後のシーンの顔がどうしても 【 劇団ひとり 】 にしか見えなかった。
しかも中国人の王さんのネタを思い出してしまったがために、シリアスなシーンなのに笑いを堪えるのに必死だった…。
リウ・カイチーがこれまた最高。 こういう副リーダーとか番頭さん役が似合ううえに好悪どちらもできる俳優さんってホントにイイ。

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