カテゴリー「劇場公開」の記事

2021年2月27日 (土)

DAU. ナターシャ

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 ドイツ & ウクライナ & イギリス & ロシア
 ドラマ
 監督 : イリヤ・フルジャノフスキー & エカテリーナ・エルテリ
 出演 : ナターリヤ・ベレジナヤ
      オリガ・シカバルニャ
      ヴラジーミル・アジッポ
      リュック・ビジェ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 ソビエト連邦の某所にあり、軍事的な研究が行われている秘密研究所。
ここの食堂でウェイトレスをしているナターシャは、フランス人科学者と肉体関係を結び、惹かれ合うようになる。
しかし、ナターシャは当局からスパイの容疑をかけられ、KGB職員に疑惑について厳しく追及される。
 
 何でも、「 ソ連全体主義 」の社会を完全に再現するという前代未聞かつ壮大なスケールのプロジェクトで、 「 史上最も狂った映画撮影 」 と称され、ベルリン映画祭で物議を呼ぶも銀熊賞を受賞と各方面で高い評価を受けていて、とにもかくにも全てにおいて 【 高次元レベル 】 のスゴい映画とのことなんで、それほどまでにスゴいと言われているのであれば、これは是が非でも観ておかねばということで、張り切って観に行ってきた。
 
 オーディション人数延べ 39 万 2 千人、衣装 4 万着、欧州史上最大の 1 万 2 千平米のセットを設け、主要キャスト 400 人、エキストラ 1 万人、撮影期間 40 ヶ月、35 mmフィルム撮影のフッテージ 700 時間と、莫大な費用と 15 年もの歳月をかけて本作を完成させたと謳ってるから、どれだけスゲェ映画なのかと思いきや、主人公ナターシャによる互いに嫌い合う同僚の女性との罵り合い、酒を無理強いするパワハラ & イジメ行為、そしてナターシャが特高につかまる原因となる外国人科学者とのムダに長いセックスシーンが延々と綴られるだけで、どこが凄まじいまでの描写なのかがいまいち解らず、正直なところオモシロくもなんともなし…。
 終盤でようやくナターシャが特高に捕まり、尋問とかるい拷問を受けるエピになってようやく展開らしい展開が訪れたことで、気持ち前のめり気味になるも、結局のところあまり納得も理解もできないまま唐突に終わりを迎え、意味解らんよ状態…。
それもそのはず、本作はシリーズ 16 本あるうちの 1 話目の位置づけとのこと。 だもんで、この 1 本からでは、宣伝で謳っているほどに狂気を感じることはなかったし、上記の壮大なプロジェクトの年月や費用の情報も現状ではそれほど意味をなさずの印象。
そんなワケで、一大プロジェクト絵巻の入り口的作品なのは理解したところであらためて、この続きを観たいか? と問われれば、間違いなく 【 もぅいいわ…。 】 ってぇところだな。
 
 主人公ナターシャのヒステリックさや独りよがり、独善的なその人間性に終始イラつかされる。 それに特高に捕まって尋問 & 拷問を受けているのに、危機感というものを彼女から感じることが出来ず。 まぁその危機感の無さが、宣伝文句の中にあった凡庸な悪というか、いつの間にか人の懐に入ってきて取り入ってしまう無自覚の悪みたなものは確かに強烈に感じられる。

2021年2月20日 (土)

世界で一番しあわせな食堂

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 フィンランド & イギリス & 中国
 ドラマ
 監督 : ミカ・カウリスマキ
 出演 : アンナ=マイヤ・トゥオッコ
      チュー・パクホン
      カリ・ヴァーナネン
      ルーカス・スアン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 フィンランド北部の田舎に中国・上海からやってきた料理人のチェンとその息子。 彼らは恩人を捜してフィンランドまで来たのだった。 しかし恩人を知る者はなく、食堂を営むシルカはチェンがそこで働くことと引き換えに恩人探しに協力することを約束。
人々は見慣れない料理に戸惑うが、口にしてみるとそのおいしさを認め、食堂は評判に。常連客とも仲良くなっていくチェンだったが、帰国の日が刻一刻と迫ってくる。
 
 敬愛する映画監督のひとりであるアキ・カウリスマキ監督のお兄さんであり、個人的に 「 旅人は夢を奏でる 」 以来実に 10年ぶりとなるミカ・カウリスマキ監督の最新作。 かつてアキ・カウリスマキ監督も 「 浮き雲 」 で、食堂 ( レストラン ) を舞台にした作品を撮っていて、兄弟でアプローチの違いを比較するのもオモシロそうだし、食堂系は以外にも良作が多いようにも見受けられるんで、その辺を楽しめればと思い張り切って観に行ってきた。
 
 弟のアキ氏は日本好きなのは有名なところ、片や兄のミカ氏は本作を観る限りじゃ中国に愛があるのかも知れない。
まぁそれはそれとして、親父さんのキャラ設定は真逆ではあったものの父と息子、人との出会いを通じて手前ぇを見つめなおして再出発の設定は前作と変わるところなし、それでも親父さんが手前ぇの想いや感情を息子に押し付けてしまっていていることに気づくあたりや、外国人 & 異文化を温かく受け入れる村の人たちの優しさなんかは、おとぎ話感がやや強くあるものの観ていて心地がヨカッタ。 ヨカッタけれどもそれ以上のものはなし。
同じコメディ調の人間ドラマ作品もほぼほぼ定型のつくりだから、アキ氏のような独特の間や毒気といったクセの強さがなく、アキ氏と比べるとはるかに取っつきやすいけれども、そのぶん物足りなさを感じなくもといった感じ。
 北欧の料理なんぞ食ったことがねぇからよく解らんのだけれども、家具調度品の空間 & インテリア同様に余分なものがない、つまりシンプル極まりなく、見た目的にも食欲をそそられないぶん、中華料理の見事さやシズル感がより際立っていた。
バリエーションや医食同源、食育的な部分を観ていると、食に関しちゃ日本も負けず劣らずなところも、そこら辺のこととなると 4000 年の歴史を持つ中国には敵わねぇなぁと。
ただねぇ、どんなに想いがあろうとも自然物にペンキで落書きしたり、所かまわず爆竹を鳴らすのはよろしくねぇぞと。
 
 食堂の気のイイ常連客、ロンパイネン役のカリ・ヴァーナネンは先で紹介したアキ監督の 「 浮き雲 」 に、ヴィルプラ役のヴェサ=マッティ・ロイリは同監督の 「 旅人は夢を奏でる 」 にと、カウリスマキ兄弟作品で主演だった俳優さんが出演という妙味もヨカッタ。
クレジットで流れていた曲で、どっかで聴いたことがあるんだけど、曲名が全然思い出せずにいてずっとモヤモヤしっぱなし…。

2021年2月13日 (土)

私は確信する

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 フランス & ベルギー
 ミステリー & サスペンス & ドラマ
 監督 : アントワーヌ・ランボー
 出演 : マリナ・フォイス
      オリヴィエ・グルメ
      ローラン・リュカ
      フィリップ・ウシャン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 3 人の子供たちを残して行方不明になった妻スザンヌ・ヴィギエの殺害容疑で、夫である大学教授のジャックが起訴される。
彼の無実を信じるシングルマザーのノラは、腕利きの弁護士デュポン=モレッティに弁護を直訴し、自らアシスタントとなって事件の調査を開始。 刑事、ベビーシッター、スザンヌの愛人らの証言はそれぞれに食い違い、やがて新たな疑惑と真実が浮かび上がる。
 
 2000 年にフランスで実際に起きたヒッチコック狂による完全犯罪として世間を騒がせた未解決事件の 「 ヴィギエ事件 」 がベースとなっているようで、実録犯罪が好物なオレとしては食指が伸びないワケもなしのところへ持ってきて、これまた好物の法廷劇も織り込まれてとあっては、さらに食指が 2~3 倍にも伸びようってぇもの。
そんなワケで事件への興味、捜査過程と法廷劇それぞれ違った緊張感を楽しめればと思い張り切って観に行ってきた。
 
 「 ヴィギエ事件 」 の真相等をどうこう言っているのではなく、裁判官も陪審員ともども判決を下す際、メディアによる印象操作や社会の風潮 ( 松本サリン事件や香川・坂出 3 人殺害事件が好例 ) に我知らずのうちに流されることなく、法の精神やら原則を守りながらどれだけニュートラルな目線で判断が下させるかの難しいテーマを描いていて、期待した以上に見応えがあった。
また、「 自分たちがやらねばならないことは真犯人を見つけることではなく、現容疑者を無罪に持ち込むこと 」 と、徹底して弁護士の立ち位置のモレッティ弁護士の存在が、容疑者の無実を確信して調査に邁進する主人公ノラの懸命な姿を観るとどうしても彼女同様の思考になりがちになるところを、ニュートラルな位置に引き戻してくれる作りが実に巧くあったなぁと。
 にしても捜査機関、つまり警察ってぇのはどこの国も 【 人権 】 よりも 【 組織の面子 】 の方を優先するもんなんかねぇ… 。
そもそもからしてこの事件、捜査ミスと遺体も証拠もなしとどう見てもなところを、ある程度の面子を保つために巧みな印象操作だけで、有罪に持ち込もッて行こうとするやり口の怖さと言ったらだよ。
捜査過程で 200 時間以上におよぶ通話記録をぜんぜん知らべていないというのは、多少の誇張とはいえさすがに杜撰すぎ… まぁ、それでもほぼほぼ通話記録の文字起こしのみで新たな真実を明るみ出していく様は新しくあってオモシロくあった。
 
 モレッティ弁護士役のオリヴィエ・グルメなる俳優さんは何年か前に観た 「 午後 8 時の訪問者 」 に、そして容疑者のヴィギエ役のローラン・リュカは同様に何年か前に観た 「 RAW 少女のめざめ 」 に出演していたらしいんだけれども、両氏ともまったくもって記憶にない… ホント、最近マジで海外の俳優さんの顔と名前を覚えられない…。

2021年2月 7日 (日)

イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社

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 アメリカ
 ドキュメンタリー
 監督 : ジョニー・ロイヤル
 出演 : ジョニー・ロイヤル
      ジョセフ・ウェイジズ
      ジェイムズ・チスカニック
      チャーリー・ギリエン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1776 年のドイツでの創設以来、 200 年以上にわたって様々な謀略を実践して全世界の支配を目指してきたといわれる秘密結社・イルミナティ。 映像作家でフリーメイソン研究家のジョニー・ロイヤルが、その全貌を明らかにしようと、数々のタブーに切り込み、驚くべき伝説と真実にたどり着く。
 
 同じオカルト系のドキュメント作品で、去年公開された 「 UFO 真相検証ファイル PART 1 & 2 」 あたりを劇場で観るよりも、年末の 「 たけしの TV タックル 」 での韮澤潤一郎氏 VS 大槻教授のオカルト漫才を観てる方が遥かにオモシロいから、わざわざ劇場に足を運ぶまでもねぇところだけれども、今回の 【 イルミナティ 】 ともなると、さすがに放ってはおけねぇところだし、何でも 「 観ると、消される。 」 とのことなんで、それなら是が非でも観ておかねばってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 ダン・ブラウン原作の 「 天使と悪魔 」 などで登場して以来、すっかり馴染み深くなったことで今や秘密感も神秘性も失われてしまった感のある 【 イルミナティ 】 だけれども、だからこそそのミステリアスさや陰謀論、都市伝説等々を期待して劇場に足を運んだのだのに、ただひたすらに 【 イルミナティ 】 の成り立ちと組織内における階位の説明をしてるだけのもので、上記の要素を楽しむことは皆無も皆無… 正直なところまったくもってオモシロくはなし。
 活動期間が実質 10年程度という短いもので、確かに存在はしたけれど、当の昔に 【 解散 】 してしまっていて今の世には 【 存在しない 】 とのこと。 よって 【 陰謀論 】 も 【 オカルト要素 】 も無ぇよと研究者の人たちのほとんどが断言。
期待したものと真逆ではあったけれども、考えようによっては短期間でありながら、一時はフリーメーソンを凌ぐ隆盛を見せ、多くの文献を残し、今の世にミステリアスな話題を提供していることを思えば、今でも長崎に存在する 【 隠れキリシタン 】 のように少なからずどこかに 【 存在している 】 かも知れねぇし、【 陰謀論 】 も捨てきれずと、それなりに想像を膨らませて遊べるかなぁと。
まぁ、 【 都市伝説 】 【 オカルト 】 系は総じてこんな感じだわな。 要は 【 解っちゃいるけどヤメられない! 】 ってぇやつさね。
 
 この手のものはいくら議論を交わしたところで、研究、取材を重ねたところで、何時まで経っても結論の出ないものだし、出たら出たでそれは心底つまらねぇもの。 大事なのは想像が膨らむ伸びしろや余白があり続けることだと思う。
そう考えると、そこを逆手に取った韮澤潤一郎氏 VS 大槻教授のオカルト漫才はつくづくよく出来ていると感心させられる。

2021年2月 6日 (土)

ヤクザと家族 The Family

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 日本
 ドラマ & ヤクザ・任侠
 監督 : 藤井道人
 出演 : 綾野剛
      舘ひろし
      尾野真千子
      市原隼人
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1999 年、覚せい剤が原因で父親を亡くした山本賢治は、柴咲組組長の柴咲博の危機を救ったことからヤクザの世界に足を踏み入れる。 2005 年、ヤクザとして名を挙げていく賢治は、自分と似た境遇で育った女性と出会い、家族を守るための決断をする。
それから時は流れ、2019 年、14 年間の刑務所暮らしを終えた賢治だったが、柴咲組は暴力団対策法の影響で激変していた。
 
 物語の解説を読む限りでは実録ものではないようだけれども、何にせよヤクザ & 任侠ものが好物であることに間違いはねぇし、その中でも 「 ゴッドファーザー 」 や 「 仁義なき戦い 」 のような組の年代記を綴った作品が取り分けて大好物ときてるんで、期待も大きく密かに公開を楽しみにしていたってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 何でも 5年ルールとやらで、ヤクザから足を洗ってもその 5年の間は携帯ひとつ買うことも出来きなければ、口座も作れず、オマケにヤクザの子は保育園に等に入園させてもらえずと、そのルールは本人だけではなく家族にも適用されと、時代とともに法的、社会の風潮から締め付けが厳しくなっていき、しのぎ切れず先細ってゆくヤクザ組織、それでもヤクザ稼業しかやっていけない連中の実態を実録と言っても過言でないくらいリアルに描いていたように思う。 劇中 「 自業自得、ヤクザに人権なんてねぇんだよッ! 」 のセリフに本来ならば同情できる連中ではないけれど、ヤクザなりに必死に生きていこうとする姿に何時しか感情移入していた。
 本作での中編である 00年代初めのエピを観ていて、上野公園やその近くの歩道橋下のスペースで、ブルーシートや段ボールに包まって生活している人たちの中に、背中にからくり紋々を背負った連中をけっこう目にしたのを思い出した。 この頃に暴対法が施行された時期で、ヤクザがヤクザとして生きられず、堅気としても真っ当に生活させてもらえず、行き場を失い果てにホームレスになった連中だったんだねぇ… そう考えるとヤクザってぇ稼業は、いざとなったら全てにおいて 「 弱い 」 ものなんだなぁと。
そんなこんなで、ヤクザ映画でありながら、その実かなりしっかりとしたつくりの人間ドラマで、かなりの高評価。
 
 山本役の綾野剛の青年期と中年期で、テンションの落差が激しくあった演技はかなり見応え有り。
兄貴分中村の北村有起哉がスゲェよかった。 一時は 「 アウトレイジ 」 の石原みてぇな奴かと思ったら、最後の最後まで組に尽くしたキャラだったし、チャンスさえあれば足を洗えてたかもだし、うまく立ち回れば組を再建できたかも ( 残りの幹部ふたりがポンコツなのがね… )で、救われて欲しいキャラだった。 汚職刑事役の岩松了の下衆っぷりも最高。
組長役の舘ひろしだけれども、危篤状態にあるのに髪型がばっちり固めてあるのがねぇ… それはねぇでしょうよ。

2021年1月30日 (土)

おもいで写眞

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 日本
 ドラマ
 監督 : 熊澤尚人
 出演 : 深川麻衣
      高良健吾
      香里奈
      吉行和子
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 仕事をクビになり失意に沈む音更結子は、祖母が亡くなったことを受けて帰郷する。母の代わりに自分を育ててくれた祖母を孤独に死なせてしまったと悔やむ中、幼なじみの星野一郎から老人を相手にした遺影撮影の仕事に誘われる。
当初は老人たちに敬遠されるが、一人で暮らす山岸和子との出会いを機に、結子は単なる遺影ではなくそれぞれの思い出を写し出す写真を撮るようになっていく。
 
 好きな作風であることは間違いなしも、本作に対して期するところはほぼほぼ皆無… なれど、主演が大好きな乃木坂ちゃんの初期メンバーで初代オレ的センター、そして今でも推しの まいまい ( 深川麻衣 ) であること、推しといいながらも初主演映画の 「 パンとバスと2度目のハツコイ 」 は未見という引け目もあり、これは観なきゃファンとして申し訳が立たねぇってぇことで、取り合えず まいまい 目的で、結果オモシロかったで終われれば儲けもんってなぁ感じで、張り切って観に行ってきた。
 
 何だろうなぁ冒頭での設定の違和感が全てなんじゃなかろうか? と言うのも今回のプロジェクトのチラシを持って高齢者が多く住む公団に行って写真を撮ってきてくださいって…役所仕事に限らず、まず告知があってそれからでしょ、そら~何の告知もなくいきなり訪ねてきて 「 遺影撮りませんか?」 なんて言われれば、間違いなく押し売りか新手の詐欺だよ。
悪くとれば 「 早く逝け! 」 って言ってるようなもんだし、さらに言えば結子の実家は写真屋だからほぼほぼ素人でも撮影を頼むのは解る、だけれども現像しているシーンは全くの皆無、おそらくプロの写真屋さんに委託…やってることの意味が解らん。
この違和感が最後までくっついて離れなかったことが全てを台無しにした感じかも知れん。
 舞台挨拶で監督が構想に 9年、その間に脚本にブラッシュアップを掛けてきたと言ってるワリには、このカスカス感はどうなの? と思わざるだし、すべてをキレイにまとめようとし過ぎるあまり、ひとつのワードをしつこいまでに強調し、かつ強引に納得させようとしてる感が見受けられる。 それなのに全てにおいて中途半端じゃあ…せめて思い出写真が遺影として使われたエピローグ的なものひとつくらいあってもねぇ。 まぁそれでも、イイところもいくつかあったし、主演が まいまい であったことに目をつむれば、そんなに悪かぁなかったのかなぁと思いたい。
 
 乃木坂在籍中は性格がものすごく穏やかであることでメンバーから 【 聖母 】 の異名で呼ばれた まいまい ( 深川麻衣 ) だけれども、本作では激しやすいうえに、ちょいちょいサイコパスな部分を垣間見せるキャラで、この辺のギャップはヨカッタかなぁと。
嗚呼~クソっ! 舞台挨拶なんでリモートなんだよッ!! ホントだったら生の まいまい 拝めたのにぃ~。 今さらながらに猛烈に後悔していることを思えば、卒業する前に まいまい と 万理華 ( 伊藤万理華 ) の握手会に行っておけばとつくづくだよ…。

2021年1月24日 (日)

聖なる犯罪者

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 ポーランド & フランス
 ドラマ & サスペンス
 監督 : ヤン・コマサ
 出演 : バルトシュ・ビィエレニア
      エリーザ・リチェムブル
      アレクサンドラ・コニェチュナ
      トマシュ・ジェンテク
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 少年院に入っているダニエルは、前科がある人間は聖職に就けないと知りつつも、神父になりたいと願っていた。
無事に仮釈放の身となった彼は田舎の製材所で職を見つけ、たまたま立ち寄った教会で新任の司祭に間違えられる。
司祭の代理を命じられたものの、およそ聖職者らしからぬダニエルの態度に、村人たちは困惑するのだった。
 
 ポーランドで実際に起きたリアル 「 俺たちは天使じゃない 」 的な事件をモチーフとしたは、実録犯罪ものを好物とするオレとしては、十分以上に魅力的なところではあるし、さらに第 92回アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされたとあっては、これはもぅ観ないワケにはいかねぇだろってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 ミサでは讃美歌を気持ちよさげに歌い上げ、聖書にある言葉ではなく手前ぇの内から出てくる言葉で信者に語りかける、さらには村のわだかまりを解こうとする少年院あがりのダニエルの姿を見ると、間違いなく自身の近くに神の存在を感じ取って、半ば改心したのであろうと素直に思うも、偽りで手に入れた神父の立場、止める気などさらさらない酒とドラッグ、陶酔とも見えるパフォーマンスと、その後の彼の言動を見れば、どこまで改心しているのか? と疑心に駆られる。 駆られながらも素直な善行を応援したくもありと、終始不安定な心持ち、その不安定さが観ていてオモシロいといか、心地イイというか…。
 ダニエルは前科者ゆえに聖職に就く資格を有せず、例え神に仕える身でも神の言葉でなくとも、人に寄り添えば支持を得られもすれば、心を動かすこともできの様相に 「 信仰 ( 赦しを与える権限 ) って何ぞね? 」 、一歩違えりゃ 「 新興宗教 」 的な怖さ 、これは善と悪どっちなんだ? と、いろいろ考えさせられる。 それと同時に彼が聴衆に投げかけた言葉がブーメランとなって手前ぇに返ってくる様は、スゲェ痛々しくもあるし、何より人を救いながらも手前ぇは救われないラスト ( リディアの 「 神の御加護を 」 のセリフがせめてもの救いだな ) と、期待した以上に見応えのある作品だった。
 
 何でも主人公ダニエル役のバルトシュ・ビィエレニアなる俳優さんは、今ポーランドで注目株の若手俳優さんとのこと。 いかにも東欧系の顔立ちもさることながら、確かにイっちゃってる感が半端なかった目つきの演技は惹きつけられるところが大きくはあった。 今後、ハリウッド作品に呼ばれることがあるかもだから覚えておくとしよう。

2021年1月23日 (土)

夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者

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 日本
 アニメ & ファンタジー & ドラマ
 監督 : 伊藤秀樹
 出演 : ( 声の出演 )
      神谷浩史
      井上和彦
      金元寿子
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 夏目貴志が森の中で出会った小さな妖怪・ミツミは、祠で眠る妖怪・岩鉄を起こす 「 石起こし 」 の役を任されていた。
しかし褒美の酒をめぐって、ニャンコ先生やほかの妖怪が役目を横取りしようと動き出す。
 夏目の友人・田沼要を毎日のように訪ねる不思議な客人が、妖怪であることに気付いた夏目は不安を抱く。
一方の田沼は夏目の心配をよそに妖怪との交流を楽しむが、次第に体調が悪化してしまう。
 
 「 ~うつせみに結ぶ~ 」 から 2 年、大人気アニメ 「 夏目友人帳 」 の劇場版の 第 2 弾!
正直なところ第 2 弾が、公開されるなんてまったくもって思ってもいなければ、期待もしてなかったんでうれしい大誤算。
そんなワケで、期せずしてもらったお年玉にちょい浮かれ気味の心持のなか、 「 夏目友人帳 」 のホッコリした世界観と、ニャンコ先生の愛くるしさを堪能すべく、張り切って観に行ってきた。
 
 劇場公開用の長編、またはオリジナルストーリーかと思いきや、「 石起こし 」 「 怪しき来訪者 」 という原作のなかでも取り分けて人気の高いふたつのエピの特別上映とのことらしい。 ただそれをそれぞれ 30 分程度のTV 放映サイズでというところに、果たして劇場公開する必要性があるのか? わざわざ金を払ってまで観に行くまでもねぇのでは? そしてこれを映画として括るのも何か違うかなぁと思わなくもの疑問が多々。 それでも、本作は 【 絶対的にハズせないッ! 】 と強く思せる数少ない作品だもんでねぇ。
 「 石起こし 」 は小さく非力な妖怪が、夏目たちに手助けしてもらいながら恩に報いようと一生懸命にガンバるというもので、その健気なエピにいつものごとく我知らずのうちに涙を流し、最後のわちゃわちゃ感にホッコリさせられと、数あるエピのなかでも 【 最良 】 のひとつといったところ。
 もうひとつの 「 怪しき来訪者 」 は、田沼が親友である夏目に対して感じる劣等感というか追いつけない焦燥感、その田沼が夏目と同じものを共有ができたときの喜びといったものが、妖しの三篠 ( みすず ) の過去を交えて綴られていて、三者三葉の友を大事に想う気持ちがしんみりと伝わってきて、こちらも前者に劣らずの良エピ。
ホント、夏目は田沼をはじめとする人間、ニャンコ先生をはじめとする妖し共々イイ友人に恵まれてるなぁと羨ましく思えると同時に、これまたいつものごとく鑑賞後は心穏やかな気持ちに。
 
 前作のレビューでも書いたのだけれども、本作は劇場版だからだからといって何か特別なことをするのではなく、サントリーのウイスキー山崎の CM のように 「 何も足さない、 何も引かない 」 いつもの 「 夏目友人帳 」 を描くという姿勢がすばらしい。
これは製作側の原作 & オリジナルを大切にし、かつ本質を理解している証拠だろうね。
ただ残念なのは、ニャンコ先生が脇に徹して出番があまりなかったことと、ニャンコ先生グッズを買うのをど忘れしてしまったこと…。

2021年1月17日 (日)

ジャスト6.5 闘いの証

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 イラン
 サスペンス & アクション & 犯罪
 監督 : サイード・ルスタイ
 出演 : ペイマン・モアディ
      ナヴィド・モハマドザデー
      ファラッド・アスラニ
      パリナズ・イザディアール
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 イランではホームレスの薬物依存が問題となっていた。
警察の薬物撲滅チームのサマドは強引な捜査もいとわず、麻薬組織のボスであるナセル・ハグザドの追跡に闘志を燃やしていた。
サマドはナセルのペントハウスを突き止め、彼を捕らえるが、これは攻防の始まりに過ぎなかった。
 
 まさかのイラン映画、二連投。 記憶が確かならば、イラン映画の 【 アクション作品 】 は、おそらく本作が初めてのことと思う。
オマケにイラン映画史上最大のヒットらしく、予告トレーラーを観ても確かに激熱さが伝わってくるんで、先の 「 ウォーデン 消えた死刑囚 」 よりも期待している作品ってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 警察 vs 麻薬組織なんぞいうもんだから、こっちとらぁ先日の 「 ホワイト・ストーム 」 のような香港とかハリウッド系のド派手なドンパチものを期待していたのだけれども…確かに警察 vs 麻薬組織の構図ではあるものの、ほぼほぼ警察署内と留置所内での早口、まくし立ての会話劇に費やされていて、アクションはスラム街一斉検挙のシーン以外はほぼほぼ皆無。
まぁ期待したものとはだいぶかけ離れてはいるものの、主人公のサマド刑事と組織のボス、善と悪の両方の視点で描かれていて、取り分けてボスの言い分に少なからず共感できるところもあったりもすれば、警察チームもチーム内で不協和音が響いていて、なかなか思い通りにいかない焦燥感に思いのほか楽しんだといったところ。
 イランも他国に負けず劣らず麻薬と貧困問題はかなり深刻なことが本作から窺える。 欧米文化に触れて育った新しい世代と、ちょいと裕福な中産階級が増えてきて以前のような悪いイメージが薄れてきたところでもあったんで、 「 ペルシャ猫を誰も知らない 」 同様に表に出てこない社会背景をこういう形で見せてくれることはタメになって実にありがたい。
タイトルの 「 6.5 」 の意味がよく解らんかったのだけれども、ラストの 「 今じゃ麻薬中毒患者が 650万 」 のセリフの 「 650万 」 のことだったのね。
 
 主人公のサマド刑事役のペイマン・モアディなる俳優さんは 「 別離 」 「 彼女が消えた浜辺 」 にも出演してたらしいのだけれども、全然記憶にない…ていうか、南米以上に中東の俳優さんの顔が覚えられない…。
先の 「 ウォーデン 消えた死刑囚 」 では吊るす方だったナヴィド・モハマドザデーが、本作では吊るされる側となった麻薬組織のボス役で出演。 ここのギャップは見応えあり。

2021年1月16日 (土)

ウォーデン 消えた死刑囚

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 イラン
 サスペンス & ミステリー & ドラマ
 監督 : ニマ・ジャヴィディ
 出演 : ナヴィド・モハマドザデー
      パリナズ・イザディアール
      セタレ・ペシャニ
      
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1966 年、イラン南部。刑務所の所長を務めるヤヘド少佐は、空港建設のために囚人たちを新しい刑務所に移送して退去する任務を与えられる。 それほど困難な任務ではない上に遂行すれば大きな出世ができると考えていたヤヘドだったが、死刑囚の1人が行方不明になってしまう。ヤヘドは所内を徹底的に調べ上げることを決め、死刑囚を担当していた女性ソーシャルワーカーを呼び寄せる。 ひそかに思いを寄せていた彼女と死刑囚の足取りを追う中、自身の正義や良心を揺さぶる問題に直面する。
 
 コロナ禍が収束する気配を見せぬまま 21 年シーズンが開幕。
今年の映画初めは、久々となるイランのサスペンス作品。 イランのサスペンス作品は以外にも秀作 & 傑作が多くあり、本作もそれらに負けず劣らず、ヴェネチア国際映画祭をはじめとする多くの映画祭で、極めて高い評価を受けたうえに興行的にも大成功を収めたとあっては期待せずにはいらねぇし、シーズン一発目に持って来いってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 刑務所の引っ越し騒ぎに乗じて、冤罪の可能性があるひとりの死刑囚が姿をくらまし、大出世を目の前にする所長の陣頭指揮で、大捜索が開始されるも死刑囚は一向に見つからずのサスペンス劇は、それなりのミスリードはあるもののコレといった山場がなく、思いのほか淡々としてるうえに抜け感もあって、サスペンスとしてはやや物足りなさが残る。
 ワリと平気にあくどいことが出来、いろいろと後ろ暗いことが多々ある所長がしだいに人間性に目覚めて、最後は 【 良心 】 の声に従うというというあたりはヨカッタ。 ただねぇ、所長はあくまで刑務所の所長であって、下された判決に対してどうこう出来る立場になく、ただ職責を果たしてるにだけに過ぎないのだから、冤罪だから何とかしろと訴え出られたところで、一存でどうすることもできないワケで…何か意味もなくババ引かされた感じがしなくもで、ちょっと可哀そう…。
 まぁストーリーとしては期待したほどではなく、普通といったところなんだけれども、時代背景がイラン革命前ということもあってか、女性がチャドルではなくモダンな服装を身に着けている ( 高倉健さん主演の 「 ゴルゴ13 」 では女性が洋装だったっけ ) あたりや、勝手なイメージでイランというだけで雨が降っているというだけでスッゲェ新鮮に見えた。
所長役のナヴィド・モハマドザデーなる俳優さだけれども、ロバート・ダウニー・Jr に似ててけっこうカッコイイ。
 
 感染する人が 1000 人を超える日が続き、コロナ禍がまだ収束する気配を見せる気配は未だ感じられない中、 21年シーズンが開幕したワケだけれども、去年同様に今年もおそらく多くのハリウッドの話題作が公開延期になるであろうけれども、考え方によってはコレを機に今まで観る機会のなかった、国や単館系、ジャンルの作品に触れるイイ機会と捉えてもイイんじゃあねぇかなぁとも。

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