劇場公開

2022年5月23日 (月)

クリーチャー ・ デザイナーズ ハリウッド特殊効果の魔術師たち

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 フランス
 ドキュメンタリー
 監督 : ジル・パンソ & アレクサンドル・ポンセ
 出演 : ギレルモ・デル・トロ
      ジョー・ダンテ
      ジョン・ランディス
      ケヴィン・スミス
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 「 アビス 」 や 「 ジュラシック・パーク 」 シリーズなど、数々の映画で クリーチャー や モンスター を生み出してきた クリエイター たち。
「 スター・ウォーズ 」 シリーズなどで特撮を手掛けた フィル・ティペット、 「 メン・イン・ブラック 」 などの特殊メイクを担当した リック・ベイカー らが登場し、さまざまな クリーチャー を作り出した誕生秘話を明かしていく。
 
 映画における魅力あふれるクリーチャーの誕生秘話や、どこからそのアイディアが湧いてくるのか? は確かに興味あるところでもあるんで、それならば観ておくかってぇことで、取り合ず観に行ってきた。
 
 コマ撮り、特殊メイク、着ぐるみ、アニマトロニクス、そして CG とその時代ごとに革新されていく映画における特殊効果の変遷譚
もさることながら、その映像革新の基点となる作品の紹介なんかも 「 なるほど 」 と思えるものが多々あってなかなか興味深くあった。
 終盤では何でもできてしまう CG 隆盛における昨今、上記のようなアナログな手法が廃れてきていしまっている潮流を多くのベテランクリエイターたちが嘆いているのに大きく賛同。 日本人は子供のころから 「 ゴジラ 」 を筆頭に 「 ウルトラマン 」 の怪獣、「 仮面ライダー 」 の怪人と 【 着ぐるみ 】 や 【 特殊メイク 】 がわりかし身近にあるから、まぁこれはオレ個人だけのことかも知れんけれども、スゲェと思いながらもやっぱりどこかでフル CG に微妙な違和感を覚えたりするもんでね。 以前、某レビューサイトで 「 CG を否定するつもりはない。 だけど 着ぐるみ や マペット は実際に存在している 」 と、だいたいこんな感じの一文を思いだし、廃れゆく技術は大前提として、他に 【 想い 】 や 【 味 】 ってぇのもあるんだよなぁと。
何にせよ職人たちの偏愛譚、引き合いにだされた作品群もオモシロかった。 そして毛のない ギズモ は可愛くないのが解った。
 
 オレのなかでこれらの特殊効果がスゲェと未だに思っている作品は 「 セサミストリート 」 の生みの親である ジム・ヘンソン が監督し、着ぐるみやマペットを多用した 「 ラビリンス 魔王の迷宮 」 で、未だに大好きな作品のひとつ。
劇中に登場した ゴブリン をデザインを担当した ブライアン・フラウド の 「 いたずら妖精 ゴブリンの仲間たち 」 という関連イラスト集はホント素晴らしくてお薦め。

2022年5月22日 (日)

ワン・セカンド 永遠の24フレーム

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 中国
 ドラマ
 監督 : チャン・イーモウ
 出演 : チャン・イー
      リウ・ハオツン
      ファン・ウェイ
      ユー・アイレイ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1969 年、文化大革命時代の中国。 強制労働所送りになった男は、 22 号という映画本編前のニュースフィルムに娘が 1 秒だけ映っていることを知り、娘の姿を見たい一心で強制労働所から脱走する。 映画館のある村を目指す道中、フィルム缶を盗む子供を目撃した男は、娘が映っている 22 号のフィルムかと思いその子供を捕まえる。 身寄りのない子供は リウ という名前の少女で、やがて成り行きで小さな村にたどり着いた二人は、村で勃発した騒動を通じて奇妙な絆で結ばれていく。
 
 敬愛する映画監督のひとり チャン・イーモウ 監督の最新作。
いっとき冷めかかった武侠アクション熱が再燃したようで、近々の作品でもそれが続いたけれども、本作は久々に本来のフィールドである淡々とした文芸チックな人間ドラマに戻って来てくれたといったところ。 いちファンとしては観たかったのは武侠アクションではなくこういう作品なのよってぇことで、張り切って観にいってきた。
 
 「 おかえりなさい、 チャン・イーモウ 監督! 」
これまでの武侠アクションのどれも悪かぁねぇし、撮りたい気持ちも解る。 解るけれども個人的にそのほとんどが 「 HERO 」 には遠くおよばず… 常々言っているように大人しく本来のフィールドである淡々とした文芸もしくは純愛ものを撮ってれば間違いねぇのよと。
まぁそれはそれとして、文革が背景にあるあるけれどもそこをどうこう言ってるワケではなく、当時の中国、とりわけて都市部から大きく離れた辺鄙な土地における映画がはたす役割や、監督自身の映画に対する愛や情熱が色濃く描かれている印象。
 ゆえに時代背景のワリには暗くもなければ重くもなし、むしろ反発し合いうもしだいに心を通わす主人公と少女のやりとりなどはコミカルだし、慣れ合わないつかず離れずのふたりの距離感もほどよく、ラストの執着を捨てた主人公とそれを見守る少女の笑みにさわやかな余韻が残り、ひさびさに チャン・イーモウ 節を堪能といったところ。
 
 主人公の チャン・イー 、画像検索で見ると全然なんだけれども、本作での彼は 大泉洋 や 長渕剛 に見えたり。
さすがは ロリコン の気がなくもない イーモウ 監督、 儚げな面だちの少女を見つけてくるのがホントに巧い。
コン・リー 様やチャン・ツィイーと似てるようで、また違ったタイプに見えなくも… 何にせよカワイイ。

2022年5月17日 (火)

シン・ウルトラマン

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 日本
 SF & 特撮
 監督 : 樋口真嗣
 出演 : 斎藤工
      長澤まさみ
      西島秀俊
      有岡大貴
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 謎の巨大生物 「 禍威獣 ( カイジュウ ) 」 が次々に現れ、その存在が日常となった日本。
通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称 「 禍特対 ( カトクタイ) 」 を設立する。
田村君男 を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。
巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子 が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二 と組む。
 
 普段であれば観たいと思う作品の事前情報を仕入れることをまったくせず、ほぼほぼまっさらな状態で観に行くことを常としているんだけれども、今回ばかりは Youtube で、いくつかのマニアの人たちによる考察動画を観て少しでも予備知識を仕入れてしまうほどに、本作に対する期待値ははかりなくデカく、ホントに期待しかぁねぇってぇことで、いつも以上に張り切って観に行ってきた。
 
 ああ~やっぱり普段やらない事前情報収集をやってしまったがために、ワケ知り顔の人たちによる煽りの言葉に見事に乗っかってしまい、ムダにハードルの設定値を高く見積もってしまった。 だからつまらなかったのか?と問われれば、全くの逆でかなりオモシロかったし興奮もさせられた、ただ、た~だッ、観る前に感じた昂ぶりほどではなかったってぇところに引っ掛かっちゃってねぇ…。
 まぁそれはそれとして、本作は 「 人間とは? 」 的なテーマで比較的単純だった 「 シン・ゴジラ 」 と比べるとやや難しくあったかなぁと。 セリフの多さは相変わらずも 禍特対 の面々のやり取りがコミカルであったがためあまり気にならず、むしろ小気味の良いテンポで、それに対して侵略を理知的、ビジネスライク的に考える平板な感じの外星人との対比がまたオモシロい。
そういった意味でその中間の存在にある ウルトラマン をフル CG にしたことで後ろのチャックの部分が消えてしまい、逆にウルトラマン の人間臭さが消えてしまったかなぁと思えたり、消えてヨカッタかなぁと思えたりで、この辺の判断がすごい難しい。
 昭和っぽい映像、随所に見受けられる数々オマージュは観ていて楽しくあったし、取り分けて ウルトラマン が地上に降り立ち立ち上がるシーンには大興奮も大興奮。 ラストも 「 返ってきたウルトラマン 」 に帰結してなくもでヨカッタと思えるところが多々ありも、ただ 庵野氏 は怪獣に対してそれほどこだわりを持ってねぇのかなぁ?の印象を受けなくも。
そんなこんなで、約 2 時間の尺ながらガッツリ 3 時間ちかく観たと感じさせられるくらい内容の濃い見応えのある作品だった。
そして 「 割り勘 」 は私の好きな言葉です。 「 今日はオレのおごり 」 はもっと好きです。
 
 神永新二 役の 斎藤工 は敢えての平板な口調に無表情はムズかしかっただろうなぁ。 平板な口調なんて棒読みと悪くとられるやもだしねぇ。 長澤まさみ のフジ隊員 巨大化のオマージュでの見えそで見えないアングルが絶妙。 なれど 長澤まさみ < 早見あかり ってぇところ。 そして何より 岩松了 と 嶋田久作 の両氏が本作と対を成す? 「 大怪獣のあとしまつ 」 に出ている 【 皮肉 】 がウケる。

2022年5月 8日 (日)

死刑にいたる病

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 日本
 サスペンス & ドラマ & 犯罪
 監督 : 白石和彌
 出演 : 阿部サダヲ
      岡田健史
      岩田剛典
      宮崎優
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 理想とはかけ離れた大学生活で悶々とした日々を過ごす 筧井雅也 のもとに、ある日 1 通の手紙が届く。
それは大勢の若者を殺害し、そのうち 9 件の事件で死刑判決を受けている凶悪犯・ 榛村大和 からのもので、 「 罪は認めるが最後の事件は冤罪だ。 犯人はほかにいることを証明してほしい 」と記されていた。
かつて筧井の地元でパン屋を営んでいた旧知の 榛村 の願いに応えるべく、 筧井 は事件の真相を独自に調べ始める。
 
 まったくノーマーク、ノーチェックだった本作だけれども、予告トレーラーを観て主演の 阿部サダヲ の不気味な表情と演技、そして 「 踏み入れたら沼だよ 」 のキャッチコピーに 「 是非ともハマりたいものです! 」 と急に惹かれるところが大きくなり、それならハマってくるかってなぁワケで張り切って観に行ってきた。
 
 冒頭の裁判のシーンに裁判傍聴芸人の あそちゃん ( 阿曽山大噴火 ) の姿が見えたもんだから、思っている以上にシリアスな展開じゃあねぇのかもなんて油断してしまった… まぁそれはそれとして、全体的に人心掌握に長けた 榛村 はさしずめ ハンニバル・レクター 博士、その 榛村 との接見室でのガラスに互いの顔が重なり合ったり、操られ狂気が伝播する演出は デヴィッド・リンチ 監督の 「 ツイン・ピークス 」 を彷彿させられ、名作サイコサスペンスのイイとこ取りの印象が強くあるのは否めないものの、前述とは逆に思っていた以上にシリアスでどす黒い狂気を孕んだ、見応えのあるオモシロい作品だった。
  冒頭の花びらのシーンがまさかあのように帰結するとは思いもしなかったし、最後の対峙で 榛村 の思惑を退けた行、時間をかけた下準備が実を結び始めたときと、今思い返せばあれも、これも伏線だったのか? と気づくところも多く、とにもかくにも本作は伏線回収とミスリードが見事だったように思える。 ただ終盤で 榛村 がそれまでのスタンスを崩してまで犯した殺人とその犠牲者の説明をきちんとしてくれてはいたけれども、いまいち納得できないというか… まぁやっぱり、逮捕、収監、死刑を見越したそのうえで 雅也 と接触するための下準備としてのスタンス崩しってぇことなんだろうなぁ。
 
  吉良吉影 ばりの 「 普通の人 」 を装い、喪黒福造 ばりに巧みに 「 心の隙間 」 に入り込んでくる 殺人鬼・榛村 役の 阿部サダヲ の不気味さたるや、 あの狂気を孕んだ無感情な目の演技はマジで怖い。
出演していたトレンディドラマも観てなけりゃあ、浅香唯 派だったからそれほど 中山美穂 を観てきたワケじゃあねぇけれども、何にせよ、オバさんになったなぁ…と。

2022年4月30日 (土)

KKK をぶっ飛ばせ!

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 イギリス
 アクション & ホラー & サスペンス
 監督 : チャーリー・スティーズ
 出演 : ディオンドル・ティーグル
      フェイス・モニーク
      トラヴィス・カットナー
      スコット・スカーロック
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1971 年、アメリカ・テネシー州。 無実の罪で投獄された ブランドン は脱獄し、姉の アンジェラ に助けを求める。
アンジェラ と兄の クラレンス は、郊外の今は廃れた牧場に ブランドン を隠そうとする。 だが、そこは白人至上主義秘密結社 KKK の活動が盛んな場所で、中でも黒人を捕らえてその肉を食するという異常な一派の拠点があり、ブランドン たちは彼らに捕まってしまう。
 
 いつも愛すべき おバカ映画 でお世話になっている、映画配給の【 TOCANA 】 が社名変更にともない、本作が 【 TOCANA 】 として最後の配給作品とのことらしい。 まぁそんなワケで、オモシロそうが最前提として、なにはともあれ【 TOCANA 】 としての最後の雄姿を見届けるべくいつも以上に張り切って観に行ってきた。
 
 「 黒人は白人の食糧 」 の思想のもと、黒人を捕えては喰う KKK に捕まり好き放題やられまくった兄姉弟が、逆襲にでて非道の限りを尽くす展開は、アツくもありヌルくもあり。 80 分程度の短尺で ブラックサンダー ばりに手軽にサクっと美味しく観られる。
 先日の同配給会社による 「 ハングリー / 湖畔の謝肉祭 」 もそうだったのだけれども、 食人 と謳っているワリには思いのほか人を喰ってるシーンが少なめ。 それでも復讐シーンで首を刎ねとばし、股間に斧を打ちおろし、後ろから銃で撃ち殺したりと、血しぶきは多めでゴア描写はそれなりに力が入っている印象。 また黒人によって KKK ( 白人 ) の白装束が赤く染まっていく 3 色のコントラスト、兄姉弟のなかお姉ちゃんが縦横ともにいちばん がたい がイイあたりがなかなかオモシロくあった。
そういえば KKK のひとりがオイル缶を持ってるのに、誰一人として火だるまになることも、車も焼かれることもなく… 何のためにオイル缶持って来たんだよ? と。
 
 まぁそんなこなんで 【 TOCANA 】 だろうが、 【 エクストリーム 】 になろうが、この先も変わらず おバカ映画 を配給し、詐欺まがいのプロモーション をしてくれればそれでイイ。 期待してるんで、これからもよろしくお願いします。

2022年4月24日 (日)

ハッチング ― 孵化 ―

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 フィンランド
 ホラー
 監督 : ハンナ・ベルイホルム
 出演 : シーリ・ソラリンナ
      ソフィア・ヘイッキラ
      ヤニ・ヴォラネン
      レイノ・ノルディン
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 北欧フィンランドのとある街。 12 歳の少女 ティンヤ は、幸せな家族の姿を発信することに必死な母親を喜ばすため、自分の感情を抑え込み、母が望む体操大会の優勝を目標とする毎日を過ごしていた。
そんな中、彼女は森で見つけた奇妙な卵を家族に内緒で温め、やがて卵はふ化し、卵から出てきた 「 それ 」 は、誰もがうらやむ完璧な家族の実像を暴き出していく。
 
 物語がオモシロそうはもちろんとして、何より北欧産サスペンス & ホラー作品特有の 【 隠滅 】 さを堪能したくあり、公開を楽しみにしていた作品ということで、張り切って観に行ってきた。
 
 あることがきっかけで、両親が 毒親 であることに気づき、思春期の不安定さも手伝い、溜まった ストレス や フラストレーション が卵、悍ましい姿の鳥として具現化し暴走して云々と外枠自体に目新しさはないけれども、怪物の残虐な行動も ティンヤ の母親の期待に応えたいという想いが反映されたもので、怪物に対してしめす親としての自覚と愛情、責任を果たそうとする姿もまた 毒親 と対比となっていてと、内容は深くあったかなぁと。 何にせよ、SNS に精を出す心底サイコパスな母ちゃん、何事にも無関心を決め込む親父、母ちゃん血を色濃く受け継ぐクソな弟と、歪みきった家族の姿は鳥の怪物よりはるかに醜く怖く、イイ意味で不快な作品…。
 ティンヤ がいろいろと不安なもんだから、鳥の怪物が彼女だけにしか見えない イマジナリーフレンド なのか? それとも心と身体が分離してとかと鳥の怪物が本当に存在するのか? と迷わされたというか、迷ったというか… 手前ぇのせいで迷ったのであれば、これはこれでオモシロくあったから逆に得した気分。
 
 全体的に柔らかい陽射し、淡い色彩と 【 陽 】 であったことで、逆に 【 隠滅 】 さが際立っていたなぁと。 この辺は北欧産サスペンス & ホラー の 【 寒々としてジメっとした隠滅 】 というそれまでのイメージを破った 「 ミッドサマー 」 を踏襲してなくもと。
鳥の怪物が 先日亡くなられた 楳図かずお 氏のむかしマジで怖くて途中で読むのをやめた 「 14歳 」 出てくる 【 チキン・ジョージ 】 を想起させるビジュアルなのも何かヨカッタ。

2022年4月17日 (日)

親愛なる同志たちへ

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 ロシア
 ドラマ
 監督 : アンドレイ・コンチャロフスキー
 出演 : ユリア・ヴィソトスカヤ
      ヴラジスラフ・コマロフ
      アンドレイ・グセフ
      ユリア・ブロヴァ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1962 年 6 月 1 日、ソ連南部の ノボチェルカッスク の機関車工場で、貧困にあえぐ労働者たちがストライキを起こす。
問題視した政府は、スト鎮静化と情報の流出を防ぐため高官を現地に派遣し、スト発生の翌日には軍が市民に銃撃を開始する。
熱心な共産党員で、市政委員でもある リューダ は、行方不明になった娘の スヴェッカ を捜して、混乱する広場を駆けずり回る。
 
 ホロドモール ( 人工的な大飢饉 ) 同様に ソ連 政府によって隠蔽された政府による一般市民の虐殺事件を描いた本作に、連日の ロシア による ウクライナ 侵攻の報道を目にする当世だからこそなのか? それともただの興味だけなのか? 手前ぇでも判断しかねるところなんだけれども、とにもかくにも観ておかねばの思いで観に行ってきた。
 
 粛清、隠蔽と旧ソ連時代の悪い体質を連綿と受け継ぐロシアを見ると、その歴史から何ひとつ学んでねぇというか、学ぼうとしねぇ頑な
姿勢はもはや天晴れのひと言… 本作ではじめて知るところとなった ノボチェルカッスク での暴動鎮圧をはじめ、ホロドモール ( 大飢饉 ) の出来事から、ウクライナという地は昔からロシアから虐げられていることが窺え、今の結果に至ることがよく解る。
 混乱のさなか行方知れずとなった娘を探し求める母親の姿を通して、妄信的に信じていたものが、ある日突然に崩れ始め、何を信じ、何をすればイイのか解らなくなり、やがて不信を生み、最後は希望に託すしかなくなる様はとにもかくにも重苦しい。
この主人公の一連の心の動きに説得力を感じる反面、それでも何かにつけあれだけのことをやらかした スターリン を礼賛するあたりに強烈にモヤモヤっとしたものを覚えなくもだから、主人公に対して共感しづらくあり、主人公同様に観てるこっちも心や感情の置き所が解らなくなった感ありかなぁと。 行動を共にする KGB 局員も疑問を感じながらも命令に従わざる得ない姿を見れば、当時の党員といったある程度社会に適合できいた連中は、すべからくこんな感じだったのかも知れんね。
何にせよ、「 外に誇れる社会ではない 」 のセリフ、このひと言に尽きる。
 
 旧ソ連が隠蔽し、崩壊する最近まで隠蔽し続けた黒歴史を、現ロシア政府がその事実を認め、今に至ってこの作品を撮ることを承認したとのことで、今現在のロシアの言動を思えば内部告発に近い作品。 この紛争の前に撮られたものであろうから、今現在となっては到底承認など得られないだろうから、そういった意味でもとても意義のある作品であることに間違いはなかろかと。

2022年4月16日 (土)

バーニング・ダウン 爆発都市

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 香港 & 中国
 アクション
 監督 : ハーマン・ヤウ
 出演 : アンディ・ラウ
      ラウ・チンワン
      ニー・ニー
      ツェ・クワンホー
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 爆発に巻き込まれて左足を失った元爆弾処理班の フォン は、現場への復帰がかなわず警察を辞めてしまう。
ある日、テロ組織・復生会による爆破事件が発生し、姿をくらましていたフォンが重体で発見され、容疑者として浮上する。
しかし、尋問を受けたフォンは爆発の影響で記憶を失っており、さらにそこへ復生会が乗り込んでくる。
 
 今年も 1/3 が終わろうとしているのに、ここまで香港のアクション作品に触れられてないし、何より大好きな アンディ・ラウ 主演で、個人的にひさびさとなる ラウ・チンワン が共演。 そんなワケで公開を楽しみにしていた作品ってぇことで張り切って観に行ってきた。
 
 原題にまた 「 2 」 の文字があるのを目にし、前作を観てないからいろいろ難儀するかなぁの不安が一瞬よぎるも、何時ものごとくタイトルと爆弾処理班という基本設定だけを踏襲しているだけで、、あとはほぼほぼ関連のないまったくの別個の作品でひとまず安心。
日本公開時で、こうもちょいちょいタイトルを変えられるのも何かにつけ困りもののような気がしないでも…。
 まぁそれはそれとして、冒頭から 「 いきなりステーキ 」 ならぬ 「 いきなり佳境 」 、そして佳境、ずっと佳境、終わりまで佳境と、息つく暇もない佳境の連続に、諸々のツッコミどころにツッコむのも忘れるほどに大興奮してしまった。
ド派手なアクションに目が行きがちだけれども、主人公の記憶や感情が不安定であることで、善と悪のどちらに転ぶのかと常に綱渡り状態なもんだから、けっこうハラハラドキドキさせれ高評価。 中盤、主人公の言動の謎が回収されるあたりもヨカッタとは思うものの、いくら作戦上とはいえ、やってることは思いのほか非人道的…. あと、爆弾処理班はやっぱりその危険性から高給取りなのか? 一介の隊員が、レンジローバー や アウディ と高級車乗ってるのが妙に気になるところ。
 
 序盤の現場で最前線に立っているとき、闇落ちしたときの狂気、自分が何者で何をしているのか解らずの不安に陥る、そして復活して正義遂行と、すべてのパートでそれぞれ違った目で演技している アンディ・ラウ の凄さたるや。
相棒の ラウ・チンワン も親友と組織の板挟みになる中間管理職の悲哀といった抑えた演技もまたヨカッタ。

2022年4月10日 (日)

今はちょっと、ついてないだけ

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 日本
 ドラマ
 監督 : 柴山健次
 出演 : 玉山鉄二
      深川麻衣
      音尾琢真
      団長安田
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 世界の秘境を旅するネイチャリングフォトグラファーとしてテレビ番組に出演して脚光を浴びた 立花浩樹 。
だが事務所の社長が作った借金を背負わされる羽目になり、懸命に働いて完済したものの、気づけば 40 代になっていた。
母親から頼まれて彼女の友人を撮影し、カメラを構える喜びをあらためてかみしめた彼は再起を図って上京し、シェアハウスに暮らす。
そこで彼は人付き合いが苦手で美容サロンをリストラされた 瀬戸寛子 を筆頭に人生で挫折を味わった住人たちと出会う。
 
 物語の概要を観ると、 フォトグラファー だとか 中目黒でシェアハウス だとか、なんかいかにもなオシャレ感だけが先行した印象を受けなくだから、取り立てて観たいワケでなし。 なれどすっかり 「 元乃木坂 」 の冠も取れ、今じゃあ売れっ子女優さんのひとりとなった、いちばん最初の推しにして今でも推しの まいまい ( 深川麻衣 ) は是が非でも観たい。
てなぁワけで まいまい 目的で、結果オモシロかったで終われればと毎度おなじみの理由で取り合ず観に行ってきた。
 
 うだつが上がらないオッサン連中の思うようにならないもどかしさ、何かを言い訳にして逃げ続けていること、がんばることも大事だけど、背負い過ぎるのも宜しくねぇと、言いたいことも解れば、物語全体も悪かぁねぇとは思う。 思うんだけれども、何も響いてこない、イラつかされる、ムダに長尺、と要はオモシロくない、というより全てにおいて 【 不快 】 の感情のほうが勝った感じ。
 個々の人物をかなり深掘りするのは否定するところは何ひとつねぇんだけれども、 主人公は終始鬱々としてるし、音尾琢真 のエピなんかはもぅ病的なまでのヒステリックな展開でイラつかされるし、紅一点 瀬戸ちゃん の新興宗教勧誘のエピの半端ない唐突感、さらに激しく入れ替わる時系列… etc … で、本気で途中退出しようかと。
そんなこなんで、オモシロいはずであろうせっかくの人生まき直し、再スタート劇もバブル全盛期のころはヨカッタ的なただの傷のなめ合いにしか映らずで残念な結果に。 それでも 「 今はちょっと、ついてないだけ 」 のポジティブ思考は大きく響くものあり。
 
 主人公の 玉山鉄二 太ったなぁ… 主人公の感情には共感できなかったけれども、中年になってからの意に反する急激な肉の付き方にはものスゴく共感できる。 カッコイイ人でもそうなるのだから、オレもまだ大丈夫だなと。
推しの まいまい は相変わらず ピョコン と突き出た上唇がカワイイ。 乃木坂 OG のなかではいちばんの出世頭なのもウレシイ限り。
ただ、出演映画のできがどれもいまいちなのが気になるところ。

2022年4月 9日 (土)

世の中にたえて桜のなかりせば

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 日本
 ドラマ
 監督 : 三宅伸行
 出演 : 岩本蓮加
      宝田明
      吉行和子
      徳井優
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 不登校の高校生の 咲 はさまざまな人の終活を手伝うアルバイトをしながら、生徒からのいじめで教師を辞めて引きこもっているかつての担任・ 南雲 の家へ様子を見に行ったり、いじめた生徒に自分の気持ちを伝えるために会いに行ったりしていた。
どうすることもできずにやるせない気持ちを抱く 咲 に、一緒に働く 敬三 がかつて妻と見た桜の下での思い出を話し始める。
 
 タイトルに 「 桜 」 とあるように、本来であれば桜が満開であった公開初日に観れば、また趣があってヨカッタのだろうけれども…。
まぁ何にせよ、 乃木坂ちゃんメンバーの れんか ( 岩本蓮加 ) の初主演作ということで楽しみにしていたこと、そしてダブル主演の 宝田明 が残念なことに公開を前に亡くなり本作が遺作となりというワケで、 れんか 目当てと、宝田明 への追悼の意も込めて、張り切って観に行ってきた。
 
 上映時間 80 分とかなりの短くあることで個々の掘り下げが浅かったりで、全体的に気持ち物足りさなを覚えるも、「 終活 = 死 」 をはじめ 「 生きていくこと 」 「 相手を思いやり寄りそうこと 」 そして 「 戦争 」 と、多岐にわたるテーマを短い時間内でも、しっかりと語られてあり、また序盤での説明不足のエピがラストで回収と、背景にある満開の 桜 同様に 綺麗 にまとまっていて感心させられもすれば、皆がみな上を向いて進んでいくオチも大好物だしで、穏やかでホッコリできる佳作といったところ。
 咲 が慕う女先生が学校で生徒からいじめを受けるエピを観て、オレが中 1 のときの新人の英語の女先生がおなじ目にあっていたことを思い出した… いじめには加わらなくとも、当時から卑怯もののオレは知らぬ存ぜぬを決め込んでたっけ… 咲のように先生を思いやれるやさしさと、相手に立ち向かえる勇気あるすがたを観て、今になって恥じる思い… 劇中、女先生が 「 生徒に何も伝えられなかった 」 と言ってたけど、「 アンタの生徒は立派だよ 」 と感動と手前ぇの情けなさで涙が出そうになった。
 
 正直なところ 「 ゴジラ 」 シリーズくらいでしか知らない宝田明。 残念なことに遺作になってしまったけれども、終盤で 「 戦争 」 について実体験を交えて語れたことだけでも本望だったことと思う。 何にせよご冥福を祈る。
はてさて、映画初主演となる れんか ( 岩本蓮加 ) だけれども、そもそもからして極めて演技経験が少ないのだから 「 まぁそんな感じだろうね。 」 といったところ。 それでも終盤は慣れたのか? 硬さが抜けて良さを感じられた。
乃木坂に 3 期生として 13 歳くらいで入ってきて、現在女子高生という等身大の役を演ってるんだから、大したもんだよ。

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