劇場公開

2021年10月23日 (土)

キャンディマン

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 アメリカ
 ホラー
 監督 : ニア・ダコスタ
 出演 : ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世
      テヨナ・パリス
      ネイサン・スチュアート=ジャレット
      コールマン・ドミンゴ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 アメリカ・シカゴの公営住宅 「 カブリーニ=グリーン 」 。 そこでは鏡の前で5回その名を唱えると、右手がかぎ爪の殺人鬼 “ キャンディマン ” が現れ、殺されるという都市伝説が語り継がれていた。 老朽化した団地が取り壊されてから 10 年後、新設された高級コンドミニアムに画家のアンソニーが恋人と引っ越してくる。 創作活動のためにキャンディマンの謎を調べていた際、彼は公営住宅に住んでいた人から伝説に隠された悲しい話を聞かされる。
 
 「 ゲット・アウト 」 & 「 アス」 で人種差別系ホラーという新機軸を開拓した ジョーダン・ピール が関わっていることで、期待するところが大きくあるってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 超常的存在による普通の殺戮劇 ( ? ) かと思いきや、長きにわたる黒人差別と犠牲による恨みつらみが実体化して云々と背景に 【 黒人差別 】 がきっちりと描かれていて、この辺は実に ジョーダン・ピール らしいと。 なんでも 92 年に公開された同タイトル作品の続編とのこと。 前作は未見、予習していればさらにオモシロく観られたのだろうけれども、本作単体でも十分にオモシロく観ることができた。
 その反面、こうも毎回々おなじテーマのものばかりというのも… 結果そういうテーマとメッセージ性含んでいたではなく、もはやテーマありきになっていて、それが続くと今までイイと思えていたものも急に鼻につき始めてこなくも… そういった意味でクレジット後の人権団体の行が悪感情に拍車をかけ、思うところがあるのは理解できるも不要だったかなぁと。
 冒頭の 「 Universal 」 のロゴが反転、上下逆さまになったビル群の怖くなる浮遊感といった、キーアイテムになっている鏡を使った映像と、クレジット時の黒人差別による謂れのない犠牲者たちのエピを紹介した影絵の演出はとてもヨカッタ。
ただ、白人の女子高生たちがトイレで斬殺されるエピはあからさま過ぎ…。
 
  劇中で 「 都市伝説は社会不安やコミュニティの保安 ( 注意喚起 ) のために生み出された要素もある 」 云々に今まで都市伝説 = トイレの花子さんや口裂け女といった超常 & オカルトの存在で好奇の視点でしか見ていなかったから、こういう社会学的側面があることに目からウロコとまではいかないまでも、なるほどと感心させられるものが。 確かに怖いおじさんやら鬼が来るよ、と親が子どもを叱るときの拡大版みてぇなもんだもんなぁ。

2021年10月16日 (土)

燃えよ剣

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 日本
 時代劇 & アクション
 監督 : 原田眞人
 出演 : 岡田准一
      柴咲コウ
      鈴木亮平
      山田涼介
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 江戸時代末期、黒船来航と開国の要求を契機に、天皇中心の新政権樹立を目標とする討幕派と、幕府の権力回復と外国から日本を守ることを掲げた佐幕派の対立が表面化する。 そんな中、武士になる夢をかなえようと、 近藤勇 や 沖田総司 らと京都に向かった土方歳三は、徳川幕府の後ろ盾を得て芹沢鴨を局長にした新選組を結成する。 討幕派勢力の制圧に奔走する土方は、お雪という女性と運命の出会いを果たす。
 
 正直なところ新選組をよく知らないところにもってきて、監督が同原作者の 「 関ケ原 」 をはじめ 京極夏彦氏 の 「 魍魎の匣 」 と優れた原作を映画化して、ことごとくクソ化させている 【 ハリウッドかぶれ 】 の 原田眞人 なんで、きっと腹を立てて噛みついて終わりが目に見えるから、ここは大人しくスルーすべきところなんだけれども、 なんだかんだ言いながらも惹かれるところがあるし、勉強にもなるしってぇことで張り切って観に行ってきた。
 
 戦国時代は人並み以上に語れる自負はあれど、それ以外の時代となると無知に近く、取り分けて幕末から明治維新にかけて恥ずかしながらまったくもって 「 ? 」 で、正直なところ新選組と大政奉還くらいしか知らず、尊王攘夷って何ぞね? 状態… ゆえに原作も未読なうえに新選組を最初から最後まで観るのこれが初めて。 そういう個人的事情を踏まえてみても幕末の歴史、新選組の成り立ちと末路も戦国時代なみに激熱のオモシロさがあったし、何よりいつもの 【 情報過多による早口、まくし立て 】 の 【 原田眞人節 】 が補正修正されていて観やすく、思った以上に前のめりでの鑑賞となった。
 新選組も同じ大義を持った面々が集まり結成されるも、やっぱり主義思想に多少のズレがあり、そこから亀裂が生じ、果ては内部抗争と、この辺は日本赤軍の内ゲバによく似ていると思え 「 この辺のことは何時の時代も変わらねぇんだなぁ… 」 と思えたり、劇中でも言っていたように 土方 は政治家ではなく、 「 喧嘩屋 」 だけにこういう末路しか選択肢はねぇのかもなぁとも。
難を言えば鳴りを潜めていたとはいえちょいちょい 【 原田眞人節 】 が顔を覗かせていて、その中でもキャストのローマ字表記は野暮ってぇか、興醒めってぇか…。
 
 岡田くん と 鈴木亮平 は中堅俳優の安定感といったところで、イイとも悪いの印象はそれほどだったんだけれども、沖田総司役の 山田くん の飄々とした演技がすげぇヨカッタ。 あとはお笑い芸人の 金田 の演技力の高さにビックリさせられ、 柴咲コウ も歳とって落ち着きというか、貫禄が出てきてこちらも好印象。 池田屋襲撃のシーンで 「 ハバネラ 」 が BGM で使われていたのもヨカッタ。

2021年10月10日 (日)

007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ

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 イギリス & アメリカ
 アクション & サスペンス
 監督 : キャリー・フクナガ
 出演 : ダニエル・クレイグ
      レイフ・ファインズ
      ナオミ・ハリス
      ラミ・マレック
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 諜報員の仕事から離れて、リタイア後の生活の場をジャマイカに移した 007 ことジェームズ・ボンドは、平穏な毎日を過ごしていた。
ある日、旧友の CIA エージェント、フェリックス・ライターが訪ねてくる。
彼から誘拐された科学者の救出を頼まれたボンドは、そのミッションを引き受ける。
 
 ダニエル・クレイグ による 「 007 」 シリーズも本作が最後とのこと。 コロナ禍の影響でなんだかんだで、約 1 年以上も公開が延期されるもようやく劇場公開となり、まずはヨカッタ、ヨカッタといったところ。
とはいうものの、新シリーズになってから、復習を怠っていることもあって、これまでの展開をよく覚えていねぇうえに、これまでそれほど前のめりだったワケでもねぇから、スルーしようかとも思ったけれども、延期される前に購入したムビチケをムダにするのはイヤだし、ここまで来たのだから最後まで付き合うかってぇことで、取りあえず観にいってきた。
 
 忘れている、覚えていないところが諸々あったものの、復習を怠っているワリには思いのほか覚えていることの方が多く、おいて行かれることはなかったんで、その辺はとりあえずヨカッタといったところ。
 マドレーヌがダレそれの娘とか、細菌兵器云々、マドレーヌに対するボンドの感情なんかを観ると 「 女王陛下の007 」 をアレンジしたものなのかなぁと。 まぁそう考えれば 「 なるほど 」 ではあるけれども、ボンドの女性観ってぇのは据え膳的なあくまでドライなもので、ましてや子供まであるとなんか違和感を覚える。 確かに新シリーズになってからのシリアス路線もドラマ性が濃くあってオモシロくはあったものの、やはり前のめりはなれず。 個人的には前任者たちにのようなマンガ然とした勧善懲悪な作りの方が好みであることを再認識といったところ。
 「 ヘラクレス計画 」 の特性がまあり理解できていない… できていないなりにまとめてみると、DNA 認識して特定のターゲットだけ感染させることがきる。 ゆえに同じ DNA を持つ血縁者も感染してしまう。 この性質を応用するば特定の民族、種族を一気に滅ぼすことも可能で、最小限の被害にして最大限の効果をもたらす兵器として理解してイイのかな? まぁ何にせよ、どちらが先なのかは知らんけれども、 「 進撃の巨人 」 で巨人化の DNA を持つエルディア人に対して巨人化を促進する成分のガスや注射をつかった行とよく似ていて、こういう選別ができる細菌兵器があることが、あながちフィクションでなくなってきていることに無差別以上に恐怖心が大きくあった。 意識はしてねぇだろうけれども新型コロナウィルスに通ずるところが無きにしもの印象も。
 
 ダニエル・クレイグ はまだ出来そうな気もするけれども、今シリーズを一旦打ち切って新シリーズに移行するのであれば、ここで勇退もやむ無しなのだろうね。 何にせよご苦労様でしたといったところ。
パロマ役の アナ・デ・アルマス をどっかで観たような、観てないようなで気になって調べてみれば 「ナイブズ・アウト / 名探偵と刃の館の秘密 」 に出てた女優さんだったのか。 カワイイし溌溂とした役柄で好印象。

2021年10月 3日 (日)

TOVE / トーベ

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 フィンランド & スウェーデン
 ドラマ & 伝記
 監督 : ザイダ・バリルート
 出演 : アルマ・ポウスティ
      クリスタ・コソネン
      シャンティ・ローニー
      ヨアンナ・ハールッティ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 1944 年、第 2 次世界大戦末期のフィンランド。トーベ・ヤンソンは防空壕で子供たちに語った物語から、ムーミンの世界を創り出していく。 ヘルシンキにあるアトリエで暮らし始めた彼女は、自身の芸術性と美術界の潮流にギャップを感じていたが、恋をしたり、パーティーを楽しんだりしていた。 ある日、彼女は舞台監督のヴィヴィカ・バンドレルに出会う。
 
 「 ムーミン 」 シリーズの原作者 トーベ・ヤンソン の伝記もの。 子供のころから幾度となく原作を読んではいるけれども、どちらかと言えば平成版のアニメシリーズの方が好き。 まぁその辺のことはどうでもイイとして、好きなワリには原作者 トーベ・ヤンソン のことを何も知らないんで、その人となりと 「 ムーミン 」 創作秘話を知るにはイイ機会でもあるってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 「 ムーミン 」 は哲学的で淡々とした作風だから、原作者の トーベ・ヤンソン女史 も北欧らしくムダのないスマートな人となりなのかと思いきや、同じ芸術家の親父さんに対しての確執と画家としての挫折で鬱屈とし、さらにそこに不倫に同性愛によるドロドロとした生活を送ったようで、その作風とは裏腹にかなり破天荒な人だったのにはいささかビックリ。 そう考えると 「 世界でいちばん最後の竜 」 のエピに登場する竜を トーベ女史 に見立てれば本作で説明されたように 「 なるほど通ずるところあるのかも知れねぇ。 」 と思えなくも。
 トフスラン と ビフスラン が、トーベ女史自身 と同性愛関係にあった ヴィヴィカ、不倫相手が スナフキン のモデルという経緯がとても興味深い。 最後のパートナーとなる トゥーリッキ は名前からしても見た目からしても間違いなく トゥーティッキ だろう。
ほかにも数々の挿絵の行なんかも観ていて心躍らされる。 取り分けてムーミン谷の地図、 トフスラン と ビフスラン が 飛行おに から盗んだルビーのエピとか モラン の挿絵なんかは観ているだけで最高。
 そんなこんなで、オレはフェミニストってぇワケでも自由主義でもねぇんで、このような生き方に共感はしにくいところでもあるし、「 ムーミン 」 のそのものを期待すると痛ぇ目を見るんで、有名作家の生涯に興味がなけりゃあってぇところかな。
 
 主役 アルマ・ポウスティ はトーベ・ヤンソン女史にけっこう似てたな。 この女優さんはじめて拝顔なのだけれども数年前に公開され TV アニメ版と違う趣に少々ガッカリした記憶のある 「 劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス 」 で CV をつとめていたらしい。
てか、日本語吹き替え版を観たこと今のいま思い出した…。

 

2021年10月 2日 (土)

コレクティブ 国家の嘘

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 ルーマニア & ルクセンブルク & ドイツ
 ドキュメンタリー
 監督 : アレクサンダー・ナナウ
 出演 : カタリン・トロンタン
      カメリア・ロイウ
      テディ・ウルスレァヌ
      ブラッド・ボイクレスク
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 2015 年 10 月 30 日、ルーマニア・ブカレストのクラブ 「 コレクティブ 」 で火災が発生し、多くの死者と負傷者を出す大惨事となる。
別々の病院に運ばれた負傷者たちは次々に死亡し、最終的に死者数が大幅に増加。 事件に疑問を抱いて調査を開始したスポーツ紙 「 ガゼタ・スポルトゥリロル 」 の編集長は、内部告発者から衝撃の事実を知らされる。
 
 久々となる事件もののドキュメンタリー作品。 事件の顛末もさることながら、今年のアカデミー賞でドキュメンタリーと国際長編の 2 部門にノミネートされているとのことなんで、大きく期待できそうってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 ルーマニアで起きたライブハウスで 64 名の命が奪われる火災事故を契機に、次々と露見するルーマニア政府と製薬 & 医療機関の腐敗を、新聞記者と棚ぼた式に任命された若き保健省大臣が、事の真相と正そうと奮闘する姿と気概は熱いものを感じられ、また決して表ざたになることのない 【 既得権益 】 というヤバい果実に手を出しているだけによく映画として世に送り出せたなと思わされる。
そんなこんなで、ドキュメンタリーなのに時としてフィクションに思えてきてと、かなり見応えのある作品だった。
 ルーマニアに限らず 【 政治 】 と 【 医療 & 建築 】 の灰色の関係はどこの国でも同じであろう。 ただそれが未だ共産色が強く残り、東欧の中でも経済的に後れをとってりるル-マニアあたりとなれば、そのヤバさは先進国以上じゃあなかろうか。
さらに言えば、【 既得権益 】 の外にいる一般市民の 【 医療 & 建築 】 への 【 無条件の信頼 】 というものをいま一度気づかせてくれたというか、考えさせられたというか… 何にせよ 【 既得権益 】 側ではなく、常に 【 医療を受ける権利 】 側に立って腐敗を正そうと孤軍奮闘する若き大臣の姿に 【 日本の政治家も見習って欲しいものだ! 】 と。
 
 腐敗をすっぱ抜いたことで、身に危険を感じながらも 【 ジャーナリズムが権力に屈したら、権力に国民が虐げられる 】 を標榜に真相を暴こうと奔走する記者の姿に、芸能人の下半身ネタばかりを追う低能雑誌や、田崎のじぃさんのように政権にベッタリの政治記者ばかりの日本の報道の在りかたなどいろいろと考えさせられもすれば、 【 好奇心は猫をも殺す 】 という言葉があるように 【 無関心は人を殺す 】 という言葉もあるようで、国民全員が動かなきゃ何も変わらないのだなぁと。
対岸の火事ではなく、この日本でも起こりえていることだけに何かにつけてザワつかされ、考えさせられる作品だった。

2021年9月26日 (日)

素晴らしき、きのこの世界

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 アメリカ
 ドキュメンタリー
 監督 : ルーイ・シュワルツバーグ
 出演 : ( ナレーション )
      ブリー・ラーソン
      
      
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 世界に広く分布するきのこ・菌類は、近年、食用以外での活用方法が研究されている。
一部にはマジックマッシュルームなど幻覚作用を起こす種類もあるものの、そのいくつかは森林の再生をはじめ、病気の治療や環境問題などにも役立つことが次第に分かってきた。
現在地球上で起きているさまざまな問題を解決する可能性を秘めているとして、今後の有効利用が期待されるきのこの世界に迫る。
 
 ドキュメント作品は好きでそれなりに観てはいるんだけれども、観るのは美術系を中心にスポーツ、事件、そしておバカか偉業か紙一重のものばかりで、ネイチャー系はあまり得意ではないこともあってほぼほぼ観ない。
だけれども 【 きのこ 】 という題材になんかすっげぇ強烈に惹かれるんで、それならば勉強にもなるし、未知のジャンルに足を踏み入れるきっかけにもなるやもの期待も込めて、張り切って観に行ってきた。
 
 オレが観たかった、期待したのは 【 きのこ大図鑑 】 的なものだったんだけれどもねぇ…。
確かに前半は色鮮やかな きのこ が、地中からニョキニョキと生えてくる映像や、菌類のスゴさ、幻覚作用のある きのこ には抗うつ & 抗ガン薬と併用するとその効果が大きくなるといったことが解った等の情報や、きのこ & 菌類が持つ可能性なんかは知りえないところが多々あってオモシロかったし、 他に椎茸は英語でも 「 シイタケ 」 なのが解ったあたりは見応えがあったのだけれども…。
 中盤以降は宗教やマジックマッシュルームによる神秘体験談、果ては世界を救うのは きのこ と相互理解や愛であると一気にスピリチュアルな世界へまっしぐら! そんなワケで、中盤以降は頭の中で 「 きのこのこのこげんきのこ~♪ 」 と、きのこ を栽培販売する HOKUTO の CM ソングが鳴り響く中、戸惑いとともに深淵の世界へ…。
 
 正直なこと言っちゃうと、「 タモリ俱楽部 」 での 「 きのこ鍋 」 の回と 「 きのこの切手 」 の回の方がはるかにオモシロい。
あと東宝の特撮映画 「 マタンゴ 」 が無性に観たくなってくる。

2021年9月25日 (土)

レミニセンス

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 アメリカ
 SF & サスペンス
 監督 : リサ・ジョイ
 出演 : ヒュー・ジャックマン
      レベッカ・ファーガソン
      タンディ・ニュートン
      クリフ・カーティス
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 世界中が海に沈んでしまった近未来。 他人の記憶に潜入する能力を持ったエージェントのニックのもとに、検察からある仕事が舞い込む。 それは瀕死の状態で発見されたギャングの男性の記憶に潜入し、謎の多い新興ギャング組織の正体と目的を探るというものだった。 男の記憶に登場する女性メイが、鍵になる人物だとにらむニック。 彼女を追ってさまざまな人の記憶に潜入していくが、その裏では巨大な陰謀がうごめいていた。
 
 「 インセプション 」 をはじめ 「 ザ・セル 」 「 記憶探偵と鍵のかかった少女 」 と、いろいろ既視感が半端なくあるのは否めないものの、なんだかんだ言いながらも 【 記憶潜行 】 ものが、オモシロいことに間違いはねぇところだし、何かしらのかたちでノーラン兄弟が関わっていれば信頼度も高くありと、何かつけて期待している作品ってぇことで張り切って観に行ってきた。
 
 水没世界の設定は申し分なしも、その設定が果たして本編にそれほど反映されているか? と問われれば、その必要性はあまり感じられずもすれば、他人の記憶を見るにしても、当事者ふたりどちらかの記憶ならなば、そのどちらかの目線で見なけりゃあならないのにナゼか俯瞰、第三者の目線、つまり二人称のところを三人称で描かれているところに説明らしきものがあったけれども、当事者が目にするはずのないアングル、物まで描かれている都合の良さに違和感を覚える。
さらに言えば、せっかくの記憶ものなのだから都合よく改ざんされていたり、忘れたい記憶ゆえに心の底の底にしまい込まれて、記憶の扉をあけるのに的な演出があるワケでもないから、記憶である必然性をあまり感じなくも。
 他にも中国人マフィアとのやり合いの中で、水槽の魚の演出はなんだったんだ? 別にピラニアや電気ウナギってぇわけでもねぇのにやたらとこだわってた感じで意味不明。 とまぁ言えば次から次へとツッコミたくなるんだけれども、メイがニックを信じて、意図的に記憶を埋め込むあたりはヨカッタし、賛否はあるだろうけれどもニックが最後の選択も決してキライじゃあなかったりもする。
そんなこんなで、残念がやや上回ったってぇところかな…。
 
 主人公ニック役の ヒュー・ジャックマン は、戦争のトラウマを抱え、かつメイに固執して奔走してるわりにはこれといって悲壮感とか疲弊感が伝わってこなかったように思えなくも。 筋肉を見せびらかしたいのか知らんけれども、展開にそぐわないマッチョ感だったし、「 ウルヴァリン 」 にしか見えず。 ヒロインのレベッカ・ファーガソンよりもタンディ・ニュートンのほうが魅力的だった。

2021年9月19日 (日)

食人雪男

Yukio
 アメリカ
 ホラー
 監督 : ジャマール・バーデン
 出演 : カトリーナ・マットソン
      エイミー・ゴードン
      ロバート・バーリン
      ジャスティン・プリンス・モイ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 どんな病気も治すという薬草を探し求める探索チーム。 自生しているとされる雪山の奥地を目指す彼らだったが、山の守り神でもある雪男は、薬草を盗み出そうとする探索チームに怒りの矛先を向ける。
雪男は、彼らを一人ずつ捕らえては、喉を食い裂き、顔面を引きはがし、腕を引きちぎり、はらわたを引きずり出して惨殺していく。
探索チームの面々は、雪男に恐怖しながらも薬草を独り占めしようとした末に殺し合いを繰り広げる。
 
 9 月に入りそれなりに秋めいてはいるものの、まだまだ暑い日が続いているんで、それならば冬の雪山で、人を喰らう雪男が大暴れして、雪原を鮮血で赤く染める本作を観て涼でもとろうってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 不老不死の効能を持つ 「 雪男草 」 を調査 & 採取するため派遣された調査団が、雪男に襲われる云々とストーリーはとても解りやすいのだけれども、中盤で明かされる設定がもはや意味不明だし、ラストも捻りらしい捻りもないのに何か意味ありげに終わる…。
 それなりに緊迫感があるぽく撮ってはいるものの、如何せん俳優さんたちの演技がド大根、場面によって昼なのか? 暮れごろなのか? の時間経過が曖昧だったり、何より雪男のビジュアルがもうヒドくあるから緊迫感などは皆無も皆無。
襲った人間の顔を喰らったり、人体破壊をするも血は少量極まりなく、雪原が鮮血で染まることも雪男が血にまみれることも皆無。
「 ウルトラマン 」 の 「 ウー 」 の回のほうが遥かに映画向き。
 
 そんなこんなで、オモシロいか? と問われれば答えに窮するも、同好の士が集まってテンションが高まった勢いで撮ってしまった感じは決してキライじゃあない。 愛すべきおバカ映画だけに、期待を遥かに下回ってきたのが残念でならない。

2021年9月18日 (土)

アイダよ、何処へ?

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 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
 ドラマ & 戦争
 監督 : ヤスミラ・ジュバニッチ
 出演 : ヤスナ・ジュリチッチ
      イズディン・バイロヴィッチ
      ボリス・イサコヴィッチ
      ヨハン・ヘルデンベルグ
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争下の 1995 年、セルビア人勢力に占拠された東部の町スレブレニツァ。
国連平和維持軍の通訳として働くアイダは、勤務中に重要な情報を知る。
セルビア人勢力が基地にまで迫る中、アイダは助けを求めて押し寄せる同胞や家族を守ろうと奔走する。
 
ボスニア、コソボ、サラエボといった旧ユーゴスラビア解体における紛争ものは久々の気がする。
第 73 回アカデミー賞の国際長編映画賞ノミネートとされたとあっては期待が持てるってぇことで張り切って観に行ってきた。
 
 旧ユーゴスラビア解体に伴う紛争というとコソボ紛争が真っ先に頭に浮かぶけれども、本作を観るまでセルビア人によるボスニアのイスラム系男性の大粛清が行われ、戦後ヨーロッパ史上最悪の出来事と言われる 「 スレブレニツァ・ジェノサイド 」 があったことをすっかり忘れていた… あれだけ派手にドンパチやり合い、連日報道されてたのに 20 年も経つとこうも記憶が薄れてしまうもんかね。
 それはそれとして、国連軍の通訳として働くアイダは立場を利用してセルビア軍から家族全員を国連軍の庇護下においてもらおうと奔走する姿は真に迫っていて助けてやりたくあるけれども、なれど国連軍という立場で見れば、あの場合一部の人を優遇すれば残りの何万人も同じように扱わねばならなくなり、すると規律は乱れ、果ては暴動が起きる危険性があるゆえ、どういう結果を迎えるのか分かっていても突き放さざるを得ないワケだから一時の感情だけで批判めいたことは言えず… あの状況下で何が正しい判断だったのかは解ることはないことと思う。 ただ、ジェノサイドを防げなかった結果だけを見れば国連軍の足並みの悪さ、限界は解った気がする。
 
 スレブレニツァ・ジェノサイドに限らず、アメリカ同時多発テロ事件やアイルランドの IRA のテロ活動が鳴りを潜め始めたのも同じ 20 年前なんじゃあねぇかな。 幸いなことに民族、宗教間での紛争に縁遠くある日本人的考えではあるけれども、今になって思うと一連の出来事っていったい何だったのだろうか? と思わざるを得ない。

2021年9月11日 (土)

浜の朝日の嘘つきどもと

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 日本
 ドラマ & コメディ
 監督 : タナダユキ
 出演 : 高畑充希
      大久保佳代子
      柳家喬太郎
      甲本雅裕
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 福島県南相馬市の映画館 「 朝日座 」 は 100 年近くにわたり地元住民に親しまれてきたが、時代の流れに逆らえず、支配人の森田保造は閉館を決意する。 森田が一斗缶に入れた 35 ミリフィルムに火を付けると、突然現れた若い女性が水をかけて消火する。
茂木莉子と名乗る彼女は、経営難の朝日座を再建するため東京からやってきたと話す。
地域に根差した名画座を守ろうとする莉子と、やむなく閉館を決めた森田の思いが、朝日座の存続をめぐって交錯する。
 
 取り立てて期待させるものを感じないし、予告であざとさを狙ったのか? 高畑充希の乱暴なものの言い方が心なしか気に入らなくもあるから、別にムリして観ることもないのだけれども、周りを見渡しても観たい作品が見当たらない。
まぁ雰囲気だけは良さげではあるんで、取りあえず観て、結果オモシロかった、ホッコリできればもっけの幸いってぇことで、張り切って観に行ってきた。
 
 後から知ったのだけれども何でももともと TV ドラマで放映されていたものの劇場版とのこと。 ドラマは未見も前日譚であったことで支障はなく、単発の作品として十分以上に観ることができた。
 それはそれとして、潰れかっかた映画館を再生させる云々が主体かと思いきや、ここはあくまで媒体でしかなく、主人公の莉子 or あさひ の恩師の半生譚と莉子との交流譚を軸に、その莉子の人生、舞台となる東日本大震災に見舞われた福島県南相馬市の再生劇といった感じで、思い描いていたものと違ったけれども、莉子の乱暴なものの言い方の理由もそれとなく窺い知ることもできれば、フラットな展開のワリにはテンポも良くホッコリできてと、当初本作に対して抱いていた感情を大幅に上方修正といったところ。
難をいえば、好きな終わり方ではあるものの、ファンタジーに寄り過ぎてしまってせっかくの現実味、ビターな余韻を損なってしまったかなぁと思わなくも。
 イイ加減さを気取りながらも、その実きちんと周りを見ていて、それとなく人の懐に入ってきて寄り添ってくれる田中先生の人柄がとてもヨカッタし、 2 本立ての組み合わせの愛称を全日と新日に例える行は最高、オレ的には新日の方が好きだけどね。
涙ではなく笑って送ってくれの最期の言葉もその人柄の成せるところってぇやつだろう。
 
 主人公の高畑充希、陰にこもった感じの高校生時代のエピまでは好印象だったけれども、それい以降はこれといってピんと来ず。
田中先生役の大久保さんの自然体たるやで、この役は大久保さん以外に考えられないと思わされるくらい天晴れ。
また、映画館オーナー森田役の柳家喬太郎もさすが噺家だけあり、売れてる芸人さんは何をやっても巧いなぁと感心。
そんなこんなで機会があれば、 TV ドラマ版も観てみようかと。

 

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