2019年1月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

カテゴリー「劇場公開」の記事

2019年1月19日 (土)

マイル22

MILE 22
 アメリカ
 アクション&サスペンス
 監督:ピーター・バーグ
 出演:マーク・ウォールバーグ
     ローレン・コーハン
     イコ・ウワイス
     ジョン・マルコヴィッチ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 人類にとって非常に危険な物質が何者かに奪われる。その行方を知るリー・ノアーが重要参考人としてインドネシアのアメリカ大使館に保護される。彼の命を狙って多数の武装勢力が迫っていることがわかり、国外に脱出させるため、ジェームズ・シルバ率いるCIAの機密特殊部隊が、大使館から空港までの22マイルを護衛することになる。

 わずかな距離を重要人物を護送にどことなくブルース・ウィリスの「16ブロック」を思わなくもだけど、ご贔屓のマーク・ウォールバーグ主演だし、「ザ・レイド」以降「SW」シリーズに出演したりとハリウッドでも活躍するようになったイコ・ウワイスが共演となれば間違いなくアクションに大きく期待できようというもの。
そんなワケで銃撃戦とイコ・ウワイスの肉弾戦を楽しむべく張り切って観に行ってきた。

 子供のころから類まれなる天才の現場リーダーのシルバだけどその片鱗すら感じないし、劇中で言われていたように双極性障害&躁鬱病の気のあるおしゃべりクソ野郎にしか見えず…だけど言ってることがいちいち正論だから余計に腹立たしい。
また敵方の行動の動機づけも復讐は復讐でそれでOKとしても、それを理由(これだけじゃないけど)にムダに死体の山を築いてムダに事を大きくし過ぎた感ありと、イイ素材が揃っているのにそれ活かすどころか料理しきれてない(ノアの指の動きなんか伏線ありかと)印象が半端なく強い…かと言って決してつまらないワケでもなく…。
 トヨタからBMWだかメルセデスそして日産に乗り換え、対峙した敵の車種はアウディとまるで国際モーターショーの装い。
ハリウッド映画にもかかわらずGMやフォードではなく日本&ドイツ車というあたりに少なからず好感がもてる。
インドネシアの伝統武術シラットの使い手であるイコ・ウワイスが出演していることもあってちゃんとその辺の見せ場もあったし、取り分けて雑居ビル内での一戦の演出はイコ・ウワイスの出世作となった「ザ・レイド」を意識していた感があって見応えあり。
このようにひとつひとつはイイんだけど総体的にみると「…。」でホントもったいない作品だったなぁと。

 ご贔屓のマーク・ウォールバーグはやや期待ハズレだったけれども、敵か味方か?のイコ・ウワイスは灰色の立ち位置だったことで思った以上に存在感が際立ったんじゃねぇかなと。
ビショップがいたりとチェスに見立てていて常にCIA側が王手をかけている状態は確かに詰将棋といった趣。ただ最後の最後に躱されてを見ると続編作る気なん?

2019年1月13日 (日)

マチルド、翼を広げ

Demain
 フランス
 ドラマ&ファンタジー
 監督:ノエミ・ルボフスキー
 出演:リュス・ロドリゲス
     ノエミ・ルボフスキー
     マチュー・アマルリック
     アナイス・ドゥムースティエ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 9歳のマチルドはパリで母と一緒に暮らし、母は変わり者だったがマチルドは母のことが大好きだった。
ある日、母がフクロウを連れてくる。そのフクロウはマチルドとだけ会話ができ、孤独なマチルドにとってフクロウは心のよりどころになる。

 映画に限らず小説でもアニメでも【日常のなかの非日常】のホッコリ系(そこに少しのポップ感や感動があるとさらに良し)の作品が何よりも大好物なこともあるし、何でも本国フランスではヒットしたの付加価値もあって以前から期待していた作品だったんで張り切って観に行ってきた。

 暗くなりがちな題材をファンタジックな空気とコミカルさで明るく前向きに描きつつ、ちゃんとシリアスさも失っておらずと緩急が巧くあったうえに詩的な表現も多く全編にわたって温かい空気で満たされ、終盤での心が遠くに行きがちなママが下した決断にマチルドへの深い愛が窺い知れて感動と思った以上に繊細な作りで見応えある作品だった。
 フクロウが飛行する姿をはじめ、ミレーの「オフィーリア」を模した映像は物語り以上に詩的で素晴らしかったし、教材の人体骨格標本のオスカル救出の大冒険のエピもシュールで微笑ましい。またファッションや部屋の内装のポップさ(最も敬愛する映画監督さんのひとりであるジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」ぽさが)なんかはさすがお洒落フランスといった感じでとても楽しく観ることができた。

 成長急いたマチルド演じたアナイス・ドゥムースティエはお初にお目にかかる女優さんかと思いきや「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」で主人公の声を担当していたらしい。
まぁ前作は声だけなのだからお初っちゃ~お初だわな。

2019年1月 6日 (日)

迫り来る嵐

Sem
 中国
 サスペンス&ドラマ&犯罪
 監督:ドン・ユエ
 出演:ドアン・イーホン
     ジャン・イーイェン
     トゥ・ユアン
     チェン・ウェイ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 1997年の中国。小さな町の製鋼所で警備員をしているユィは、若い女性ばかり狙われている殺人事件に興味を抱く。
警部から捜査情報を手に入れたユィは犯人を自分で捕まえようと意気込み捜査にのめり込んでいく。
ある日、ユィは犠牲者が恋人のイェンズに似ていることを知る。

 例年、新年早々から目立った大きな作品の公開がないこともあってか、その年の映画初めは単館系の劇場に足を運ぶことが多く、どういうワケかここ数年は取り分けて中国語圏の作品が続いている。
上記を踏まえて本作は去年だかの東京国際映画祭で主演男優賞等を受賞し何かと評価も高くある中国語圏のサスペンス作品となれば、今シーズンの一発目に相応しいということで張り切って観に行ってきた。

 物語りの雰囲気は「殺人の追憶」、中国の片田舎の隠滅とした空気感は「薄氷の殺人」と正に宣伝文句の言う通りで、信じる正義と自身に対する過大評価から殺人事件の捜査にのめり込んでいき、暴走そして強い思い込みから狂気へと突き進んで行ってしまった主人公ユィの複雑な心理描写が90年代後半に経済発展にともない変革期を迎えた中国と取り残されていく人たちの姿とリンクするものがあって思いのほかリアルでオモシロくあった。
 終始降りしきる雨、それによる隠滅とした空気感は「セブン」を製鉄所&操車場での追走劇は「ブレックレイン」を想起させられ、またサスペンスも奇を衒わず直球の真っ向勝負で松本清張作品の重厚さと静謐さをといろいろ感じられたあたりも高印象。
ただ謎というか…理解できなかったのがユィが勤めていた90年代の工場での出来事をその10年後に出会った工場の管理人のじぃさんに全否定されたところで「コレどういうこと?」とここだけいまいち掴み切れずにいる…妄想癖あり?
なんにせよ今シーズン初打席で本塁打…う~ん、三塁打で上々のすべり出し♪

 ユィ役のドアン・イーホンがすっげぇイイ! ルックスは当たり前なんだけど何だろう全体の雰囲気もイイしでとにかく強く惹かれるものがある。おそらくこれから人気でる俳優さんであろうからドン・ユエ監督ともども気に留めておこうと思う。
ジャン・イーイェンも美人さんだった以上に細いワリには巨乳だったあたりに目が行ってしまった…なんだか最近こういうところしか見てないような気がする…。

2018年12月31日 (月)

18年 劇場公開映画 個人的ベスト10

今年も例年の如く18年に劇場で観た作品の中から強く印象に残った10本と、期待したけど全力で裏切られた作品1~2本をゲロって、本年度の記事投稿を終えようと思う。
ってぇことで張り切って行ってみよッ!

【ベスト10 (*゚∀゚)=3 ムッハー 】

 1)、「A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー
 2)、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
 3)、「判決、ふたつの希望
 4)、「死の谷間
 5)、「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~
 6)、「ワンダーストラック
 7)、「メアリーの総て
 8)、「search / サーチ
 9)、「ちはやふる -結び-
10)、「ルームロンダリング


 正直なところまったくノーマークだった「A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー」がゴール直前で「聖なる鹿殺し~」を差し切って今シーズンのベスト1に。2~4位はほぼ僅差での争いとなり、去年同様に「夏目友人帳」「ちはやふる」とコミックス系の邦画が大健闘。次点としては「ウイスキーと2人の花嫁」「ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男」「スターリンの葬送狂騒曲」とそれぞれ見せ方の違う史実系の作品群と「テルマ」「孤狼の血」といったところ。

 期待をさせておいてそれを見事以上に裏切った作品に対しての【ドギャ━━(゚ロ゚;)━━ン!! 賞】と印象の強かった俳優さん&監督さん賞を発表。

【ドギャ━━(゚ロ゚;)━━ン!! 賞】 : 「キングスマン : ゴールデン・サークル
【監督賞】 : ウディ・アレン 「女と男の観覧車
【男優賞】 : ケイシー・アフレック 「A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー」
【女優賞】 : ミリセント・シモンズ 「ワンダーストラック」「クワイエット・プレイス

 「キックアス2」の時もそうだったんだけど、マシュー・ヴォーン監督って1作目は最高にオモシロいのに2作目となるとかなりグッダグダで正直なところつまらない…ということで【ドギャ━━(゚ロ゚;)━━ン!! 賞】は「キングスマン」に決定。
安定のシニカルな大人のコメディで楽しませてもらったご贔屓のウディ・アレン翁にはまだまだガンバッテもらいたい。
男優賞は貴乃花にあげてもヨカッタのだけれどもここは表情は見えなくとも表情を感じさせたケイシー・アフレックに。
2作品で耳の不自由な役を演じ印象を残した実際に耳の不自由なミリセント・シモンズの存在感は今年一番ということで。

 というワケで今年一年、仲良くしてもらった皆さんホントに感謝×10であると同時に出来れば来年も仲良くしてもらえると幸いなんで来年もヨロシクお願いしやす♪

2018年12月29日 (土)

家へ帰ろう

El_ultimo_traje
 スペイン&アルゼンチン
 ドラマ
 監督:パブロ・ソラルス
 出演:ミゲル・アンヘル・ソラ
     アンヘラ・モリーナ
     オルガ・ボラズ
     マルティン・ピロヤンスキー


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 アルゼンチンのブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立屋のアブラハムは70年以上会っていないポーランドの親友に最後に仕立てたスーツを渡そうと思い立つ。その親友はユダヤ人のアブラハムがホロコーストから逃れた際に助けてくれた命の恩人だった。
アブラハムはマドリード、パリを経由して目的地に向かうが道中さまざまな困難が襲う。

 背景にホロコースト、そしてロードムービーとふたつの好みのジャンルということもあって興味を惹かれるところだけれども、謳い文句の【観客賞総ナメ】もその大半が「ユダヤ人」の冠が付いた映画祭でのことと決め手には欠けるのが気になるところ。
何にせよハズすワケにはいかない今シーズンの映画〆なんで、ヘタに冒険するよりも安牌の本作をということで張り切って観に行ってきた。

 若かりし頃経験したホロコーストのエピを随所で語りながら70年前の約束を果たすためアルゼンチンから故郷のポーランドまでじぃさんによるロードムービーで、先日観た「ポップ・アイ」同様に旅の途中で出会う人たちがみなクセのある善人で、じぃさんの偏屈とのやり取りはコミカルでホロコーストのエピがあるワリには思いのほか悲壮感はなく微笑ましくオモシロい。
 憎しみからドイツの地に足を踏み入れたくない想いでいっぱいのじいさんに何かと手助けしたドイツ人女性の親切さに触れたことで、ドイツを国で考えれば時を経ようとも憎しみは消えないけれど、個で触れ合えば全員がホロコーストのような者ばかりではなくと頑なな想いが少しづつ氷解していく様は観ていて心地がヨカッタ。
また、じいさんが事あるごとに発する「聞いた話ではなく、自分の目で見てきたこと」のセリフの重みは半端なく感慨深い。
また仕立て屋ということもあってかスーツはもちろんとして青い靴との90歳近いじぃさんとは思えぬコーディネートはブエノスアイレスの伊達男といった趣ですげぇオシャレ。

 18年シーズンの劇場鑑賞は本作をもって打ち止め。 
足を運んだ劇場がシネスイッチ銀座だったんだけど去年の〆の作品となった「ヒトラーに屈しなかった国王」もシネスイッチ銀座で2年連続と相成った。
批判になるけど、オシャレ単館系の先駆け的存在だったシネスイッチ銀座も30年近くも経つといろいろとボロくなってくるもので。
別にボロくても不便はないからイイけど、トイレだけはなんか薄汚いし薄っすらニオうし2つある個室も未だに和式って…。

 まぁ、そんなワケで来年も素晴らしい映画とキレイなトイレに行き当たるとイイですな♪

2018年12月22日 (土)

シシリアン・ゴースト・ストーリー

Sicilian_ghost_story
 イタリア&フランス&スイス
 ドラマ&犯罪&ファンタジー
 監督:ファビオ・グラッサドニア
 出演:ユリア・イェドリコフスカ
     ガエターノ・フェルナンデス
     ヴィンチェンツォ・アマート
     サビーネ・ティモテオ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 シチリアの小さな村にある森のはずれで、3歳の少年ジュゼッペが突然、姿を消した。
思いを寄せていた同級生のルナは謎だらけの失踪を受け入れられず、なぜか周囲の大人たちが口をつぐむなか、懸命に彼の行方と失踪事件の真相を追う。そして不思議な湖にある入り口から彼を飲み込んでしまった闇の世界へと下ってゆく。

 「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」、「A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー」と来て本作とタイトルに「ゴースト・ストーリー」と銘打つ作品が今シーズンだけで3本も公開って…世界的にブームなのか?
それはそれとして、本作は90年代にイタリアで起きた誘拐事件をベースに、ギレルモ・デル・トロ監督の傑作「パンズ・ラビリンス」の趣の謳い文句に期するところが大きくあるし、また同じ「ゴースト・ストーリー」でもイギリス&アメリカにイタリアとそれぞれお国柄もアプローチも違うから、その辺の違いを楽しめればということで張り切って観に行ってきた。

 不穏な雰囲気に音楽や水や夢の映像は美しく目を惹かれたし、残酷な結末を迎えた実際に起きた誘拐事件という現実と少年を助けるべく行動を起こす少女の空想が入り混じった寓話的な物語も間違いなく好きなんだけれども気持ち「?」先行で解ったような解らないようなで、夢と現実の境界が曖昧で眠りの浅い時の悪夢のような感覚に…まぁ悪くはねぇとは思うけどアート気質の難解な作品はいまいち肌に合わねぇかなぁと…。
 やたらと目に付く青色、衰弱していく自分を俯瞰する自分をはじめ懐中電灯でのモールス信号、そして陰と陽の象徴であるフクロウなんかは好きな演出なこともあってこの辺は好感。
また、終盤で男たちが湖に生ゴミのようなものを投棄するエピで、当初は「何だこのシーンは?」だったのだけれどもクレジット時の事の顛末の一文に「そう言うことだったのか…」と驚愕。そう思うと森の中でワンコがリュックサックの中身をブチまけたシーンと悟空のフィギュアがバラバラになっていたあたりはその辺をは暗示していたのかなぁとも。

 ジュゼッペ役のガエターノ・フェルナンデスだけど、どことなく元スペイン代表で現サガン鳥栖に所属のフェルナンド・トーレスに似てなくもないだけにハリウッドあたりで大きな役のひとつでも掴めば人気でそうな気がする。
 そんなこんなで3本の英&米&伊と3本の「ゴースト・ストーリー」観たワケで、軍配は12/31の「18年の個人的ベスト10」を見てちょうだい。

2018年12月16日 (日)

メアリーの総て

Mary_shelley
 イギリス&ルクセンブルク&アメリカ
 ドラマ&伝記
 監督:ハイファ・アル=マンスール
 出演:エル・ファニング
     ダグラス・ブース
     ベル・パウリー
     トム・スターリッジ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 19世紀のイギリス。小説家になりたいメアリーは異端の天才と称される詩人のパーシー・シェリーと出会う。
彼らは互いの才能に惹かれ駆け落ちするが、メアリーに数々の悲劇が訪れる。
ある日彼女は滞在していた詩人バイロン卿の別荘で怪奇談を披露し合おうと持ち掛けられる。

 フランケンシュタインは狼男についで好きな西洋モンスター。いつかは原作を読まねばと思いながらもダラダラと未読となりようやく手にして読んだのが2~3年前のこと。その時はじめて原作者がメアリー・シェリーという若い女性であることを知った。
そんな経緯もあってそのメアリー・シェリーが後に最初のSF小説とする評されるようになる「フランケンシュタイン」をどのように産み出したのか?を描いた本作に興味を惹かれ張り切って観に行ってきた。

 読了したときは人種や身体的な差別をフランケンシュタインを媒体に表現したものの印象を受けたのだけれども基本は19世紀のイギリスにおける女性の社会的立場の弱さへの抵抗や夫の無責任さや裏切りへのフラストレーションといった自身のうちに巣食う負の感情が徐々に成長してフランケンシュタインという怪物の姿に結晶化したものであったことを改めて知ることができ、この辺は先述の「来る」も「フランケンシュタイン」に通ずるものありだなぁと。
元から才能があったことはもちろんとして、18歳にして数々の辛酸甘苦を舐める思いをしてきた人だからこそ、こういうスゴイ文章を書けたのであろうし、この辺を知ったうえで再読すると前回とはまた違った感想を抱るのではなかろうかと。
 女性が弱い立場にあった当時の社会で無神論者でアナキズムの先駆者である父とフェミニズムの創始者と称される母を持つだけにメアリー・シェリーが現実的で地に足の着いた芯の強い女性であったことが窺い知れる。恋愛に歳の差も主義も思想も関係ないのだけれど、詩人ということもあってか放蕩と借金を繰り返し現実逃避を自由恋愛主義に置き換える無責任で理想主義な男とよく結婚したなぁと思うばかり。不幸な結婚生活の果てに繊細さのうらに強さが隠されている傑作を産んだことを思うと何となく金子みすゞと重なるところがなくも。

 エル・ファニングは欧州系からかなり小規模の作品にまで出演とまだ21歳とメアリー・シェリー同様にまだ若いにもかかわらずかなりの経験値を積んでてマジで感心させられる。最初ぽ~んと飛び出したネェちゃんに差をつけた感じだな。
なんにせよこのまま地道に着実にキャリアを積んで今以上にイイ女優さんになることを期待。
 サウジアラビアで初の女性映画監督となったハイファ・アル=マンスール監督。自身の「少女は自転車にのって」同様に女性の人権と同じテーマということもあって本作に持ってこいの人選かもしれない。

2018年12月15日 (土)

来る

Kuru
 日本
 ホラー
 監督:中島哲也
 出演:岡田准一
     黒木華
     妻夫木聡
     松たか子


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 幸せな新婚生活を送る田原秀樹は、勤務先に自分を訪ねて来客があったと聞かされる。
取り次いだ後輩によると「チサさんの件で」と話していたというが、それはこれから生まれてくる娘の名前で、自分と妻の香奈しか知らないはずだった。そして訪問者と応対した後輩が亡くなってしまう。
2年後、秀樹の周囲でミステリアスな出来事が起こり始め…。

 「リング」「呪怨」とことごとく玉砕されてきた過去があるし、何よりもビデオやら携帯電話やらと最近の悪霊たちはナゼかデジタルの中に存在したがるアホみたいな風潮に解せないところも大きいこともあって「リング」以降のJホラーに関しては全くと言って信頼を置いていない。だもんで本作に関しても期するところは皆無なのだけれど、これといって観たい作品が見当たらなかったんで半ば冷やかしついでに観に行ってきた。

 人を攫うこと以外コレといった情報がなくそれ以上詳しく語ることはなかったけれども前半の虚飾空っぽの秀樹とフラストレーションの塊で陰鬱な香奈の一見普通に見える夫妻のエピはとても不快で、弱さや悪意、恨みに過ちによる罪に満ちたこのふたりのほうがよっぽど化け物じみている。貞子ちゃんや加耶子ちゃんの個人的な怨みつらみではなく人の悪意が呼び寄せるといった趣のアプローチや、このふたりに関わるゲスを気取る野崎と体中タトゥーだらけのキャバ嬢霊能力者の真琴の見た目とは裏腹の隠された善性とふた組のギャップが目を惹く。
 後半になると大除霊バトルが始まり前半のドラマ性のある物語から一転してエンタメものに…これが前半のドラマ以上にオモシロい! 神、仏、密教、沖縄のユタにイタコといった口寄せ&シャーマンから韓国の祓いチームに科学的除霊チームが一堂に会しての大祈祷&除霊パーティーは圧巻のひとことで血が滾った。取り分けて新幹線でやって来た神道チームの祈祷師の面々がキケンを察知して散会するシーンとJK巫女の「来るよ!」にシビれた。

 安定の岡田くんに妻夫木くんお得意の軽い男っぷり、黒木華の秘めた狂気、小松菜奈の見た目とは逆の闘志と責任感、歴戦の兵然とした松たか子と柴田理恵の異様さとカッコよさと個人的にキャスティングとキャラは最高だった。
そんなワケで当初は冷やかし半分と悪意に満ちていたぶんとてもオモシロく感じられ得した気分♪

2018年12月 8日 (土)

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!

Sergio_and_sergei
 スペイン&キューバ
 コメディ&ドラマ
 監督:エルネスト・ダラナス・セラーノ
 出演:トマス・カオ
     エクトル・ノアス
     ロン・パールマン
     ユリエット・クルス


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
  東西冷戦時代の末期である1991年を舞台にした本作。キューバで暮らす大学教授のセルジオはある日、宇宙ステーションに滞在中のソ連宇宙飛行士セルゲイからの無線を受信する。
激動の時代ゆえの不安を抱える二人は交信を重ねて親友となるがソ連が崩壊したことで事態は急変。セルゲイは帰還の無期限延期を宣告され、セルジオは親友を救うために一大プロジェクトを思い付く…。

 「グッバイ・レーニン」や「ターミナル」のように長い昏睡から覚めたとき、国を離れているときに国や体制が崩壊してたりしてしまったりし、その煽りをくらっての悲喜こもごもの共産体制が背景にあるコメディが好物。
本作もそんな共産体制崩壊をモチーフにしたものでオマケに世界の映画祭で高評価を得ているらしいし、雰囲気も良さげで気になっていた作品だったんで張り切って観に行ってきた。

 ひとりのキューバのアマチュア無線家が、ソ連崩壊の煽りくらって宇宙にひとり取り残された宇宙飛行士を救うべく一大ミッション敢行のひと騒動ふた騒動の顛末に笑わせてもらえるのかと思いきや、セルゲイとセルジオの国や立場、成層圏を越えて無線を通じて結んでいく交友譚で期待していたものと違ったけれど、終始ほのぼのと陽気で時にファンタジックなもので、舞台となるキューバのラテン気質のお伽話といった感じで思いのほかホッコリさせられる作品だった。
 植物の水やり、コカ・コーラとベタ極まりないんだけれども宇宙ステーション内での【水】の演出がオモシロく、取り分けて涙がいくつもの玉になって宙を漂うあたりはとても印象的だったし、SNSのハイテク通信機器が当たり前の今の時代に【無線】を持ってきたあたりも何かイイ。また、ほのぼの&ファンタジックなものばかりではなく共産体制崩壊、それによる経済の悪化と政変に翻弄された当時のロシア&キューバの姿も描かれていて見応えがあった。
 総じてイイ映画ではあったけれど、欲を言えば淡々とし過ぎてたんで何かしら山場が欲しくあったのとセルジオの教え子のエピがいまいちよく解らずとなってしまったのが残念。

 アポロ計画陰謀論者でセルジオの無線仲間のピーター役のロン・パールマンだけど、かなり肉がついたようで以前にも増して大型霊長類化してて、ボスとしてとして群れの中にいてもおかしくない貫禄と存在感。
出番は少ないにせよ、ご贔屓の俳優さんのひとりであるから一目見られたことはファンとしてウレシイ限り。

2018年12月 2日 (日)

マダムのおかしな晩餐会

Madame
 フランス
 コメディ&ドラマ
 監督:アマンダ・ステール
 出演:トニ・コレット
     ハーヴェイ・カイテル
     ロッシ・デ・パルマ
     マイケル・スマイリー
     

                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 パリに引っ越してきた裕福なアメリカ人夫婦のボブとアンは、セレブの友人たちを招いて晩餐会を開こうとするが、招待客の数が不吉な13人になる。急きょスペイン人のメイドのマリアを神秘的な女性に仕立て上げ晩餐会に同席させるが、彼女が酒を飲み過ぎて下劣なジョークを言ってしまう。逆にこれが大ウケしてダンディーな英国紳士から求愛されてしまい、今更正体を明かせないアンとマリアたちのから騒ぎの行方は…?

 スケジュールを組むにあたってたまたま本作が後に来ただけのことなんだけれど、先に観た「へレディタリー / 継承」が玉砕とまではいかないまでもそれに近い結果に終わり心身共にやや疲労気味…。
何にせよフランスのオシャレな大人のコメディでテンションの上げ直しの期待を込めつつ、「へレディタリー」と併せてトニ・コレット出演作2本立てということで張り切って観に行ってきた。

 タイトルにもあるし劇中でも参加者の人数が13人というのは不吉どうのこうのと言っていたからてっきり【晩餐会】での鞘当てや鍔迫り合いの悲喜こもごもの会話劇だと思いきや、集まった中年層によるロマンスを交えた階級社会を皮肉った実にフランスらしいもので、ビタースイートな展開もオモシロくはあったしオチも好きなんだけれど取り立てて良くも悪くもなしといったところで、敬愛する映画監督のひとりであるウディ・アレンならもっとスパイスを利かせてもっと美味しく料理しただろうなぁと。
 とは言うものの主役のトニ・コレットを大きく食っていた中年メイドのマリア役のロッシ・デ・パルマの階級なんてクソ喰らえのロマンス譚に本作を観る何日か前にBSの歌番組で渡辺美里が「恋したっていいじゃない」を歌っているのを目にした効果も手伝って無条件で応援していたし、階級意識と見た目から下に見ていたマリアの恋路や充足した姿に嫉妬して何かと横やりを入れてくる女主人アン役のトニ・コレットのゲスっぷりは先述の「へレディタリー」とはまた違った不快な役どころで、個性的な2人のぶつかり合いは見応えがある。

 マリアが無理やり参加させられたセレブ達のパーティーの席で披露したおっぱいとおちんにはそれぞれ3種類あってのお下劣ジョークはオモシロいというよりも「なるほどッ!」納得させられる。
個人的見解としておっぱいのジョークに関して言わせてもらうと第2段階が好きです。

より以前の記事一覧