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2020年11月28日 (土)

ホモ・サピエンスの涙

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 スウェーデン & ドイツ & ノルウェー
 ドラマ & コメディ
 監督 : ロイ・アンダーソン
 出演 : マッティン・サーネル
      タティアーナ・デローナイ
      アンデシュ・ヘルストルム
      イエッシカ・ロウトハンデル
 
【 物語 】     ( シネマトゥデイ )
 数年ぶりに再会した友人に無視されたのを気にする男は、再びその友人に出くわすも無視される。
銀行を信用せずに貯めた金をベッドとマットレスの間に隠すパジャマ姿の男は、盗まれていないか気になってしまう。
理髪店の前に置いた植木に霧吹きをかける少女を、隣の本屋から目で追う青年がいた。
終わりの見えない一本道で車が故障してしまった男は、助けを呼ぼうにも周囲に誰もおらず途方に暮れる。
 
 ロイ・アンダーソン監督の名前と、北欧らしく余計なものを一切排した無味乾燥な背景、そしてアキ・カウリスマキ監督同様の独特なテンポのコメディの作りであることは、それとなく知ってはいてこの手の作風が大好物だから気に止めてはいたけれども、残念ながら今まで観たいと思わされるものがなかったが故に氏の作品は観たことはなし…。
そんな経緯のなか、本作の予告トレーラーを観て独特の映像美に強烈に惹かれるものがあったんで、これはロイ・アンダーソン監督作品に触れるイイ機会だというで、張り切って観に行ってきた。
 
 全体を通して観ると何を言いたくあるのかは解りにくい…解りにくいけれども、登場した人たちの人生の数分間を切り取った 33 の人間観察のエピソード ひとつひとつに喜怒哀楽をはじめとする、諦観や執着、嫉妬、迷いに希望といろいろな感情を、極めてオフビートなテンポで、時に可笑しく、時に悲しく儚く描いていて、そのどれも共感ができるうえに、とても心地が良くやさしい気持ちになれる。 これといったものは正直なところ無いけれど傑作であることに間違いはないし、70 分ちょいという短い尺もイイ。
 海外の映画評論で 「 まるでシャガールの絵を観ているよう 」 と評していたようにどのシーンも 【 絵画的 】 の美しさが素晴しい。
これはオレの気のせいかも知れないけれども、セットなんかは意図的に角度、遠近に歪みを持たせているというか…何となく奥が高く、手前は低くと勾配をつけて空間をディフォルメ化しているようにように見受けられ、3 次元でありながら 2 次元の映像、まさに絵画を観ているような感覚。 そういう目で観ているからか? シーンによってはその歪みの効果で平衡感覚がおかしくなるところも 。
 
 難があるとすれば、シャガールの 「 街の上で 」 の他にもイリヤ・レーピン ( 「 ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像 」 ) といったモチーフになった有名絵画が多々あったようなのなのだけれども、その辺の知識が足りていなかったことで、元ネタ探しのオモシロさを半分以上も楽しめなかったこと。 それでも、オレ的にこれじゃないなかなと感じたのは大好きなエドワード・ホッパーや、構図は全然違うけれどもどことなくルノアールの 「 フォリー・ベルジェールのバー 」 なんかを感じられる構図を見つけられたりで、絵画的映像の美しさを観に行くだけでも劇場に足を運ぶ価値は大ありだと思う。

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