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2018年12月16日 (日)

メアリーの総て

Mary_shelley
 イギリス&ルクセンブルク&アメリカ
 ドラマ&伝記
 監督:ハイファ・アル=マンスール
 出演:エル・ファニング
     ダグラス・ブース
     ベル・パウリー
     トム・スターリッジ


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 19世紀のイギリス。小説家になりたいメアリーは異端の天才と称される詩人のパーシー・シェリーと出会う。
彼らは互いの才能に惹かれ駆け落ちするが、メアリーに数々の悲劇が訪れる。
ある日彼女は滞在していた詩人バイロン卿の別荘で怪奇談を披露し合おうと持ち掛けられる。

 フランケンシュタインは狼男についで好きな西洋モンスター。いつかは原作を読まねばと思いながらもダラダラと未読となりようやく手にして読んだのが2~3年前のこと。その時はじめて原作者がメアリー・シェリーという若い女性であることを知った。
そんな経緯もあってそのメアリー・シェリーが後に最初のSF小説とする評されるようになる「フランケンシュタイン」をどのように産み出したのか?を描いた本作に興味を惹かれ張り切って観に行ってきた。

 読了したときは人種や身体的な差別をフランケンシュタインを媒体に表現したものの印象を受けたのだけれども基本は19世紀のイギリスにおける女性の社会的立場の弱さへの抵抗や夫の無責任さや裏切りへのフラストレーションといった自身のうちに巣食う負の感情が徐々に成長してフランケンシュタインという怪物の姿に結晶化したものであったことを改めて知ることができ、この辺は先述の「来る」も「フランケンシュタイン」に通ずるものありだなぁと。
元から才能があったことはもちろんとして、18歳にして数々の辛酸甘苦を舐める思いをしてきた人だからこそ、こういうスゴイ文章を書けたのであろうし、この辺を知ったうえで再読すると前回とはまた違った感想を抱るのではなかろうかと。
 女性が弱い立場にあった当時の社会で無神論者でアナキズムの先駆者である父とフェミニズムの創始者と称される母を持つだけにメアリー・シェリーが現実的で地に足の着いた芯の強い女性であったことが窺い知れる。恋愛に歳の差も主義も思想も関係ないのだけれど、詩人ということもあってか放蕩と借金を繰り返し現実逃避を自由恋愛主義に置き換える無責任で理想主義な男とよく結婚したなぁと思うばかり。不幸な結婚生活の果てに繊細さのうらに強さが隠されている傑作を産んだことを思うと何となく金子みすゞと重なるところがなくも。

 エル・ファニングは欧州系からかなり小規模の作品にまで出演とまだ21歳とメアリー・シェリー同様にまだ若いにもかかわらずかなりの経験値を積んでてマジで感心させられる。最初ぽ~んと飛び出したネェちゃんに差をつけた感じだな。
なんにせよこのまま地道に着実にキャリアを積んで今以上にイイ女優さんになることを期待。
 サウジアラビアで初の女性映画監督となったハイファ・アル=マンスール監督。自身の「少女は自転車にのって」同様に女性の人権と同じテーマということもあって本作に持ってこいの人選かもしれない。

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