殺人者の記憶法
韓国
サスペンス&犯罪
監督:ウォン・シニョン
出演:ソル・ギョング
キム・ナムギル
ソリョン
オ・ダルス
【物語】 (シネマトゥデイ)
かつて連続殺人を犯し、アルツハイマー病を患うビョンスは、接触事故に遭った後にテジュという男と出会う。
その異様な雰囲気から彼が殺人鬼であると直感したビョンスは、警察に通報しようとする。
だがテジュが警察の人間であったことから誰もまともに取り合おうとしない。たった一人でテジュの凶行を食い止めようとするが、アルツハイマー病による記憶の喪失に苦しめられるビョンス。そして新たな殺人事件が発生し…。
例年にないくらいにサスペンス作品に触れる機会に恵まれなかった昨シーズンだったけれども、その反動なのか?今年はここまで本作を含めて劇場で観た6作品中半分がサスペンス作品とかなりのハイペース。
そんな中、何気に多くのサスペンス作品で秀作を世に送り出しているイメージのある韓国がまたスゲェ設定の作品を送り出してきたうえに本国でも大ヒットに公開を楽しみにしていた作品だったんで張り切って観に行ってきた。
「手紙は憶えている」は結果そうだったけれども、本作のようにアルツハイマー型認知症を前面に押し出した殺人鬼の設定はすげぇ斬新に思え、さらに「幽波紋使いは幽波紋使い同士引かれあう」のごとく、その元連続殺人鬼と新手の連続殺人鬼の攻防戦とぶったまげの設定のブっ込みに「マジによく考えだしたものだ!」とただただ感心するばかり。
新手の殺人鬼を追い詰めるもボケ状態のため記憶が飛び、その都度ふり出しに戻るうえに現実なのか?妄想なのか?それとも惑わすための振りなのか?の区別をつかせないリードも巧く、記憶は失われていくのに手と感覚が殺人者としての本能を覚えていたりと観ていてスゲェもどかしくスゲェ不気味。また不気味、スリリングの一点張りではなく時にボケ状態をコミカルに描くことで「もしかしてコメディなん?」と思わせる緩急の差もスゴい。
ただ、これで解決かと思うともう一転、最後の最後にもう一転と一向に解決を見ないつくりは、まるで夢野久作の「ドグラマグラ」の趣。その堂々巡りにオモシロくもさすがに「しつけぇ。」の感情に…それとも、もしかしたら今までのこと自体全てが【虚構】だったのか?とも思えてくる…とにもかくにも一筋縄ではいかねぇ作品。
まぁそんなに韓国映画を観てるワケでもないこともあって中国語圏の俳優さんとくらべるとどうもいまいち覚えが悪い…。
それはそれとして、元殺人鬼役のソル・ギョングのまともな時の必死さ、ボケたときの呆けた表情、そして最後の鬼気迫る表情と役への入り込みかたは目を見張るものがある。新手の殺人鬼ミン・テジュの終始浮かべる薄ら笑い、アン・ビョンマン署長役のオ・ダルスの味わいと、あらためて韓国もイイ俳優さんが揃ってるなぁと。
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» 『殺人者の記憶法』 2018年1月23日 ユーロライブ [気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-]
『』 を試写会で鑑賞しました。
これは面白い。というか惑わされたわ。
【ストーリー】
かつて連続殺人を犯し、アルツハイマー病を患うビョンス(ソル・ギョング)は、接触事故に遭った後にテジュという男と出会う。その異様な雰囲気から彼が殺人鬼であると直感したビョンスは、警察に通報しようとする。だが、テジュが警察の人間であったことから誰もまともに取り合おうとしない。たった一人でテジュの凶行を食い止めようとするが、アルツハイマー病による記憶の喪失に苦しめられるビョンス。そして、新たな殺人事件が発生し……。... [続きを読む]
» 『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』『操作された都市』『新妹魔王の契約者』『殺人者の記憶法』『ダークタワー』 [ふじき78の死屍累々映画日記・第二章]
2018年1月27日から30日に見た5本まとめてレビュー。
『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』ユナイテッドシネマ豊洲6
▲ラス10分。
五つ星評価で【★★ツギハギだらけな感じ】
孫悟空がやっと復活するラス10分くらいはかなり好き。
でも、逆に言えばそこまでは耐えて耐えて耐え抜く話だからしんどい。しかも、あんまり理屈が通っていない。
悟空になつく子供はなつく必然性がなく...... [続きを読む]
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