希望のかなた
フィンランド
コメディ&ドラマ
監督:アキ・カウリスマキ
出演:シェルワン・ハジ
サカリ・クオスマネン
イルッカ・コイヴラ
ヤンネ・フーティアイネン
【物語】 (シネマトゥデイ)
カーリドは石炭を積んだ貨物船に隠れ、内戦が激化するシリアのアレッポから遠く離れたフィンランドの首都ヘルシンキにたどり着く。差別と暴力にさらされながら数々の国境を越え、偶然この地に降り立った彼は難民申請をする。彼の望みは、ハンガリー国境で生き別れた妹ミリアムを呼び寄せることだけだった。
間に何人かの監督さんとのオムニバス作品があるけど、自身の作品となると「ル・アーヴルの靴みがき」以来5年ぶりとなる敬愛する映画監督さんのひとりであるアキ・カウリスマキ監督の新作。しかも17年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したとあればファンとしてはということで張り切って観に行ってきた。
前述の「ル・アーヴルの靴みがき」同様に難民を扱った作品ではあるものの決してシリアスなものではなく、同監督のレストランを舞台にした奮闘劇の「浮き雲」の趣に乗せて、いつもの独特の【間】のチョコっとした笑いで難しい問題とその解決に何が必要かを問いかけ(個の気持ちで行動したいけど、その前に国という感情が先にくるだけに難しい問題だ…。)、限りなくフラットな流れ、車のフロントガラス越しのカット、簡素すぎる部屋、光と影のコントラスト、デジタル社会に逆行したタイプライター等のアナログ&レトロなアイテム、そしてワンコとカウリスマキ監督らしさ全開のファンとしては見応えのある作品だった。
カーリドが街中でネオナチのメンバーに襲われた際にその中のひとりの「ユダヤ人!」のセリフにアラブ人かユダヤ人かの区別もつかず、クソほどの脳ミソも詰まってないバカがネオナチを騙ってるのネオナチとそのかぶれた連中に対しての強烈なディスりはパンチが利いてて思わず爆笑。また、間違った日本文化ネタも数いる海外の映画監督の中でもおそらくいちばん日本文化に通じているアキ・カウリスマキ監督だけにその確信犯的手口が最高にオモシロく感じられる。
レストランオーナー役のサカリ・クオスマネンをはじめカティ・オウティネン、マリア・ヤンヴェンヘルミとアキ・カウリスマキ監督作品の常連さんたちが今回も顔を揃える。
カティ・オウティネンなんかここんところほんのチョイ役ばっかだからたまには露出の多い役どころでみたいところ。
そして今回も登場する監督の愛犬のジャック・ラッセル・テリアの姿に今年の8月に15歳で死んでしまった同種の愛犬を思い出してしまいつい目頭がジワっと…。
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» 「希望のかなた」:カウリスマキの描く難民 [大江戸時夫の東京温度]
映画『希望のかなた』は、まごう方なきアキ・カウリスマキ映画。社会の片隅の不遇な人 [続きを読む]
<独特の【間】のチョコっとした笑い
いいですよねー
カウリスマキ節と呼んでもよさそうですね!
投稿: onscreen | 2017年12月17日 (日) 12時54分
コメント感謝です♪
アキ・カウリスマキ監督単体の作品となると久々だったなんで、余計にカウリスマキ節を敏感に感じられたのかも?といったところです。
シーズン終了間際に来てご贔屓&敬愛する監督さんの作品を観られてヨカッタです♪ (゚▽゚)v
投稿: 風情☭ | 2017年12月22日 (金) 11時10分