まともな男
スイス
コメディ&ドラマ
監督:ミヒャ・レヴィンスキー
出演:デーヴィト・シュトリーゾフ
マレン・エッゲルト
アニーナ・ヴァルト
ロッテ・ベッカー
【物語】 (シネマトゥデイ)
会社員のトーマスは休暇を使って、倦怠期の妻や思春期の娘と一緒にスキー旅行に行く。
家族団らんの旅の予定がなぜか上司の娘ザラまでついてくることになり、1日目の夜に彼女の所在がつかめなくなってしまう。
トーマスが街でザラを発見するものの彼女はレイプされたと衝撃の告白をし、トーマスは警察に行こうと彼女に言うが…。
20年ほど前に観た「最後通告」という作品は終始ワケが解らず見事に玉砕…と、あまりイイ印象のないスイス映画だけれども、なんでも本国で大ヒットしたうえに同国の映画賞でも受賞とノミネート多数に興味を惹かれ、ちょうどイイ具合にコレといって観たい作品が見当たらねぇし、個人的に欧州の小ぶりなサスペンス作品は掘り出しものに巡り合うことが多々あるしってぇことで張り切って観に行ってきた。
マジメで不器用で優しいだけが取り柄のトーマスが家族旅行に同行させた上司の娘の身に旅先でおきたトラブルをすべて丸く収まるように東奔西走、孤軍奮闘するも被害者、加害者、家族、そして手前ぇの保身とそれぞれの感情に翻弄され事は思うようにはならず、状況は逆に追い打ちをかけるようにさらに悪化…終盤ではついにトーマスの優しさリミッター(悪くいえば事なかれ主義)が外れて、それまでの比較的ユルりとしたテンポから畳みかけながらも静かに暴走する姿は切羽詰まった感がよく出ていたし、伏線回収も見事で派手さはないものの期待した以上に見応えのある作品だった。
本作はサスペンスではなくコメディなのね…トーマスがみんなを思ってウソを重ねるもあちらを立てればコチラが立たずになりみんなから非難の目で見られ、何も悪くないはずなのに【事なかれ】や【その場しのぎ】のために手前ぇ自身がドツボにはまりもがく様なんか皮肉でダークで教訓めいていて…そう思い返してみればやっぱコメディ要素の方が強いか。
まぁなんにせよトーマスが思い描いた着地地点ではなかったけど、人柄はもちろんとして多少ズレてはいるものの思考面は大いに共感できる好人物だっただけにとにかくすべてが丸く収まってヨカッタヨカッタといったところ。
トーマス役のデーヴィト・シュトリーゾフなる俳優さんは「ヒトラーの贋札」に出演してたらしいんだけど、全然記憶にねぇや。
原題の「NICHTS PASSIERT」をサイトで翻訳してみたら「何も起こらなかった」とのこと、なるほどまさにその通りの内容で納得も、片や邦題の「まともな男」って… まぁ確かに登場した人物たちのなかじゃかなりまともだったけれどもなんでこういう次第になったのだろうか?
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