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2017年9月24日 (日)

三度目の殺人

Sandome
 日本
 サスペンス
 監督:是枝裕和
 出演:福山雅治
     役所広司
     広瀬すず
     斉藤由貴


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 勝つことを第一目標に掲げる弁護士の重盛は、殺人の前科がある三隅の弁護を渋々引き受ける。
クビになった工場の社長を手にかけ、さらに死体に火を付けた容疑で起訴され犯行も自供しており、ほぼ死刑が確定しているような裁判だった。しかし、三隅と顔を合わせるうちに重盛の考えは変化していく。
三隅の犯行動機への疑念を一つ一つひもとく重盛だったが…。

 今までに映画はおろかテレビドラマですら福山雅治の演技を観たことがないうえに、是枝監督作品も10年ほど前に「花よりもなほ」の1タイトルを観ただけなんで、今さら観に行くのも気が引けなくもあったんだけれども重厚感漂うサスペンスの趣に大きく惹かれ、これも福山雅治と是枝監督に触れるイイ機会でもあったんで、遅ればせながら張り切って観に行ってきた。

 虚偽の証言を繰り返す殺人犯の三隅とそれに振り回される弁護士の重盛による真実をめぐる心理サスペンスかと思っていたのだけれども、謎解きでもなければ法廷劇でもなく、日本の司法制度の矛盾というかあり方の提起と勝ちにこだわり携わった案件に感情を持ち込まないドライな弁護士重盛が人間重盛へと移ろい、その狭間で苦悩する姿とそれぞれの心の機微を重厚に丁寧に描いた人間ドラマで思った以上に見応えの作品だった。また、真相は?も「藪の中」や「ドグラマグラ」の趣がなしなくもで、サスペンス要素も趣もイイ感じにあり、観る人の感性にまかせたモヤモヤ感の残るつくりもヨカッタ。
 「三度目の殺人」とは、法を犯した人間に適切な処分を下す裁判所、法制度によって…ということでヨカッタのだろうか?
また丸くおさめるため真実を明らかにせずの妥協、そのために本心や感情を抑える、つまり自分を殺すといったニュアンスも含まれるのか?と、オレにはちょい難解すぎる作品でもあったのも事実。
 正直なところ難解すぎて感想を語りたくとも適切な言葉も出てこなけりゃ、文章にまとめ上げるのも難儀…簡潔にまとめりゃ強烈に惹き込まれたし、いろいろ考えさせられもして素直に観てヨカッタ。今シーズンのベストにも間違いなく入るといったところ。
それとこれを機に是枝監督の他の作品にも触れてみようにも。

 福山雅治の演技をはじめて目にしたんでイイのか悪いのか正直なところよく解らずも決してキライじゃないなぁと。ただ気になるのはいくら同期とはいえ目上の人に対して呼び捨て、タメ口は如何なものか?と。
役所広司の周りを弄ぶかのように証言を二転三転させる三隅の狂気感や虚無感の演技の迫力には圧倒されるし、広瀬すずちゃんも「怒り」同様に心に暗く深い傷を負う役どころで若いのに守備範囲広いなぁと感心。
陰のあるキャラが多い中にあって常に希望、明るい面をみようとする川島役の満島真之介の存在感が光る。

2017年9月23日 (土)

あさひなぐ

Asahinagu
 日本
 青春
 監督:英勉
 出演:西野七瀬
     白石麻衣
     生田絵梨花
     伊藤万理華


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 二ツ坂高校に通う1年生、東島旭。中学校では美術部員だった彼女だが、なぎなた部のキャッチコピーに興味を抱き、入部することにする。練習に打ち込む旭は、剣道経験者の八十村将子、背が高いことにコンプレックスを抱く紺野さくら、高い実力を持つ先輩の宮路真春らと一丸となって、インターハイの全国大会を目標に日々鍛錬を重ねる。


乃木坂ちゃんが観たいッ!!

ただその想いひとつのみ! そんなワケで張り切って観に行ってきた。

 そもそも原作ありきだし、女の子とはいえスポ根ものだからよほどアホな演出をしない限り大きくハズれることもないところなんで、決して良くはないけどただただ乃木坂ちゃんを、取りわけて推しのまりか(伊藤万理華)、生ちゃん(生田絵梨花)、ゆったん(斉藤優里)にまっちゅん(松村沙友理)のカワイイ姿が拝めればそれだけでもう十分なんで映画の良し悪しはどうでもイイ。
 てなワケで今回は無条件で評価も大甘になりがちだけれども、そこは乃木坂ファンであるまえに映画ファンとしてきちんと評価せねばなぁと…冒頭での露出狂の兄さんや寺院の尼僧やスパルタ特訓のエピ等とチョイチョイ狙い過ぎを感じて、いささか興ざめを覚えなくも。まぁそれでも一人の絶対的エースの挫折によって個々の意識改革とチーム内の結束が生まれ、それにより成長し強くなっていき、エースともども一段階高みに上るあたりなんかは一つのことに賭ける青春って感じで気持ちヨカッタし、ライバルとの対決での勝利も全国大会とかの大きなものではなく練習試合でってぇところにグっと来る。
 強くあるのに弱気先行の旭をなぁちゃん(西野七瀬)、リーダー的存在の真春をまいやん(白石麻衣)、縁の下の力持ち的役割で部長の野上をここまで3列目&アンダーで乃木坂を支えてきたまりか(伊藤万理華)と、今回のキャスティングとキャラがマッチングしているのか否かは原作は未読なんで知りようがないところなんだけれど、乃木坂内での役割と重なるところがあって適材適所の印象は強くあって乃木坂ファンとして、まりかの良さとカワイイ丸顔も堪能できてまりか推しとしてもかなり好印象。
思いのほか出番の少なかったライバルの一堂寧々役の生ちゃん(生田絵梨花)も凛々しくて申し分なし。
生ちゃんの先輩役の樋口柚子って子はひなちま(樋口日奈)に似てるなぁと思ったら実のねぇちゃんだった。

 薙刀の演技は猛特訓したとのことで、それらしくは観えたけれどもやっぱ付け焼刃であることに変わりはなく、合気道ではあるけれど10年近く武道の末席に身を置いてる者としては残心や打ち込みの甘さ等はまだ仕方のないことと見ても、構えた時の腰の位置が高い、つまり棒立ちなところが気になって気になって仕方がなくと細かいところに目がいってしまう…なにかしら武道をたしなんでいればまた違ったんだろうけどこればっかりはね…。
演技の方は生ちゃんやまりか、玲香なんかは乃木坂内での定期公演のほかに他での舞台経験も豊富なだけにアイドルとしては巧いほうだったのではと贔屓目に見てみる。
まぁそんなこんなで、乃木ヲタのための作品といったところで、乃木坂ファンとしては大満足であります。

【余談】
11月の東京ドームでの2日間のコンサートのチケット1次選考受付ハズレてしまった…。
2次選考に賭けるんで、当たるよう祈ってやってください。ホントよろしくお願いします。

2017年9月17日 (日)

エイリアン : コヴェナント

Aliencovenant
 アメリカ
 SF&ホラー
 監督:リドリー・スコット
 出演:マイケル・ファスベンダー
     キャサリン・ウォーターストン
     ビリー・クラダップ
     ダニー・マクブライド


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 宇宙移住計画を遂行するため、コールドスリープ中の男女2,000人を乗せた宇宙船コヴェナント号は、植民地の惑星に向かって宇宙を航行する。最新型アンドロイドのウォルターが船の管理を任されていたが、途中で事故が発生。
乗組員たちは必死で修復作業に取り組み…。                                         

 前作「プロメテウス」から5年その続編ということにもかかわらず失念…めんどクセェを理由に復習を怠ったまま挑むことに。
そんなワケで忘れてしまっているところも多々あれど、そうそう大きく新展開なんてものはないだろうし、取り合えずエイリアンの怖さと巨匠リドリー監督の重厚な作風を楽しめればそれで十分ってぇ心持ちのなか張り切って観に行ってきた。

 1作目をなぞりながらロボットアームを彷彿させるクレーンや動態反応レーダー等と2~4作目の諸演出のイイ所どりだったんで、オールドファンとしてはそれなりに楽しめたといった言いたいところだけど、エイリアンの起源について語りながらもどちらかと言うとアンドロイドの自我、葛藤に焦点が置かれていたような印象を受けた…まぁ、過去のシリーズでもアンドロイドが常に鍵を握っていなくもあったから問題なしも「エイリアン」というよりかは同氏の「ブレードランナー」ぽくあったかなぁと思えなくも。
 エイリアンの形成過程の第一段階が菌類の胞子的なものが体内に侵入し寄生して云々をはじめ、たしか「4」で人とエイリアンのハイブリッド種を作り出そうとしてたけど、本作の時点でそれに近いものが誕生していたりと「何か違うんだよなぁ…エイリアンってなんかもっとこう…」と、いまいち納得いかないところが多々あったような思いが無きにしも。
終盤でウォルターとデヴィッドは入れ替わったのだろうか? ダニエルズがデヴィッドのアゴ下にクギを差し込んだのにそのキズ跡が見当たらなかったことを思えば、ウォルターがデヴィッドの意思を引き継いだのだろうか?とも取れモヤモヤが残る。
何にせよ、同じ顔なのだからデヴィッドか否かの確認を怠ったダニエルズのあまりの不用意さはいかんともしがたい。
そのアンドロイドのデヴィッドが冒頭で創造主に名前を聞かれダビデ像を見上げなかがら「デヴィッド」と答えたところで「なるほど、ダビデの英語読みがデヴィッドなのか!」と勉強になり本作でいちばん興味深いパートだった。
 そんなこんなで、それなりにオモシロくはあったけれども世間の評価ほどにはといったところ。エイリアンの生態や誕生の秘密はそれなりに解明されるも、それほど話は進んでおらずだし、続編までまた数年待たされた挙句、おなじような展開だとさすがにイイ加減もうイイかなぁという気にならなくもないんで、手を変え品を変えの工夫とスパンをあけずの公開を望む。

 ダニエルズ役のキャサリン・ウォーターストンって「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」 のヒロインの女優さんだったのか。まぁ「ファンタスティック~」でも正直なところあまりピンとくるものがなかったから覚えてないのもムリねぇかなぁと…。
前作の「プロメテウス」のノオミ・ラパスといい前シリーズのシガニー・ウィーバーのリプリーの壁を越えられないのがね。
ちなみに一人二役でがんばっていたマイケル・ファスベンダーは個人的に「アサシン クリード」と併せて2連敗。

2017年9月16日 (土)

オン・ザ・ミルキー・ロード

Otmr
 セルビア&イギリス&アメリカ
 コメディ&ロマンス&ファンタジー
 監督:エミール・クストリッツァ
 出演:モニカ・ベルッチ
     エミール・クストリッツァ
     ミキ・マノイロヴィッチ
     スロボダ・ミチャロビッチ


                                                                                  【物語】     (シネマトゥデイ)
 戦時中のある国で、銃弾を横目にしながらロバに乗って、兵士たちがいる前線までミルクを届けているコスタ。
コスタは、村の英雄ザガの花嫁になるミステリアスな美女と出会い、恋仲になる。
しかし、彼女のある過去のために村が襲撃され、二人は村を飛び出す。

 敬愛する映画監督のひとりであるエミール・クストリッツァ監督の「ウェディング・ベルを鳴らせ!」以来(「マラドーナ」もあったけどこちらはドキュメンタリーなんで除外)約10年ぶりとなる新作。しかも珍しくモニカ・ベルッチと世界的に名の通った女優さんをキャスティングとあったりで、いちファンとしては久々もあって期するところが大きくあったんで張り切って観に行ってきた。

 戦争、動物、ロマンス、音楽、結婚式と祝祭で彩った寓話的世界観はクストリッツァ節健在といったところで、その辺は満足いくものではあったけれども、中盤以降から牧歌的な雰囲気は一気に薄れ、やたらと人と動物が無暗に殺されていくシーンが目につき、過去の作品でもシニカルさこそあれここまで暴力的な描写(この辺は戦争における犠牲云々の諸々を語ってるんだろうけど)を観た記憶がないだけにいつもとは違う作風に戸惑いというか、馴染めずで中盤以降はしんどさが先行した感じ…個人的には「アンダーグラウンド」の一大叙事詩的な作風よりも、近々の作品のドリフを彷彿とさせるドタバタ大団円や観終わったあとのホッコリ感が好みなうえに期待していただけにチョイ残念といったところ。
 音楽のリズムにあわせて体を動かす主人公の心情を表したハヤブサ、ロバ、クマ、ヘビ、観るのがつらくあったヒツジの群れと本作でも動物たちの活躍は目覚ましいものがあった。ヘビはやむなくCGになってしまったけれどもそれ以外はすべて本物というからスゴイ。ホント毎度毎度クストリッツァ監督の動物の描き方は観ていてとても楽しくあるのは間違いないところ。
今でこそセルビアもクロアチアも平和になり観光立国になってるけど、10年ほど前までは互いに殺し合うことが日常であったりしたからこそ、クストリッツァ監督は平和を意味する結婚式や祝祭に対して特別な感情を持っているのかもなぁと本作を観てあらためて感じさせられた。

 ヒロインの花嫁役のモニカ・ベルッチはイタリアの宝石と称されただけあって50代になっても確かにキレイだとは思うけど、世間で誉めそやかされるほどイイとは思えず…同じ50代なら贔屓なこともあってコン・リー様の方が断然あり。
そんなワケで主人公コスタに恋するでもう一人のヒロインのミレナ役のスロボダ・ミチャロヴィッチの方に目が行ったかなぁと。

2017年9月10日 (日)

ダンケルク

Dunkirk
 イギリス&アメリカ&フランス
 戦争
 監督:クリストファー・ノーラン
 出演:フィオン・ホワイトヘッド
     トム・グリン=カーニー
     ジャック・ロウデン
     ケネス・ブラナー


                                                                                【物語】     (シネマトゥデイ)
 1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。
ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミーら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。
一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソンは息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリアが、数的に不利ながらも出撃する。

 戦場を舞台とした作品はあまり得意でないんだけれども、緻密な作りでヒット連発し40代にして巨匠と称されるクリストファー・ノーラン監督だから絶対的に間違いないところだろうし、欧州における第二次世界大戦時の大規模な戦闘といえばノルマンディー上陸作戦とスターリングラード攻防戦くらいしか知らず、ダンケルクの戦いなんぞは本作の公開まで全然知らなかったんで、観ておけば後学にもなるべと思い張り切って観に行ってきた。

 敵に完全包囲され撤退のための救出部隊の到着を待つ兵士、救出輸送船の援護をするため出撃する英国空軍、そして徴用された船舶で救出に向かう非戦闘員の人たちと三者三様の立場と陸海空とそそれぞれの視点と時間軸で描かれた本作は今までの戦争映画とは違った趣を感じたし、戦争映画というと一気呵成の電撃戦や一進一退の攻防戦が多く目につく中にあって撤退戦というシチュエーションも目新しく感じられた。
 また、情報らしい情報がなく観たまんまを情報とするだけに主人公をはじめ救出をただじっと待つ兵士と同じ状況に置かれることで緊迫感と臨場感の度合いが半端なく、時を刻む秒針か鼓動を思わせる切羽詰まるBGMの効果はさらに緊迫感を煽るかのようでその効果は抜群。そして何より陸海空から徐々に包囲の輪を縮めてくるドイツ兵の姿が全く出てこない、なのにドイツに攻め立てられている演出はスゴイの一言と、物語どうこうではなく演出の妙や映像美で楽しませてもらえた作品といったところで、難を挙げるとすれば時間軸が行ったり戻ったりなのでついて行くのがチョイ難儀だったことくらい。
 勇気ある非戦闘員の人たちの行動で多くの兵士の命(人的資源)の損失を免れたことは紛れもない事実で、このことをイギリス人が誇りに思っていることもわかるけど、この辺は3.11の震災で取るもの取らずに即被災地にはいったボランティアの人たちとおなじで「今、自分に出来ることをやるだけ」の精神で、これを勇気ある行為と無条件に美談として捉えないように気をつけねばなぁと捻くれてみたりみなかったり。それでもミスター・ドーソンの子供を戦争に巻き込んだのは大人の責任のセリフには大感銘。

 ダンケルクの救出作戦の指揮を執るボルトン中佐役のご贔屓のケネス・ブラナーが渋かったし、死を覚悟して最後まで戦地に残る様は指揮官の鑑で「中佐殿、自分もお供します!」と言いたくなる(まぁ実際、遠慮なく逃げさせてもらうけどね)くらいカッコイイ。本作とは関係ねぇけど年末公開の氏監督の「オリエンタル急行殺人事件」が楽しみでならない。
戦車好きであまり戦闘機には興味ないんだけど、英国機スピットファイアと独機メッサーシュミットによるドッグファイトには興奮させられ、戦車ばかりではなくたまには戦闘機のプラモでも作ってみるかなぁという気にならなくも。

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