草原に黄色い花を見つける
ベトナム
ドラマ&青春&ロマンス
監督:ヴィクター・ヴー
出演:ティン・ヴィン
チョン・カン
タイン・ミー
マイ・テー・ヒエップ
【物語】 (シネマトゥデイ)
ティエウとトゥオン兄弟はいつも仲良く遊んでいたが、そろそろ思春期に差し掛かる12歳の兄は幼友達のムーンのことが気になって仕方がない。ある晩、火事が起きてムーンの家が焼けてしまったため、しばらくの間兄弟の家で彼女を預かることになる。もやもやした気持ちを消化し切れないティエウは、ムーンが弟とばかり遊ぶ様子を見て嫉妬心を抱き…。
最近では日本でも「ザ・レイド」のヒットでインドネシアやシンガポールあたりの作品も観られるようにはなったもののオモシロい、良作をコンスタントに世に送り出しているタイが引っ張っているのが実状の東南アジア映画。
そんな中にあって本国ベトナムで大日イットを記録したという本作が公開。個人的にベトナム映画は20年ほど前に観たトラン・アン・ユン監督の「シクロ」以来(ベトナム映画かと思いきやフランス映画だった…。)だし、大好物の郷愁を誘う胸キュン青春ものでもあるしで、観るにはイイ機会ってぇことで張り切って観に行ってきた。
80年代末期のベトナムの田舎の村を舞台に民間伝承の寓話を織り交ぜつつ繊細で頭はイイけどチョいとおバカな行動をとりがちな思春期を迎えた兄ティエウと聡明で快活な弟トゥオンを中心に初恋、貧困、家族のエピをベトナムのキレイな景色とともに詩情ゆたかに綴られた本作は確かに良くはあったけど、後半にかけての盛り込み過ぎ感にしつこさを感じてしまい、もろ手を挙げてヨカッタとは言い難く…といったところ。最後の盛り込み過ぎがなければかなりの高評価だった気がしないでも。
想いを寄せるムーンと彼女と自分以上に仲よくする弟トゥオンに対する兄ティエウの嫉妬心、その嫉妬心が引き起こす取り返しのつかない出来事への後悔、取り分けて弟トゥオンが可愛がっていたペットのカエルの顛末を知っていながら内緒にし、カエルが連れ去られるのを止めもせず黙認した裏には弟に対する意地悪な感情があったことに対する自己嫌悪、そして大人ぶっていても怖い話を聞いたことで夜の暗闇や物音を怖がったりと思春期を迎えた少年の複雑で繊細な心の描かれ方は見事。
詩を綴ったラブレターが盗作の…引用のまた引用だったラストは微笑ましく、クレジット時の劇中でも語られる寓話の「カエルとお姫さま」のアニメは思った以上に素晴らしい出来ばえで、可愛らしくもあるんでここだけでも一見の価値は大いにあり。
と、かなり好印象であるのも関わらず先の理由からチョいと残念な結果となってしまった…。
兄ティエウ役のティン・ヴィンは本郷奏多に似ていてイケメン君、弟のトゥオンとヒロインのムーン役の子たちもカワイイ。
ベトナムの豊かな自然が子供たちの溌溂さをさらに引き出していたように思える。
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