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2017年6月24日 (土)

セールスマン

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 イラン&フランス
 ドラマ&サスペンス
 監督:アスガー・ファルハディ
 出演:シャハブ・ホセイニ
     タラネ・アリシュスティ
     ババク・カリミ
     ファリド・サッジャディホセイニ


【物語】     (シネマトゥデイ)
 共に小さな劇団に所属する夫婦は、ちょうど劇作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演していた。
教師として教壇にも立つ夫が家を空けた隙に、転居したばかりの家で妻が何者かに乱暴されてしまう。
その日を境に二人の生活は一変し…。

 以前のような堅いイメージから変わりつつあり、ここ近年オモシロい作品を連発しているイラン映画。
しかも監督が秀作「彼女が消えた浜辺」「別離」のアスガー・ファルハディ監督なうえに、16年のアカデミー賞の外国語映画賞受賞とあって、公開を楽しみにしていた作品だったんで、張り切って観に行ってきた。

 不法侵入と暴行事件…確かにコレで十分にたいしたことではあるんだけど、サスペンス劇として鑑みれば、殺人なんかと比べると些細な出来事なんで、話をそれほど広げようにもと思うも、これが大間違いで、関わった人物の心模様と徐々にズレていく夫婦の関係を見事に描いていて、前記の2作品同様にサスペンスでありながらも犯人捜し云々ではなく、静謐で重厚な人間ドラマといったところで、期待を裏切らない作品だった。
 事件をすべて警察に任せて決着をはかりたい夫と、恐怖心と女性としての矜持からそれを拒む妻、それぞれの感情の違いから徐々に関係にズレが生じていく様が、なんともスリリングで息詰まるものが。
夫も当初は犯人に償わせるために犯人捜しをはじめるも、何時しか事件の恐怖心を克服できずがゆえに、夫婦関係、仕事、所属する劇団の芝居と、すべてのことに支障をきたすようになったのはと妻に対する憤りと意固地さへと変っていき、内に怒りを燃やして静かに暴走し始めていく様と、後味の悪さを覚えずにはいられないラストがスリリングさにさらに拍車をかけていて素晴らしかった。
 惜しくらむは、劇中で演じられるアーサー・ミラーの「セールスマンの死」の内容を知らなかったこと…きっとリンクなり暗喩してただけに概要だけでも知っていれば、きっと今以上にオモシロく、感慨深く観られたことと思えてならない。
本作や「人生タクシー」を観ていて思うことは、思いのほかイランは近代化されてるし、街並みもゴミがあまりなくてキレイで、言われてるほどキケンなところではないように感じられるし、素直に行ってみてぇなぁと。

 夫役のシャハブ・ホセイニと妻役のタラネ・アリシュスティは同監督の「彼女が消えた浜辺」「別離」にも出演。
正直なところ、監督さんの名前はバッチリ憶えてはいたけど、両俳優さんの顔と名前は…もうさぁ、南米の俳優さん以上に顔の見分けつかねぇんだから、コレばかりは仕方のねぇってぇやつだよ。
アスガー・ファルハディ監督とタラネ・アリシュスティはトランプ政権の移民政策等への反対を表明するためにアカデミ賞授賞式をボイコットとのこと。まぁ、お祭りはお祭りとしてという思いが無きにしもだけど、こういう気概はキライじゃないし必要だとも。

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