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2017年3月18日 (土)

わたしは、ダニエル・ブレイク

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 イギリス&フランス&ベルギー
 ドラマ
 監督:ケン・ローチ
 出演:デイヴ・ジョーンズ
     ヘイリー・スクワイアーズ
     ディラン・フィリップ・マキアナン
     ブリアナ・シャン


                                                                                     【物語】     (シネマトゥデイ)
 59歳のダニエルは、イギリス・ニューカッスルで大工の仕事に就いていたが、心臓の病でドクターストップがかかる。
失職した彼は国の援助の手続きを進めようとするが、あまりにもややこしい制度を前に途方に暮れる。
そんな中、ダニエルは二人の子供を持つシングルマザーのケイティと出会う。

  高齢のため前作「ジミー、野を駆ける伝説」をもって監督業から引退する旨を表明するもプロレスラーのごとく現役復帰を果たした敬愛する映画監督さんの一人である巨匠ケン・ローチ監督の最新作。そのネームバリュだけでも十分以上に劇場に足を運ぶ価値大ありなのに、そこに16年のカンヌ映画祭でパルム・ドール受賞とあればなおさら劇場に足を運ばなきゃ~なんめぇよッ!ってぇことで、張り切って観に行ってきた。

 心臓病のために働くことを医者からとめられたダニエルが給付金を受けようと関係各所に電話をかけたり出向いたりするも、役所から委託された業者(態のイイ民営化)は役所以上の融通の利かなさとマニュアル対応。この辺は日本も同じで、役人ではく何で民間の人間を税金で食わせなきゃならんのだ?と思いたくもなるし、申請書の提出書類も全て高齢者には難儀なオンライン化。少しでも期限が過ぎれば、規範からハズレればたらい回しと、冒頭のまるで落語のような噛み合わない問答のやり取りのオモシロさとは裏腹に、本来は弱者を助けるはずの社会福祉制度は時として社会から弱者を切り捨てるシステムのなのか?と。
 同時に本作のイギリスだけではなく、日本をはじめ世界中が格差社会、右派の台頭する風潮というか社会システムを見る思いだし、社会的弱者というだけで死刑宣告を受けるような思いにならなくも…まぁ、すべて役所や社会システムが悪いというのではなく誰しも少なからず抱いている感情を痛烈な皮肉と弱者に寄り添った社会を代弁してくれている強いメッセージ性にあふれた、パルム・ドール受賞も大納得の素晴らしい作品。
 たとえ底辺に生きていようとも自分は一人の人間であると誇りや尊厳を声高に主張するラストを観たらタイトルの「わたしは、ダニエル・ブレイク」の意味合いに大納得だし、ダニエルの隣人でケイティのシングルマザーという老齢者とはまた違った立場の者への視線も一貫して社会的弱者を撮り続けてきただけあってさすがといったところ。
また、ケイティが万引きしたスーパーの店長が彼女が盗んだ品物を見て、彼女がどういう生活状況にあるかを察して目を瞑ったシーンに世の中にはダニエルのほかにもまだ拾う神はいるといった趣で救いのない作風のなかにあっただけに救われる思い。

 どの作品でもちょいちょい【サッカーネタ】を放り込んで来るのがケン・ローチ監督作品の特徴のひとつ。
それは本作でも健在で、今回は昨今のプレミアリーグにおける爆買いでお馴染みの某国企業の進出を少なからず揶揄ったというかだったのかなぁと。

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