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2017年3月19日 (日)

人類遺産

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 オーストリア&ドイツ&スイス
 ドキュメンタリー
 監督:ニコラウス・ゲイハルター
 出演:
     
     
     


                                                                                      【物語】     (シネマトゥデイ)
 人々の姿は消え失せ、緑に覆われ、鳥が飛び、風が吹きすさび、朽ち果てるのを待つだけとなった廃虚の数々。
団地群、テーマパーク、劇場など、かつて活気づいていた場所は…。

 廃墟がブームになっている昨今、オレ自体は別に取り立てて廃墟が好きってぇワケじゃ~ねぇけど、その滅びゆく姿には一抹の寂しさや美しさが感じられるし、この間までテレ東で放映されていた「廃墟の休日」なんかも観たり、子供の頃には廃墟(正確には空き家)に忍び込んだりと、廃墟にそれなりに惹かれるのも確かなところ。
そんなワケで世界70ヶ所以上の廃墟を映した本作に一抹の寂しさや美しさ、そして異空間トリップみてぇなものが感じられればと思い張り切って観に行ってきた。

 上映時間94分、その間ナレーションとBGMが一切無し、定点カメラでとらえた廃墟の映像を延々とスライド式に観させられるから、これはかなり高い確率でオチるであろうと覚悟を諦めの念を覚えるも朽ち、風化していく建造物の映像を観て人類が滅びた後の世界の疑似体験はオモシロく、逆にナレーションとBGMが一切なかったことで、コンセプトでもある栄華を極めた過去、植物が繁茂し割れた窓を風が吹き抜ける音と鳥の囀りしか聞こえない現在、そして未来を思うの想像力をかき立てられ1秒たりとも目の離せなかった。
 ロケ地は日本とわかる土砂降りの自転車がひっくり返っている駐輪場から始まり「ナゼ、廃墟ではなく駐輪場?」と思うもそのあとの15~20分の映像すべて福島であることに気づき胸が締め付けられ、後半に出て来た長崎の軍艦島をはじめ、外国のかつては華美であったろう劇場やホールの祭りの後の趣の寂しげながら滅びの美しさすら感じられる姿と比較すると、同じ人の生活が営まれていた場所の廃墟でも抱えている過去で見方、感じ方がこうも違うのかと。

 福島の映像も然ることながら、ニュージャージーにある水没したジェットコースターのレール、カナダかどこかの森になかにあった軍事施設、洞窟内にある廃材の山に放置された車、そしてラストの砂漠と雪原のなかにある廃墟の映像はまるで幻想絵画を思わせるくらいに美しくあり怖くもあって大きく惹かれた。

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